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中共の軍事組織2ー井岡山の時期

ここでは、井岡山の時期における中共側軍事組織について述べる。



注目点:目的によって武装が変化?

ここで注目したいのは、各軍事組織の目的によって武装に変化があった可能性である。
つまり、反逆者の弾圧・軍協力が目的であれば、装備は原始的なもので十分となる。
しかし、政府側民兵との戦闘には、原始的な武装では不十分で、小銃が配備されたのだろう。
また、政府軍との戦闘を企図したと思われる「赤軍」には、重火器が装備されていた点も注目すべきである。

井岡山時代の軍事組織

毛沢東「井岡山の闘争」によれば、中共側軍事組織には「労農暴動隊」「赤衛隊」「赤軍」がある(1)。

なお、のちの瑞金時代には、「赤衛隊」は広く民衆を組織するものの、戦闘力は弱い民兵制度(井岡山時代の労農暴動隊に相当)を指すようになったという(※2)。

「労農暴動隊」
任務:「反革命を鎮圧」して地域政権を防衛
   赤軍・赤衛隊に協力
装備:「ほこ」「先込め銃」
つまり、反逆者の弾圧軍への協力が目的の組織なのだろう。
原始的な装備しか保有しておらず、戦闘が主目的ではないと思われる。

「赤衛隊」
任務:政府側民兵組織との戦闘
   本論文によれば、戦闘は頻繁に行われている。
装備:「五連発銃」を主とし、
   「九連発銃」「単発銃」も装備。

「赤軍」
任務:おそらく政府側正規軍との戦闘。
編成:1個連隊当たり歩兵3個大隊を基幹。
   これに、機関銃中隊・迫撃砲中隊も加わる。


参考文献

※1 毛沢東「井岡山の闘争」1928年11月25日、105-106項
(『毛沢東選集 第一巻』外文出版社、1968年)
※2 宍戸寛『中国紅軍史』河出書房新社、377項。


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