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一度掴んだら離さない、その魅力はまさにすっぽんのよう。私たちはまだ知らないすっぽんの魅力に酔いしれる。今宵の月のように。


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一度掴んだら離さない、
その魅力はまさにすっぽんのよう。
私たちはまだ知らない
すっぽんの魅力に酔いしれる。
今宵の月のように。

prologue〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


(味の感想は★からです)


今回のお店は【志龍】さん。


麻布十番にありますは
すっぽんをメインに据えたすっぽんコースが
楽しめる日本料理屋さん。


場所は麻布十番駅1番出口から歩いてすぐ。
サンピア麻布十番の6階。
整然としたカウンター席が凛としていて。
けれど店主さんの気さくな話し方を見て安堵する。とても居心地の良い空間だ。


時刻は19:30ごろ。
お店は完全予約制でこの日は私の前に1組だけでほぼほぼ貸切状態。
常連さんが多いらしくて、お客さんの要望によってメニューの構成を変えたりすることもあるらしい。
嬉々としてお話しする店主さんはお若くてびっくり。私より少しお兄さんでこの佇まい。
尊敬でしかない。


私はすっぽんコースをいただくことに。
すっぽんコースを軸に毛蟹や和牛を絡めたコースもあるようだ。


コースの始まりは胡麻豆腐。
馴染んだサッポロ黒ラベルのお供にしてはなんとも大人なアテになる。楽しみだ。
それではいただきます。

Report〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜★
★・すっぽんコース   ¥25000

・胡麻豆腐
外はカリッと、
中はふわっと抜群の焼き加減の胡麻豆腐。

「なんでもかんでも炭火で焼けば良いものではない。電気で焼いたほうが美味しいものもある」

胡麻ダレの上品な甘さにお豆腐の甘さがなんとも言えないが、やはり主役はこの食感。
サクサクカリカリとした不思議な食感は心地よく、この香ばしさをビールで流す至高のひととき。


・レバー
すっぽんのレバーと管を茗荷と一緒に和え、
うるいに添えた一品。
すっぽんのレバーを初体験、というよりかは元々レバーが苦手なので少し躊躇。

しかしこれが食べられる。
というよりかはめちゃくちゃ美味しい。
なんだこれ。

レバー独特の臭みや匂いなんかは一切なくてただただ食感の良さと茗荷の香りをシンプルに感じる。
正直初めてレバーという食べ物を美味しいと思えた。これはすっぽんのレバーが美味しいのか、それとも志龍のすっぽんが凄いのか。
恐らくはその両方だ。


・塩レバー焼き
お次はすっぽんのレバーを塩焼きで。
こちらはよりレバー感があるが、やはり癖っぽさはなくめちゃくちゃ美味しい。
抜群の塩加減と溶けるような食感が堪らない。
なるほど、レバー好きな人ってこんな感覚なんだ。ようやくレバー好きの気持ちが理解できた気がする。


・すっぽんまん
すっぽんのお肉で餡を作り、
肉まんのように仕上げたすっぽんまん。
上からトリュフをたっぷりと。

味わいはいわゆる肉まんの上品版。
ですが、とてもわかりやすく旨い。
すっぽんのみのコースとのことで繊細なお料理ばかりだと思っていたので少し意外。

「日本料理ってだいたい味付けのベースが似ていてコースだと飽きてしまうかもしれない。だから色んな角度からすっぽんを楽しめるようにしています」

確かにこのタイミングで、見知っている味だ!と錯覚させてくれる肉まんが出てくるだけで全然印象が違う。
こういう楽しみ方もできるんだ。すっぽん。


・すっぽん山椒焼き
炭火でじっくりと焼き上げたすっぽんの山椒焼き。すっぽんを敢えて形容するなら鶏肉に近い印象があるので、この食べ方はまさに地鶏の炭火焼き。旨いに決まってる。

鶏肉のような淡白さの中に、すっぽんらしい奥行きのある海鮮の旨味を存分に楽しめる。

すっぽんって出汁とか鍋とかのイメージしかなかったが、焼きってこんなに旨いんだと。
僕たちはすっぽんのことをまだ何も知らない。


・からすみビーフン
すっぽん出汁を染み込ませたビーフンにたっぷりのからすみとキャビアを添えた一品。
からすみの香りにじっとりと染みたすっぽんの旨味がまさに沁みる。
キャビアはもちろん飾りじゃないのよ
塩気のアクセント。

このビジュの良さからは
想像もつかない繊細な味わい。
ただすっぽんまんや山椒焼きを経ているからかこの繊細な美味しさにも対応できる。
大将おすすめの日本酒と合わせると、
自分も少し大人になった気分。


・すっぽんのおかき揚げ
柿の種を砕いた衣で仕上げたすっぽんのおかき揚げ。
先述した鶏のような食感に、ゼラチン質なとろける食感。いやーこれは唯一無二。
言われないと気付かない柿の種のおかき揚げはザクザクとした食感とほんのりとした辛さが素晴らしい。


・丸鍋
メインである丸鍋。
2人前ですっぽん六匹分の出汁。
お出汁とすっぽんを部位ごとにいただく。

ぷるぷるの食感にあっさりとした肉質、濃厚なすっぽんのお出汁が堪らない。

残ったお出汁を使って、
計4回の贅沢おじやタイムが、いま始まる。


・すっぽんおじや
四回に分けて提供されるすっぽんのおじや。
初めはニュートラルに硬めで提供。
徐々に火を入れていくことで
食感の違いを楽しめる。
基本のおじや、チーズと胡椒でリゾット風、唐墨とキャビア、そして唐墨にすっぽんの卵と贅沢なおじや四連戦。

特に美味しかったのは初体験のすっぽんの卵をあしらったおじや。
すっぽんの卵は鶏卵といくらの間のような独特な構成で非常に美味でした。
美味しすぎておかわりしてしまった。

コースの〆はデザートのわらびもちで。
初体験のすっぽんコースは最高の一言でした。

epilogue〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

すっぽんのコースは初体験で
正直ここまですっぽんって食べ方があるんだ!というシンプルな発見。


「すっぽんのお肉は
毎日食べれるくらい食べやすい」


そう仰る店主さんの気持ちがよくわかる。
お腹は一杯のはずなのに食後の張っちゃう感じなんかはない。


「色々言いましたが、これが僕の本気です」


お話し好きだという店主さんに
色々なことをお話ししていただきましたが、最後の言葉に全てが詰まっているような気がしました。
本気ってものは馬鹿にでも伝わるもの。
馬鹿舌な私にもその本気の凄さがビシビシと伝わったことは確かです。いやー美味しかった。


東京カレンダー等にも掲載されている
いわゆる大人デートなお店。
特別な日や記念日なんかに重宝するお店なのではないだろうか。


それではごちそうさまでした。
とても美味しかったです。

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