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おとめ座は手帳を変えて、モチベーションと生産性が爆上がりした

毎年唸るほど悩んで手帳を買うのに、長続きしなかった。

スケジュールはスマホのアプリにも入れるようになったが、紙の手帳の一覧性やマーカーで印をつけられるのが好きで、結局そちらにもせっせと書いている。スマホだとたくさん予定がある時に「他3件」と省略されるのが嫌なのだ。その日のマスにぎっしりと予定が詰まっているのを見て、この日がこんなに忙しいなら早いうちにあれとそれを、とか考えるのがなんだか効率がいいような気がしている。せっかく使うのだから使いやすいものをと、来年の手帳が出る秋頃から文具コーナーに通い詰め、年末まで悩みに悩んで選び抜いた1冊のはずなのに、気がつくとマンスリーのページに予定を書き込むだけになっているのだ。そして来年こそはと意気込んで手帳コーナーに通い詰める……ずっとその繰り返しだった。2022年の手帳を選ぶ時は、もうすっかり諦め気味で、いっそマンスリーページしかないタイプの手帳でいいのではないかと思ったほどだった。

どうして手帳が続かないんだろう。

予定を確認するために毎日のように手帳には触れている。どんなに長く離れていても、1週間は空かないだろう。手帳の本来の機能である、「予定を忘れないようにメモしておく」のはそれで達成されているはずだ。でもそれだけでは私は満足できなかった。ウィークリーのページや、ほぼ日手帳のような1日1ページの手帳に、ぎっしりびっしりと書き込むような手帳術をやってみたいのだ。毎年1月くらいは一所懸命書き込むのだが、数日ウィークリーのページに触れない日が続いてまとめ書きをするようになると、だんだん嫌気が差してきてそのページを開かなくなっていく。数ヶ月後に思い出したように再開することもあるが長続きはしない。そうして年末には空白ばかりの手帳を前に落ち込み、また文房具屋に行く……幾度このサイクルを繰り返したことだろう。

ぎっしりびっしり書く手帳術は大別して二つある。一つは日中のアポイントやタスクを手帳上で管理するビジネスログ、もう一つはバレットジャーナルだ。バレットジャーナル本来のやり方では手帳を使わずドット方眼のノートに自分でレイアウトを作っていくが、既存の手帳の枠を活用してバレットジャーナル的に記入している人も多い。そしてイラストやシールやマスキングテープなどで可愛らしく装飾して楽しむ。InstagramなどのSNSには自身のバレットジャーナルをアップロードする人がたくさんおり、人気のアカウントともなれば、美麗なイラスト満載の芸術品のようなページだったりする。仕事の出来ない自分をどうにかしたくてバレットジャーナルと出会った私は、実例を求めて見つけた美麗バレットジャーナルの数々に圧倒され、虜になり、自分もこんな風にやってみたい、とのぼせ上がるようになった。

でも、書いても書いてもうまく行かなかった。

バレットジャーナル本来のやり方は、日々のタスクを書き出して、出来た出来なかったをチェックしていく。その時の箇条書きリストに使う「・」が弾丸=Bulletのようだからバレットジャーナル。私は本来のやり方に忠実に、毎日のタスクを書き出してチェック、チェックしていった。これは横入りのタスクがあったから出来なかった。このタスクに思いの外時間がかかったから、その先まで辿り着けなかった。その日の成果を書き込む度に、朝に思い描いていた完璧でデキる自分とはかけ離れた情けない姿を突きつけられているようで、タスクを書き出すページを開くのが苦痛になっていった。かといって美麗バレットジャーナルに仕上げるためには、書き込みのない日など許されるはずもない。サボった過去の分を書こうと記憶を辿っても、自分が何をしていたのか全然思い出せない。自分のデスクやPCフォルダやメールを見ても、大したことをしていなかった形跡しか見つからない。バレットジャーナルに取り組めば取り組むほど、私は美麗バレットジャーナルを仕上げる資格のないダメ人間なのだと突き付けられているようで、ますますタスクのページを開くのが重く苦しくなった。

「……どうやったら手帳が続くんだろう」

2022年の正月休み、家族が寝静まったリビングで真新しい手帳と対峙した私はそう独り言ちた。2022年の私の目標は「自発的な行動」だ。子育てと育児に追われる日々の中で、目標と今取り組んでいることを忘れないためにも、マンスリーページのスケジュール以外にも記録をしておくことが大切だと考えた。忙しくてやりたいことに取り組めない日があっても、昨日は頑張った、先週はこんなに出来た、という記録があれば自分を励ますことが出来るのではないかと思ったからだ。

今こそ、手帳を続ける秘訣を編み出さなければなるまい。

手始めに私は去年の手帳を見返してみることにした。週間レフトのウィークリーページはほとんど真っ白だったが、1月いっぱいくらいまでは何とかバレットジャーナルっぽいことが書き込んである。ページの右側にも今週やるべきことや備忘メモがびっしりと書き出され、出来た、出来なかったのチェックが細々と入れられていた。タスク管理そのものについては、スマホで管理した方が圧倒的に楽だという結論に2021年のうちに達していた。というかこの週間レフトの書き込みを毎週書いて、未完了のタスクを次週に書き写すのに疲れてしまったのだ。タスク管理アプリでやるべきことを一気に書き出し、今日やるものに印をつける。細かい期限などの設定は面倒くさいのでやらない。それだけで、アプリ内にやるべきタスクが集約され、日が過ぎても週や月が変わっても書き写す必要がないので、至極快適になったのを覚えている。その感動を思い出しながら改めて2021年の週間レフトのページを見てみると、なんて無駄で効率の悪いことをしているんだろう、と我ながらうんざりした。

「うんざりするの、やだな……」

そう思いながらページをめくると、時々青いインクで一言日記が書いてあった。息子と一日遊んだ。友人家族が遊びに来た。そうだ、この頃は臨月で、娘はまだお腹の中にいたんだ。産休なんて名ばかりで、インタビュー記事作成に追われていたっけ。息子が発熱したり、娘のお雛様をショールームで決めたり。出来なかったタスクの羅列はとても直視できなくて、一つ一つじっくり読まずに目を細めて読み飛ばしていたけれど、たった数文字の一言日記はそれだけで当時のことを思い起こさせてくれ、気持ちが温かくなった。

そうだ、そうだよ、こういうのが良い。

開いた時に、読み返した時に苦しくなる内容じゃなく、嬉しくなるようなページがいい。
嬉しくなるページだったら何回も開きたくなるんじゃないかな。
何回も開いて、こまめに書くようになって、バレットジャーナルっぽくなるんじゃないか。

私は自分の閃きに舞い上がった。バレットジャーナルは手帳を自分好みに自由にカスタムできることが最大の魅力なのだ、書く内容も私好みにカスタムしたっていいじゃないか。最初は一言日記を手帳に書こうかと思ったが、せっかくなので3年はほったらかしだった10年日記を再開することにし、大元の手帳にはやるべきタスクではなく、やったこと、出来たことを書きつけていくことにした。仕事のタスクが終わった、野菜の副菜を作れた、娘や息子と散歩に行った。その日私が頑張ったことを書けば、そのページを開いても苦しい気持ちにはならないはずだ。後で見返したくなるような温かいものをびっしりと書き込めるはずだ。

この作戦は大当たりだった。最初こそ数日サボってしまい、後から唸りながら何をしていたか思い出して書き込む日もあったが、調子が出てくると寝る前に手帳に今日の成果を書き込むのが楽しみでたまらなくなった。自分がやったこと、頑張ったことで埋め尽くされたページを眺めるのは何と心地よいことか。そのうちに、その日のページにもっと書き込みたいがために、隙間時間で出来ることを探すようになった。かつて大嫌いな仕事をやりたくなくて脇道に逸れてばかりだった私が、仕事や家事をどんどん前倒しで取り組めるようになってきたのだ。手帳に書く内容を変えただけで、たった1ヶ月でここまで劇的に変化が訪れるとは思わなかった。

素晴らしい、素晴らしすぎる。やっぱり手帳って素晴らしすぎるよ。

改めてInstagramの美麗バレットジャーナルを眺めてみると、本来のやり方で実施している投稿は殆どなかった。その日や一週間の日記を書いて、仕事ではなくプライベートの過ごし方や内面を見つめるようなものが多い。そうしたインスタグラマーの多くは、手帳を複数持って使い分けている。投稿していない手帳の方は、もしかしたら仕事のタスクでびっしりなのかもしれない。美麗バレットジャーナルも、私のように後で見返した時に嬉しい気持ち、温かな気持ちになることを目指して作られていたのだと思い至った時、何か溜飲が下がったような、腹に落ちたような感覚になった。

バレットジャーナル本来の、やるべきことを書き出した手帳は、未来のために書いている手帳なのだろう。その日に使える時間とやるべきタスクを可視化して自分の持つエネルギーをうまく配分していく。そういうやり方が合っている人もいるのだろうと思う。そしてそういう手帳は、美しく飾り立てられる暇もなく、メモ書きとチェックマークで埋め尽くされていくのだ。私が発見したやり方は後から振り返った時のために書く手帳だから、バレットジャーナルとしては亜流なのかもしれない。でも実際そういう使い方をバレットジャーナルと呼んでいる人はたくさんいる。どんな使い方でも、その人が手帳ライフを楽しむことができるなら、それをバレットジャーナルと呼んで構わないのだろう。私はこの二つを混同したまま実施しようとしていたから、うまく行かなくて苦しかったのだ。

今日この記事をnoteにアップロードを終えたら、私は早速手帳に「note記事UP!」と書き込むだろう。
その書き込みが、来週の私の記事UPモチベーションを大いに高めてくれるに違いない。

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