鼻中隔湾曲症手術を受けた話〜後編〜

鼻中隔湾曲症手術を受けた話〜前編〜 の続き

実際の治療の体験談と、掛かったお金などを中心に記す。治療に至った経緯は前編に書いている。

入院のスケジュール

8泊9日の入院をした。

1日目:21時以降絶食

2日目:11:00〜 手術

3日目〜7日目:ガーゼが鼻に入って、抗生剤などの点滴をしている状態

8日目:ガーゼを取り出す

9日目:点滴が外れる。退院。

1日目

ホテルで言うチェックインの日。

18時に夕飯を食べて、それ以降は絶食。経口補水液250mlとお茶か水500ml〜1000mlを明日の朝9時までに飲んでおくよう言われる。

2日目 手術当日

この日に手術を受けるのが私が二人目だったのだが、一人目が押して予定より30分遅れて手術が開始した。

全身麻酔の手術は初めての経験だった。まず看護師さんに連れられて自分で歩いて手術室に向かい、自分で手術台のベットに移動する。ベッドに寝かされて運ばれることを想像していたが、よく考えれば健康なんだから自分で移動して当たり前である。

手術台のベットで主治医の人と麻酔科の人の挨拶があり、点滴が入れられる。この点滴を入れられた時点でかなり意識が朦朧としてきたが、これはまだ本気の麻酔ではないらしい。何て説明していたか覚えていない。その後麻酔を点滴経由で入れられて、意識がなくなった。よく数秒で意識がなくなると言うが、いつ入れられて何秒たったか、入れられる前から意識朦朧としていたので覚えていない。

意識が戻ると、見えたのは手術室の天井だった。『深呼吸!深呼吸してください!』と何度も声を掛けられながら、ベッドごと移動していた。とにかく息苦しくて、ものすごく暑かった。電気毛布が掛かっていた。マスクも付いていた。暑すぎて電気毛布を頑張って避けた。マスクも外したかったが、コロナ感染対策のためにベッド以外ではつけるよう言われてたので、外していいか聞いた。ダメだって言われた。でも暑いし苦しかったのでどさくさに紛れて外した。

そして病室のベッドに戻ってきた。意識はしばらく朦朧としていたが、徐々に鼻の痛みが出てきた。鼻は完全にガーゼで詰まっていて、空気中の分子1つすら鼻を通らない状態になっており、ガーゼによって顔面が内側から圧迫されていた。また鼻の中が切れているような焼けているような痛みがあった。

1時間くらいすると少し落ち着いてきて、水も飲んで良いと言われ、痛み止めとしてロキソニンももらえた。吐き気はあまりなかったが、気持ち悪い感じはあった。また、ワセリンを渡された。口呼吸で唇が乾くので、適宜使うためである。

2時間くらい経って、夕飯が出てきた。お粥だった。完食することができた。

夕食後に妻と電話した。妻から聞いて知ったのだが、手術は1時間半の予定だったけど結果5時間掛かったらしい。

手術が終わったら妻に術後の説明をしてくれるのだが、その5時間の間一切連絡がなくて、すごく不安だったとのこと。そりゃそうだ。予定より推してるって連絡くらいしてもいいのに。それか手術の様子を解説付きで配信したらより安心なんじゃないだろうか。

夜、痛みと、口呼吸オンリーなのが辛くて、なかなか眠れなかった。眠っても1時間くらいですぐ起きてしまう。

もともと鼻炎だったとはいえ、この完全なる鼻の封鎖には慣れなかった。今まで口呼吸しているときでも鼻は少しは通っていたのだ。完全に通っている状態を光回線だとすると、鼻が詰まっている状態は電話回線の状態くらいは通っていた。でも今回は完全オフライン。水を飲むときも空気の逃げ場がなくて耳がキュッっとなった。

3日目

手術の翌日、あまり眠れておらず、顔面の圧迫感が辛い。完全口呼吸にも少し慣れてきた。痛み止めを適宜もらって飲んでいた。

気分的にも少し余裕が出てきて、スマホで漫画を読むくらいはできるようになった。ファブルとゴールデンカムイを読んだ。

相変わらず夜は1~2時間ごとに起きてしまう。

4日目〜

この辺りから、痛みはあまりなくなってきて、痛み止めも飲まなくなった。

気分的にもさらに余裕が出てきた。相変わらず鼻の圧迫感と完全に閉塞している状態は辛いが、慣れが出てきた。

持ってきていたSwitchでポケモン剣盾のランクマッチをやり始めた。退院までに100戦以上した。

結果

最終順位は9338位でした。

ちなみに看護師さんもポケモン好きな人が多く、ランクマッチをやっている人もいた。その人から今のシーズンの使用率1位はゴリランダーであることも教えてもらった。確かにゴリランダーは強い。

私は初代赤緑からやっている世代だが、私よりも10歳くらい下のDS世代の方が大人になってからもポケモンやっている人は多いのかもしれない。

夜は続けて寝ることはできなかったが、3時間くらいは眠れるようになってきた。

8日目

ついにガーゼを取るときがきた。この日を楽しみに今までを耐えていたのだ。

ガーゼを取る30分前くらいに痛み止めのロキソニンを飲んだ。かなり痛いということを聞いていたので、恐怖もあったが、それよりも早く取ってほしい気持ちの方が強かった。

そしていざ取ってもらうと、尋常じゃない量のガーゼが入っていた。左右に5枚ずつ、量にして大体パスタ1人前くらいの量が出てきた。

痛みについては、かなり痛かったのだが、色々調べたり聞いたりして想像していたよりは痛くはなかった。でもこれは私が痛みに強いだけかもしれない。先生にも『痛みに強いって言われたことあるでしょ?』と言われた。ある。骨を折ったのに痛がり方が足りないせいで折れてないと診断されたことがあるレベルである。なので私の痛さについてのレポートは多くの人には参考にならない可能性をご了承いただきたい。

そしてガーゼを抜いたと思ったら、またすぐ次のガーゼを入れられた。これは左右3枚ずつで、止血剤が入っている。15分間入れっぱにする必要がある。その後、そのガーゼを抜いた。最初と比べたらマシではあるがこれもまたかなり痛い。

そしてこの時点でものすごく鼻が通った。人生で一番通ったと言っても過言ではない。鼻呼吸できるとかそういうレベルではない。鼻呼吸できて当たり前、口呼吸なんて一生する必要ないんじゃない?ってレベル。

この約一週間、耐えてきたのが報われたのだ。本当に良かった。

しかし、数十分後には瘡蓋ができてまた鼻が詰まってしまった。とはいえそれでも鼻呼吸が一応可能なレベルの詰まりで、なんだったら手術受ける前の点鼻薬を使っている日常レベルと同じくらいかもしれない。

この瘡蓋は1,2週間後に通院して取るので、それまで鼻をかむことを禁止される。理由は聞いていないが、おそらく無理に瘡蓋剥がすとまた新しい瘡蓋ができて、瘡蓋無限ループに陥るためかと思われる。

9日目

点滴を外して、退院する。

抗生剤と去痰の薬を、一週間後の通院までに飲みつづけるよう言われる。

10日目以降

だんだん瘡蓋が剥がれてきて、数日後には普通に鼻呼吸ができるようになった。

普通? そう。普通なのである。

点鼻薬を使ってなんとか鼻で息ができるようにして日常を送っていたのが、過去の自分にとっての普通だった。

しかし、あのガーゼを外した瞬間の猛烈に感動した状態を、普通と呼んでいるのである。

本当に手術を受けてよかった。

お金の話

限度額適用認定証を使い、実際に病院に支払った額は10万円程である。

限度額が8万くらい、+食事代、+差額ベッド代(1日1100円)、でそれくらいになった。

限度額適用認定証を使わなくても、高額療養費制度の対象なのでお金は戻ってくるので実質支払い分は変わらない。

クレカのポイント考えると限度額適用認定証を使わずに先に支払って後から戻ってくる方が得なので、お金に余裕がある人にはそちらを勧めたい。

私は本当に戻ってくるのか、戻ってくるための手続きが煩雑だったら嫌だなとか、思ったので限度額適用認定証にした。今考えると多分そんなに気にする必要ないと思う。

入院時に預かり金が必要で、10万円を現金で預ける。このお金は後で戻ってくる。病院によって違いはあると思うので確認した方がよい。

私の場合、民間の医療保険にも入っているため、手術・入院の給付金も申請したところ約20万円も戻ってきた。結果プラス10万円になったのである。医療保険に入っている人は確認した方がよい。

まとめ

術後はかなり辛いが、受けて本当に良かった。

鼻中隔矯正術(鼻中隔湾曲症の手術)は、お金と時間と辛さ、主にこの3つのハードルがあると思うが、私の書いた文章でそれらのハードルが具体的にどの程度なのか、というのと、それを乗り越えた時のメリットの大きさが伝われば幸いである。

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