見出し画像

2023年色々話題のイランに行ってみたら想像以上に凄い国だった 日本での準備編

日本にいる時からトラブルがあった

 前回の記事の最後に、「イラン旅行の楽しい部分はまた後日記事にする」と書いた。
 すまん、ありゃ嘘だった。
 というのも、よくよく考えてみれば今回のイラン旅行では日本で旅行計画を立てている段階から色々と困った事が起きたのである。
 日本は狭いが、人口は多い。近々イラン旅行を計画している人が、数は少なくとも必ずいるはずである。そんな人々が楽しくイラン旅行に行けるよう、私が日本にいるときに体験した「困った」を共有しておきたい―――そう考えて今回の記事のテーマを決めた次第である。

旅行に必要な4つのモノ

 さて外国旅行に行こうと思い立った時、必要なモノは4つある。
 1つ目はパスポート。これは言わずもがな。
 2つ目は目的地に行くための航空券。これはグーグルで「航空券」と打ち込んでやれば詳細な検索窓が出てくるので、簡単に調べられる。
 3つ目はホテルの予約、4つ目がビザである。この3と4に問題があるのがイランという国なのだ。

ホテルをどうやって予約するか?

 私は通常、海外旅行に行く際はHotels.comを利用してホテルを予約している。人によってはBooking.comだったりTrip Advisorだったりするのだろうが、とにかくそうしたサービスを利用するケースが多いだろう。
 ところがイランの場合はそうはいかない。Hotels.comやBooking.comにはイランの宿泊施設は登録されていないのだ。
 イランの宿泊施設を探すには、Trip AdvisorやHostelworldなどのサービスを使うか、ガイドブックに載っているホテルから適当な宿泊施設を探した後、自分でメールを送るか電話を掛ける等してコンタクトを取らねばならない。なんというか、20年前の海外旅行かな?という感じである。以下はHostelworldのリンクである。

 ところが、である。Trip Advisorや地球の歩き方で見つけた良さげなホテルに実際にメールをしてみたところ、全く返事が返ってこない。先に結論を書いてしまうと、5件のホテルにメールを送り、返事があったのは2件だけ。その2件も、こちらからメールを送った3週間後(すでにイラン入国の前日)とか、1か月後(もう日本に帰国しちゃったよ!)に返事を返してくるというスローっぷり。旅行までたっぷり猶予があるというのなら別だが、来月にもイランに行きたい!という場合、自分でホテルを予約していては間に合わない危険性があるのだ。

旅行代理店を頼る

 イラン入国まであと2週間ほどになったにも関わらず、ホテルから返事が来ない。私は焦った。
 そこでプロの力を借りることにした。旅行代理店である。

 上記は私が利用した代理店のウェブサイトである。
 もうあまり日にちが無いので代理店に直接出向いて行って相談したい。私は東京住まいであるので、東京の代理店を探したところ、イラン政府公認という心強い文言が踊っているこの会社を見つけた。なお、私が訪問した2023年5月中旬の所在地は人形町だったが、5月末にお引越しをして馬喰町の方に移転したようである。凄いタイミングで訪問したもんだ。

とんとん拍子で話が進む

 まずは電話してから来いと書いてあるので電話してみると、流暢な日本語を話す女性が出てくれた。
 「担当の雨宮です」。ほう、日本人スタッフもいるらしい。
 日時を指定し、事務所まで向かう。事務所のドアを叩くと、明らかに日本人離れしたエキゾチックな美女が出迎えてくれた。
 「初めまして、電話でお話ししたエマミエです」
 そう挨拶されて気付いた。雨宮さんだと思った女性は、エマミエさんだった。
 とにかく私は旅行計画を説明し、イスファハーンとシーラーズに滞在する事、出発までもうあまり時間が無いことを説明した。するとエマミエさん、ホテルの等級はどのくらいが良いか聞くので、「普通の三ツ星ホテルでいいんですけど」と答えると、「イランの場合、四ツ星ホテルくらいで日本の三ツ星に相当する感じです。四ツ星で探しますね」とテキパキMacBookを操りTrip Advisorのページを数枚はじき出す。「イスファハーンとシーラーズですとこの辺のホテルがオススメです。時間が無いので、第3希望くらいまで決めてください。順に電話を掛けますので、予約が取れた所に泊っていただく形になります」。ううん、頼れる感じ。

ビザ取得にも問題がある、それがイラン

 イランの前にネパールを訪問する都合上、日本出国まであと10日ほどに迫っていたが、イランで宿泊するホテルが決まっていないのでビザの申請が出来ていなかった。個人でイラン入国ビザを申請する場合、滞在場所の記入が必要だからである。
 という事をエマミエさんに説明していると、部屋の奥から大柄の男性がぬっと現れてきた。この会社の代表のエマミエさんである。名前が一緒なので、多分お父様であろう。ややこしいので以下「代表」と記す。
 代表は現れて早々、とんでもないことを口にした。
 「今、個人向けのビザの発給やってないですよ」
 私は耳を疑った。ど、どういうことですか代表!?
 詳しく聞いてみたが、どうもこうもない。ビザの発給の為にはイラン大使館とやり取りをしなければならないのだが、個人でビザの申請に行ってもビザを発給してくれないらしい。しかもタチの悪いことに、申請を受理してくれないならまだしも、受理しておいて一か月後くらいに「貴方には発給しません」という連絡を寄越すというのだ。つい先日も、十分時間に余裕を持ってビザ申請した男性が、出発直前になってビザ発給を断られて、この会社に泣きついてきたそうだ。
 上記はあくまで代理店から受けた説明であり、私自身が身をもって経験したことではないから確証は無い。代理店を通してビザ申請すると、色々と手数料を取られて高くつくのも確かだ。だがビザはその国に入国するに当たって必要不可欠な物だ。敢えて言えばパスポートの次くらいに大事なものである。アライバルビザ(到着した空港でビザを申請・取得する事)も選択肢としてはあるが、以前インドでそれをやった際に1時間以上待たされたし、万一ビザが下りなかったら強制送還である。リスクが高すぎるのだ。
 ここはプロにビザ申請を任せるのが得策だと私は考えた。お急ぎ手配料金含め18,000円であった。
 ここで私のカンが冴えた。家を出るとき、「ひょっとしたら必要になるかも」と思ってパスポートを持参してきたのである。代表が「今パスポート持ってる?急いで申請しなきゃだから、あると助かるんだけど」と言うので、私は「こんなこともあろうかと!」というドヤ顔をしながらパスポートを手渡した。皆さんも、ビザ代理申請を依頼しに行くときはパスポートを持っていくとスムーズに進むと思われる。
 なお私のケースだと、申請依頼からおよそ1週間でイラン大使館からビザを印刷した用紙とパスポートがレターパックで届いた。この辺は場合によって差が出るだろうから、必ず1週間という保証は出来ない。ビザの申請はなるべく早めの方がいいだろう。
 なおイラン大使館から届いたビザを印刷した用紙がなんと赤の他人のパスポートのコピーの裏紙だった。イラン大使館、適当にもほどがあるぞ。データも送られてきたから、しょうがないので自分で印刷し直した物をイランには持参した。

イランにいくら米ドルを持っていくか?

 代理店を尋ねた時、私はすでに500米ドルを用意しており、代表に「8日間なら、これだけあれば足りますよね?」と聞いてみた所、「今イラン物価上がってるから、もうちょっと持ってった方が良いよ」と念を押された。
 詳細は今後書く(であろう)記事に譲るが、結論だけ書くと私は8日間のイラン旅行において、
 「670米ドル+日本円で3万円」を消費した。1ドル140円で計算すれば12万円以上である。今この記事を書くために冷静に計算し直して、自分の金遣いの荒さに愕然としている。もちろんホテル代、航空券代は別。小さい物とは言え、ペルシャ絨毯を2枚も買うというエクストリームな買い物をしたせいもあるだろう。大雑把に言って、絨毯2枚で350ドルくらい持っていかれた。でもさ、欲しいじゃん、イランに行ったらペルシャ絨毯…

典型的なイランのケバブライス

 次にイランの物価を考えてみよう。上記のようなケバブライスを頼んだ場合、店にもよるが大体350万リアル程度の事が多かった。それはつまり7米ドル、おおよそ1,000円という事になる。ボリュームを考えれば安いが、2019年頃の経済制裁によって経済が破滅していた頃と比べたら価格は正常化している。一方でコーラひと缶19万リアル≒53円くらい、紅茶のティーバッグ1箱25バッグ入りで50万リアル≒140円と、安い物もある。ペルシャ絨毯などの特産品を除き、生活コストは日本と同等かやや安い程度ではないかと思う。現金をいくら持っていくかは個々人の旅行計画によるので一概には言えないが、かつてのように安いイランで豪遊、という訳にはいかないというのは知っておいて欲しい。それにイランでは基本的にクレジットカードは使えないので、「このくらいあれば足りるだろう」という金額にさらにプラスアルファした金額を持っていく事をオススメしたい。

終わりに

 いかがだっただろうか。イラン旅行に行くためには、前準備の段階で色々苦労があることが分かっていただけたと思う。イラン旅行の鉄則はどうやら早め早めの準備であるらしい。そして困ったらプロ(旅行代理店)を頼る。旅行慣れしている人ほど自分で準備することに慣れ切っており、代理店という発想に行きあたらないかもしれないが、イランという強敵が相手の場合、その道のプロに依頼するのは理に適った選択と言えるだろう。
 
 次回こそ、楽しいイラン旅行を記事にしたい…と思う。

次回、イスファハーンでのてんてこ舞い編

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?