鼻中隔湾曲症手術を受けた話〜前編〜

手術を受けようと思っている人、受けた方がいいのか迷っている人、そもそも鼻炎でもなんでもない人、私が何をしたか知りたい人、向けにいろんなことを書いているので、知りたいとこだけ読んでください。

入院生活から読みたい人は後編からどうぞ。

鼻中隔湾曲症手術を受けた話〜後編〜 

今回受けた手術

鼻中隔湾曲症手術(鼻中隔矯正術)、及び、下鼻甲介切除術。

簡単に説明すると、鼻中隔湾曲とは鼻の中の骨が曲がっている状態。また、下鼻甲介と呼ばれる粘膜が肥大化しているためそこの切除も行う。

参考リンク:

鼻中隔湾曲症手術


下鼻甲介切除術

(説明が分かりやすかったので引用しているだけで、この病院で受けたわけではない)

鼻炎とは何か

そもそも鼻炎と全く縁がない人には鼻炎とは何か、それすらあまりよく分からないかもしれない。

『鼻炎? なんか鼻?って言う部位? それが炎上して、要はバグってるってこと???』

バグってると言うのはある意味的を射ているかもしれないが、これを機会により正確に理解していただきたい。

鼻炎とは鼻の粘膜の炎症のことである。それが起きるとどうなるかというと鼻の空気の通り道が狭くなる、ないしは閉じるのである。

『鼻が詰まったら鼻をかめば鼻水が外に出て空気が通るじゃん、鼻水とか鼻クソが詰まりすぎてるってこと???』

と思っている人ももしかしたらいるかもしれない。本気でそう思っている人は本当に鼻に関しては恵まれた人生を送ってきたのだろう。鼻に恵まれない人の気持ちも理解した方がより豊かな人生を歩めると思うのでこれを機会にそうではないことを理解していただきたい。

鼻水や鼻クソで詰まっているわけではない。鼻の粘膜が腫れて空気が通らなくなるのだ。なのでもちろん鼻水だって通らない。鼻水が出た時は喉に流れたり(後鼻漏)、副鼻腔にたまったり(蓄膿・副鼻腔炎)する。喉に流れれば喉の粘膜が荒れるし、副鼻腔に溜まったら顔面が内側から圧迫されるような鈍痛が起きる。

もしかしたら副鼻腔が何かを知らない人もいるかもしれない。鼻と喉は繋がっているが、一本の細い道があるわけではなく、洞穴みたい部屋が左右にそれぞれ4対、合計8個ある。それが副鼻腔である。

なぜ鼻がそんな複雑な仕組みなのか私には分からない。もっとシンプルな設計で鼻を作ることができなかったのだろうか。鼻炎に悩まされている人はみんな例外なく、もし自分が鼻を0から再設計したらどのような鼻を作るか、頭の中で『鼻 ver.2』を考えたことがある。

幼少期から大人までの症状について

子供の頃から鼻炎持ちだったが、それが自分にとって普通だったので具体的な症状は記憶していない。ただ、常に鼻呼吸ができないレベルではなく、できない時とできる時があったが、できないことの方が多かったのではないかと記憶している。

布団に入った後、夜遅くまで弟と喋っていると、父親が怒りにくるのだが、その時に『目を閉じて、口閉じて、おやすみなさい』と言うのだが、いつも口閉じたら息できないじゃんと思っていた。

ドラマや漫画などで見るような誘拐されて口にガムテープを貼られるシーン、もし自分がやられたら窒息して死んでしまうかもしれないと心配をしていた。

運動神経は悪い方ではないが長距離走は苦手で、男子の中ではビリ、男女で見てもかなり下の方だった。これは必ずしも鼻炎が関係あるのかは分からないが、鼻炎の人に多い特徴なんじゃないかと思う。

高校生の時、その時点では自分が鼻炎持ちであることを認識していた。鼻が詰まっていると大学受験の勉強に集中できないことを危惧して、ちゃんと病院にレントゲンまで撮って診てもらったことがある。その時に以下のような診断を得ている。

・血液検査の結果、ハウスダスト・ダニのアレルギーであること

・レントゲンの結果、鼻中隔が右に曲がっていること(鼻中隔湾曲)

この時のレントゲンはCT(3次元での撮影)じゃなかったと記憶しているが、それでも鼻中隔湾曲と診断されている。まず鼻中隔湾曲の手術をして、その後舌下免疫療法によってアレルギーを無くすことが完治の方法であることを医者から言われた。また、まだ若いので、鼻粘膜レーザー治療(鼻粘膜焼灼術)によって改善する可能性があることも言われた。

なお、レーザー治療は受けたが全く効果なかった。

大学生以降、お酒を飲むと必ず鼻が詰まった。タバコも吸うようになったがタバコの鼻に対する影響はあまり分からない。

また、大学生の時に、虫歯で歯をやられ、後に全滅することとなる。

どういうことかというと、まぁこれは鼻炎のせいだけではない。ただ、鼻炎だと口呼吸が基本になり、口が乾燥しやすいので虫歯になりやすいという事実はある。そして、それをお金がなくて治療できなかった。もちろんお金がないのは鼻炎は関係ない。ないものは無い、それだけ。歯については後に社会人になってから数年と数百万円掛けて直すことになった。

社会人以降は、点鼻薬を常備するようになった。点鼻薬を使うと鼻は通る。この頃から、鼻が詰まったら点鼻薬を使って鼻を通すようにしていた。なので鼻詰まりで苦労することが少なくなった。

点鼻薬は、使いすぎると点鼻薬鼻炎になり余計酷くなり点鼻薬も効かなくなってしまう。医者には使っても週1までと言われる。でも週1で足りるわけがない。ここ3年くらいは1日4~5回くらい使用して安定していた。この安定に入るまでが大変だった。1日4〜5回は普通の人にとっては使いすぎなので、最初からそのペースで使うとすぐ副作用で点鼻薬が効かなくなると思われるし、医者や薬剤師も絶対にそんな使い方は勧めない。でも私の場合は長年のトライアンドエラーによってその回数でバランスが取れるようになったのだ。この境地に至るまで10年掛かっている。

なお、ここで言っている点鼻薬は、塩酸ナファリゾンを主成分とする血管収縮系の点鼻薬である。先に触れたように副作用が他の系統(ステロイド系など)と比べて強いので使う場合は自己責任か医者・薬剤師に相談して使ってください。私は責任持ちません。

点鼻薬の種類参考:http://endo-ent-clinic.jp/nose/post-318.html

鼻炎の民にとって馴染みのある点鼻薬。この2つ以外はコスパ悪いので選択肢に入らない。

画像1

定番のナザール

画像2

最近出たマツキヨPBのやつ

点鼻薬によって安定はしていたものの、それでも不便なことには代わりなく、外出して薬を家に忘れた時は薬局を探さなきゃいけなかったり、寝る前に点鼻薬使っても朝には切れて鼻詰まっているので普通に鼻詰まりで困っているのには変わらない。

治療を受けるタイミングについて

社会人になり、お金が溜まってきた頃から、鼻中隔湾曲症の手術をいつか受けようと心に決めていた。しかし、なかなかタイミングがない状態が続いていた。

仕事で心に余裕が出てきた頃、まず、鼻より前に先に少し触れた歯の治療をすることにした。これに数年掛かっている。

この歯の治療も自分が鼻炎であることを嫌でも意識させられた。歯医者は当たり前だが患者の口を開けて長時間歯をいじる。その間、患者は口呼吸ができない。鼻が詰まっていると、かなり息が苦しい。点鼻薬で鼻が通っている場合でも、必ずしも長時間鼻だけで息できるレベルまで通っているわけでは無いので本当に辛かった。

もちろんボロボロの歯や歯茎を治すのに何回も手術したので、鼻炎がなくても普通に辛かった。

歯の治療を通じてさらに鼻を治すべきだと決意したが、歯の治療と同時並行はできないので(鼻にガーゼ入れている時に歯の治療したら窒息死するので)、歯の治療が終わったら鼻の手術をしようと決意する。

病院を紹介してもらうまでの遠回りな経緯

2021年1月ごろだったと記憶しているが、副鼻腔炎(昔の言い方をすると蓄膿症と同じ)に罹る。

副鼻腔炎には何度か罹ったことはあり、耳鼻科に行って薬を貰えばいいことも分かっている。ついでにこの慢性鼻炎の治療も相談しようと思った。

私は医者に以下のことを伝えた。

・鼻炎を完治させたい

・幼少の頃に鼻中隔が曲がっていると診断されたことがある

・昔レーザー治療もしたが効かなかった

それに対して医者はこう答えた

・投薬していれば症状は治る

・根本的にはアレルゲンを断つしかない。家を清潔にしろ

・点鼻薬は使いすぎるな

このようなことは以前にも別の耳鼻科の医者に言われたことがある。以前の医者もまた別の酷い対応をされたのだが、その話は一旦置いておこう。私はこの内容について疑問しか抱かなかった。投薬しても効果はなかった。点鼻薬がないと何も変わらなかった。

また、アレルゲンを断つことについて、我が家は普通程度に清潔だし空気清浄機も2台を24時間365日入れっぱなしにしている。それ以上に何をしたらいいのか。

副鼻腔炎は治ったが、慢性鼻炎に対してはなんの進捗もないまま数ヶ月間通って薬をもらい続けていたが、さすがにこれじゃなんの意味もないなと思い、以下を伝えた。

・鼻中隔湾曲の手術を検討してほしい。できるところを紹介してほしい

すると、以下が返ってきた。

・うちではやってない

・紹介先についてどこも今はこんな状況、ご時世だから受け入れてない

『こんな状況』、『このご時世』、とは、もちろん新型コロナウィルスのことであるが、とにかくこの医者は『コロナ』と直接的な表現は避けて曖昧な言い方しかしなかった。これだけではないが、この曖昧なものの言い方が私にとってこの医者を信頼できないと判定するきっかけとなった。これは私見だがとにかく不必要に物事を曖昧に表現する人は信頼できない。

そこで私は『紹介先が受け入れてくれるかどうかは私から確認します。紹介状のお金を払うので紹介状を書いてください』とお願いして書いてもらった。

そして大きい病院を紹介してもらい、診察を受けた。コロナ禍だから受け入れていないと言うこともなく、当日中にすぐCTを撮ってもらい、結果を見ながら説明してくれた。

『鼻中隔が相当曲がっていて空気が通りにくい状態ですね。手術で治ります。手術しましょう。』

私はその言葉で安堵に包まれた。私の思っていた通りだった。そして今まで診てもらった医者へ抱き続けた不信感もここに辿り着くまでの布石だったと思うと赦された気がした。

手術の日程は約3ヶ月ほど先まで埋まっており、ここから手術まで3ヶ月間空いている。その間に、感染症の検査、コロナのPCR検査、家族も含めて手術についての説明、などがあった。

入院と禁煙

入院の6日前に麻酔科の説明を受けた。手術は全身麻酔を使うのだが、肺への負担があるので本当は手術の1ヶ月前から禁煙する必要があるが、もう遅いので今から禁煙しろとのことだった。

また、手術前だけでなく手術後も入院中はタバコを吸うことができない。一昔前だと喫煙所がある病院も少なくなかったと思うが、もうそう言う時代じゃなくなっている。また外出してバレないようにこっそり吸うのも不可能で、コロナ感染対策のためにそもそも外出自体が禁止だった。

とにかく、手術を検討している喫煙者は手術1ヶ月前からの禁煙が必要と言われるし、入院中も禁煙を続けなければならない。

結果、禁煙は頑張って実施した。どのように辛くてどのように頑張ったかを書くと長くなるのでここでは省く。

手術前の禁煙は辛かったが、入院中は特に吸いたいとは思わなかった。退院後の今も今の所は吸いたいと思わなくて済んでいる。仕事が忙しくなったら分からない。

手術を検討している喫煙者が、辛い思いをして禁煙の指示をちゃんと守った方がいいかどうかについては、私はしたほうがいいと思った。禁煙をしていなかったら手術後が自分が体験した状態よりももっと辛くなっていたかもしれない、と思うと禁煙をしておいてよかったと思っている。どのような体験だったかは後編に記載する。

病院の選び方について

私の場合、上記のような経緯で近所の大きい病院を紹介してもらい、そこの先生・病院が十分に信頼できたため、特に他と比較・検討はしていない。

ただ、世の中には鼻中隔湾曲の手術を実施している病院・クリニックはたくさんあるし、施術の方法も異なる。

例えば、私の場合は全身麻酔による手術+9日間の入院、術後はガーゼを入れっぱなしで退院時に摘出というものだったが、それに限らず、部分麻酔による日帰り手術だったり、入院が2~3日だったり、ガーゼじゃなくてスポンジやシリコンを入れて術後の楽さを主張している病院・クリニックもある。

もちろん楽な方がいいに越したことはないが、楽かどうかよりも、実際に先生と話したり病院に行ってみて、信頼できるかどうかを判断材料にして探すべきだと思う。いくら楽な施術方法であっても、そもそもあまり信頼していなかったら精神的に辛いはずである。

入院〜完治まで

鼻中隔湾曲症手術を受けた話〜後編〜 




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?