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わたしの彼はヴァンパイア~あなたと共に


真っ暗な部屋の中で、ベッド脇に置いたキャンドルの明かりが揺れる。

やがて、ふたりの影も重なり、揺れる。


あなたは私をうしろから抱き竦め、片手で私の長い髪を寄せる。

露になった首筋へ尖った牙を突き刺すと、胸の谷間へ鮮血が流れた。乳房を覆った白いバスローブが赤く染まってゆく。

あなたは首筋から牙を抜き、口の端を指先で拭った。

私からバスローブを剥ぎ取り、乳房にじわりと流れ落ちてくる血液を舌で掬いながら、また首筋まで辿り着いた。

私は興奮と目眩で立っていられなくなり、仰向けにベッドへ倒れ込んだ。

あなたは私の両方の足首を掴み、膝を立てるようにして広げると、太股の内側にかぶりついた。

私は叫んだ。鋭い痛みと、急激なエクスタシーで。

あなたは一頻り太股からの血液を吸い取ると、私の股間に顔を埋め、溢れ出る愛液を舐めた。


そろそろ効いてくる時間だろう。

と思った矢先、彼が私の股から唇を離し、横向きになって苦しみ始めた。


あなたは隠しているつもりだったらしいが、私は気付いていた。

あなたは私の血を吸いながらも、他の女の血も吸っていた。

私にはそれが許せなかった。

あなたの体内で、私の血液と他の女の血液が混ざり合って、あなたが生きているということを。

あなたの中には、私だけしか存在してはいけないのだ。

私は、あなたと一緒に死ぬ事を選択した。


風呂場から出たあと、冷蔵庫に入れておいたクランベリージュースを飲んだ。

ジュースには毒薬を混ぜて仕込んでおいた。

説明では、服飲したあと20分ほどで血管を通して毒がまわり、死に至るということだった。


私も体が痺れだした。

あなたは私の腹を、鋭い爪で掻きむしる。

私の裂けた腹からは、紫がかった血液が膨張して流れてゆく。。

あなたは私の体を這い上がり、胸のあたりで血を吐き出した。

私の胸から首筋、顎のあたりまで、どす黒い血で染まった。

あなたはそして息絶えた。

私はあなたの頭を裸の胸に抱え込み、薄れゆく意識の中であなたとの幸せな日々を振り返った。



❮おわり❯



レッドプリンさんの書いてくれた、【#冒頭3行選手権の続き】をヒントに、「わたし」には違う道を選ばせてみました。


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