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#コロナ下だからできたこと 「大学生活は時間がないと焦っているあなたの相談に乗りたい」

卒業式のシーズンが過ぎたら次は入学式や新学期の時期。しかし、大学生の多くはいまだにキャンパスからロックアウトされたままで、途方に暮れています。そんな大学1、2年生向けに、Webで参加できるイベント「#コロナ下だからできたこと」を開催します。登壇者は、新型コロナウイルスの流行で行動が制限される中で逆転の発想を展開した3人。今日はそのうちの一人、上智大学3年の佐久本星来さん(さくもと・せいら)さんへのインタビューをお届けします。(聞き手はU22桜井陽)

Q コロナがある中でどんな大学生活を送ってきたんですか?

A ちょうどコロナが流行しはじめるぐらいの2020年の春に休学を決めました。

Q コロナのせいで大学に通えなくなって休学を?

A いえ、タイミング的にたまたま時期が重なったのですが、もともと決めていました。

Q なぜ休学したのですか。

A 外国語学部英語学科に在籍していまして、英語の先生になろうとしていたんですけど、大学生活で学校の先生にめっちゃ向いていないことがわかっちゃったんです(笑)。では就活をと言っても、企業のこととか全然わからない。学校はわたしの気持ちとは関係なくどんどん進んでしまうけど、漠然とした中で流れに乗せられるまま就活をするのはいやだし、夢とか目標を早く決めないと、と思っていたけどそんなのわからないし、自分と向き合う時間がほしかったので休学をしました。

Q ほうほう。休学して何をしていたんですか。

A まず、地方創生系のベンチャー企業でインターンを始めました。民間と地方自治体を結ぶ仕事で、地方自治体の人に営業したり、困りごとをヒアリングしたり。地方公務員の方々とのかかわりが多かったです。4ヶ月ぐらいやりました。それで、たまたまインスタグラムの広告に福井県鯖江市の地方活性化プランコンテストの募集が出てきて、せっかく地方と関わったのだから出てみようかなと軽い気持ちで応募しました。

Q どんなプランをつくったんですか。

A 鯖江市の誰もが小さなチャレンジをできるように、という意味を込めて鯖江でギネス記録をつくろうというプランです。チャレンジを積める場を用意することで、若者の挑戦を後押しできるのではないかなと考えました。優秀賞をいただきました。

Q それで鯖江に移住したのですか。

A 休学期間が1年あるので、1〜2ヶ月の長期でしかできないこと、かつ、将来絶対に仕事にしないことをやりたいと思ったので。

Q 仕事に「したい」ではなく、仕事に「しない」ですか?

A そうです。仕事にしないことです。自分の幅を広げることが目的なので、しないであろうこと。馬を育てたり、農家で働いたりとか、漠然と思っていました。それで、人の紹介で鯖江に行きました。

Q いつですか?

A 2020年の9月です。

Q 東京から地方に行くにあたって、コロナを気にする人は気にしますよね。躊躇はなかったですか?

A 一応、移住するまえの2週間ぐらいは、あまり外出はしませんでした。

Q 移住地を決めるのにあたって、コロナの影響はありましたか。

A たぶんコロナがなければ、フィンランドとかカンボジアとか海外に行っていたと思います。でも海外はコロナで無理だったので、初めて国内にきちんと目を向けることができた気がします。

Q 鯖江ではどんなことを?

A 1ヶ月ぐらいいたんですけど、農家民宿のお手伝いしていました。畑作業、家のこと、ウサギ小屋をつくるとか、いわゆるDIYをトンカントンカンやってました。クマ対策とかもありました。中学生の修学旅行がきたので、その子たちのホストとか。本当にいろいろなことをやりました。

Q 農家経験はあるんですか?

A 全くなしです。ずっと横浜です。土も触らない毎日でした(笑)

Q どうでした?

A 家が最寄りのJRの駅までバスで30分もあって閉塞感もあったし、自分になにができるんだろうという無力感もありましたし、意外と苦しみました。

Q あれ?ネガティブな反応。その苦しみはプラスになりましたか。

A そうですね〜、苦しいっていうのもあったんですけど、でも、とにかくホームステイ先の人たちがものすごく面白くて、その人たちと一緒に生きてていることがすごく楽しかったです。もう、こんなにお金に縛られず、自由に生きている人がいるんだ!ってびっくり。

Q どういうことですか。

A 女の人と男の人がいたんですけど、とにかくなにもないからこそ、自分がやりたいことを常に考えていました。古民家をつくると言い出したり、急に鳥を飼う準備を始めたり、外に対してオープンだったり、とにかく人のために生きようとしていたり。わたしの中で大人像って「お金が全て」なんですけど、お金とは関係なく自分の頭の中のワクワクを形にすることで生きている大人がいるってことがもう衝撃で。

Q あー、なんか裏テーマはお金のような気がしてきました。

A そうですか(笑)。自分の中でちょっと葛藤がありました。絶対お金があるほうが幸せだよなという考えと、お金を中心におかなくても幸せなんだなという考えがぶつかっていました。

Q 鯖江には結局、どれぐらい滞在したんですか。

A 1ヶ月です。

Q 終わってからどうしてましたか。

A もう抜け殻みたいになっちゃって、1ヶ月ぐらいスーパーニートをしていました(笑)。サーフィンしたり。

Q そのままずっとボーッとしていたんですか。

A いえ、それでもともと関心のあった教育にもう一回戻ってみようと思えたんです。でも、先生には向いていないってわかったので違うやり方で関わることができないかなと考えて、通信制の中学校でアシスタントの仕事をすることにしました。

Q いったん離れてみて、教育に対する考えはどう変わったんですか。

A 先生として自分が直接関わらないと、人の人生に影響を与えることはできないのかなと思っていたんですけど、そうじゃないってわかりました。例えば、鯖江のコンテストでギネスに挑戦という仕組みを提案しましたけど、そういう枠組みとか仕組み、プラットフォームをつくることで影響を及ぼすことができるんですよね。学校でいえば、授業構成とかイベントとかを考えるほうが自分は好きだし楽しいってことに気づいたんです。

Q これから先のプランは?

A わたしはいつもプランなしで動き始める人なので、とくにプランなしです(笑)。ただ、社会問題としての教育にかかわりたいなあという漠然とした方向性はあります。

Q 今回のイベント、どういう人にきてほしいと思っていますか。

A なんとなく将来がわからなくて焦っている人、自分がなにをしていいのかわからなくて不安な人、大学生活は時間がないと思っている人、そういう人の相談に乗りたいです。わたしが伝えたいのは、役に立つことをやろうとするより、まずは自分がやりたいことをやったほうが楽しいよ、ということです。どんな役に立つのかは、事前にはわからないからです。あとは、自分が頑張れる環境をきちんと認識してチャレンジしたほうがいいよってことです。ぜひ、聞きにきてください!


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