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高ければ作る、それがエンジニア #リフロー炉

DIPデバイスは場所を取るしPCBでの配線の邪魔

かつてからの #電子工作 の味方であったDIPデバイス。手ハンダで実装するには便利だし、ユニバーサル基板で何かを作るときには標準的に使ってきた。

けれど、最近では表面実装( #SMT とか #SMD とか)が多く、色々な種類のチップ部品、IC、SoCなどが容易に入手できるようになってきた。
が、表面実装での問題は、そのハンダ付け。
1~2mm角のチップ部品を手ハンダしろというのはできなくはないけれど、できればやりたくない。(視力の問題もあるし)

電子機器の製造現場では、リフローなる方法がある。
それを実現するには、専用のリフロー炉が必要なのだとか…。
ん~、いくらするの? 個人で買える?
軽くAmazonで調べてみたら、4~8万円…たけぇ…。

なら、作っちまおう。

リフロー炉を作るちょっと前

リフローってどんな感じで進むのかを確認するため、もうほぼ使っていないサビサビ中華鍋の上に基板にクリームハンダと部品を載っけてまずは実験。
コンロの温度を180℃ぐらいに設定して、点火!
ををを、まずはフラックス成分が溶けていく。
次にハンダ粒が溶けていき…キラッキラに輝き始め、基板と部品の足が溶着していく…。

お試し基板 秋月電子SOP20の変換基板
クリームハンダを塗り塗り(今見ると確実に量が多すぎる)
部品を載っける

この温度で…部品は大丈夫なのか、とか色々思う。
出来上がった基板を観察すると、ちゃんとくっついている。
動作確認をすると、ちゃんと動く。(この高温でもいいんだ…と思うリフロー初期段階の乏しい経験値 😅)
リフロー炉…欲しい…。

中華鍋で焼いた結果…(鍋で焼いている写真撮り忘れぇ)

高けりゃ安く作る(作れるかどうかの検討は作りながら考える)

リフロー炉に最適なのは、どうやらコンベクションオーブンらしい。
内部に設置されたファンの高熱の風でまんべんなく熱することができる。(らしい)
本物のリフロー炉も熱風式はある。
で、メルカリへGO!

メルカリで4,600円だった

4,600円…やっす。(新品価格は9,280円だが、販売終了品)
どうせフラックスまみれになって将来的には調理に使えないのでこれでいい。250度まで行けるようだし、リフローには十分な温度。
さて、どうする?

コンベクションオーブンの魔改造

多分…開けちゃいけないやつだとは思うよ、うん。
でも、目的を果たすためには…。
基本的に、内部の改造はしない。(どうなっているかわからない)
外装に穴あけをして色々な補助具を取り付けるのが開けた目的。

リフローに必要なのは、温度プロファイル。
リフローに必要なのは、温度プロファイル。

リフロー 温度プロファイル(例)

個人で使うものだし、大量生産は基本的にはないので、PB入クリームハンダ(ハンダの融解温度は183℃)の設定で設計。
なので、ピーク温度は195℃に設定。
温度の測定にはK型熱電対プローブを使用。(秋月電子 販売コード 100306)
プローブだけだと、マイコンで温度が測れないのでSPI接続のK型熱電対アンプモジュール(秋月電子 販売コード 108218)も使用。
色々とゴニョゴニョやって…出来上がったのがこれ。
リフロー用の制御基板はリフローできないという矛盾を抱えて、ユニバーサル基板で作っています。

リフロー炉 本体(試験中でバラック状態)
制御部の中身…
動作試験の最初の犠牲者
結果

初期段の設計から温度や時間のパラメータを調整し、今では無事にリフローできるようになって日常的に使っています。温度のパラメータはかなり微妙なさじ加減が必要でした。
リフロー中のフラックスの悪臭に苦しむ…。🤮
使っていないアイドル中は、数値がパラパラとランダムに表示され。一桁ごとに乱数が表示されるようなデモ機能も入れてある。
(ニキシー管のカソードポイゾニング抑止のため…と、アレっぽくするため…)

リフロー中

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