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折り畳み傘 〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

コンビニの折り畳み傘がとても楽しい。

ボタンを押したら勝手に伸びてシュバッと開く。
また押したらシュバッと閉じる。

好きすぎて無駄に押してるし晴れてても傘をさしている。当然ながら、雨と日差しを防げて便利だ。

嫌なことも全部傘で防げたらいいのに。前に傾ければ見てみぬふりができる。軽く揺らせば振り落とすこともできる。

でも風邪がふけばコウモリ傘になって、どんどん水が溜まっていく。よく拭かないと黒い雨染みが残ってしまう。

頭は濡れなくても荷物は防げないし、ズボンも靴もダメになってしまう。ならいっそ全部濡れてしまおうか。

小さい頃、水たまりに飛び込んでいたのが懐かしい。ミュージカル映画で雨に濡れながらも歌い続ける主人公は輝いて見えた。

いつからだろう。雨が近づくと頭痛がするようになったのは。さしてる傘を放り投げ、明日に向かって走りだそうとしても、身体に貼り付く服が気持ち悪いとわかっているから柄を握りしめている。

晴れて虹が出ると嬉しくなる。「やまない雨はない」。確かにそうだ。でも晴れた日の温もりを知るために雨があり、それは大地に恵みをもたらすともいえる。

そんなことを考えながら、またボタンを押してシュバッとさせる。

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