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【近接戦闘】兵器としての槍3ー「長刀は相当の効力あり」

以下は、百団大戦中における中共軍戦闘報告書である。

自今戦闘部隊は毎班、長刀一本を携行し又短銃を携行せる幹部も各人長刀一本を携行すべし。
白刃戦闘中に於いて長刀は相当の効力あり

飯沼部隊「他山の石」『偕行社記事』偕行社、昭和16年、第803号、104項。

「長刀」を班ごとに1本装備し、拳銃をもつ幹部も装備すべきだと述べている。
そして、「白刃戦闘」「相当の効力」があるとされる点に注目したい。
実戦で使用したという直接の記述は見当たらないが、相当の期待をかけられている。

「長刀」とは何なのか

ざっとネットで調べると、「なぎなた」(薙刀)のことを「長刀」と呼称することがあるという。
しかし、「なぎなた」を中共軍が使用した事例は管見の限り見当たらない。

そこで、中国側文献をみると、「長剣すなわち長槍」という記述(※)を見つけた。

おそらく、報告書の「長刀」は、「長剣」のことではないだろうか。
中国語から日本語への翻訳の過程で、何らかの変化があったように思われる。
この場合、「長刀」は槍を意味する

しかし、「長刀」という呼称の槍ではない兵器が存在した可能性は否定できない
だが、そのような刀剣が使用されたという話は管見の限りないので、あまりメジャーにはならなかったのかもしれない。

※ 朱徳「抗日遊撃戦争」日中戦争史研究会『日中戦争史資料―八路軍・新四軍』龍渓書舎、242項。


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