エネルギー産業のスタートアップ模様 2019.06.17

先日、エネルギー関係のスタートアップの方たちが集まるMeet Upに参加してきました。主催は、国際航業株式会社 / 株式会社グッドフェローズ / RAUL株式会社の皆さんで、知り合い同士の方も多いこともあってとても和気あいあいとした雰囲気でした。それぞれの会社がいま何を目指しどのような事業を展開しているかを3分程度で紹介していくスピード感ある第1部と、ドリンク付きフリートークの第2部を両方満喫してきました。

『「2050年のエネルギー産業」、読んでます!』と声をかけてくださる方も多く、人見知りしがちなU3イノベーションズの二人も楽しむことができました。(*いい年をして本当に申し訳ないのですが、U3イノベーションズの創業者二人は人見知りなので、こういう会場で見かけたら、ぜひ声をかけてください!)

集合写真(主催者提供)

そもそもU3イノベーションズを創業しようと決意したきっかけは、「創業の思い」のコーナーにも書いた通り、エネルギーベンチャーのエコシステムを豊かにしたい、ということでした。

エネルギー産業は、安定供給の確保が大前提ですし、価格が高騰すれば産業や生活弱者と言われる方たちに大きな痛みを与えます。そのため、発電設備の保全から計量方法まで、とにかくあらゆる場面で規制や従来制度を順守することが求められるのは仕方のないことでしょう。ただ、そうしたフィールドには新しいプレーヤーが足を踏み入れづらいことも事実です。

また、IT系ビジネスと異なり、電力・エネルギー事業は莫大な利潤を得るということは必ずしもしやすくない、例えば電力・ガスの小売り事業は営業利益率が低いということもチャレンジャーを少なくしている原因かもしれません。小売り事業者向けにソリューションを提供する方向を目指せば別ですが、小売り事業のような「薄利多売」の事業分野には、体力のない小さな事業者はチャレンジしづらいのだろうと思います。

エネルギーベンチャーのIPOを調べてみたところ、その頻度は2~3年に1件というペースで、他の産業と比べると活況とは言い難いものでした。

・株式会社グリムス(2009年3月)・株式会社エナリス(2013年10月)・イーレックス株式会社(2014年12月)・株式会社フィット(2016年12月)・株式会社レノバ(2017年2月)

また、IPOに至らないまでも、ベンチャー企業が設立される起爆剤は何か制度が変わった時。例えば、2012年7月のFIT制度導入や2016年4月の電力小売りの全面自由化などの直後には新たなプレーヤーの数が増えるものの、新たな技術や面白いサービスを掲げて市場に乗り込んでくるベンチャー企業がとても少ないことも特徴と言えるかもしれません。

こうした状況を見て、エネルギーベンチャーのエコシステムを豊かにしよう、といってU3イノベーションズを創設したわけですが、この半年、1年程度でも大きく状況は変化しつつあると感じています。

エネルギー産業が大きな変革期にあることは、従前からのプレーヤ―たちもの間でも十分認識されており、新しい技術やサービスの取り入れに向けて、大手エネルギー企業とベンチャー企業との連携も増えてきました。CVC(Corporate Venture Capital)を設立する大手エネルギー企業も多く、できるだけ早く多くの種をまき、来るべき変化に対応できる「ネタ」を確保しようという動きが活発になっています。

そうした動きもあってでしょうか、参加させていただいたMeet Upも熱気と活気に満ちたものでした。

経験や人材、資金力などの点で優位な大手エネルギー企業の方たちと、機動力や技術、アイディアに優れたベンチャー企業のコラボレーションがうまく回って始って初めて、エネルギー産業のエコシステムの厚みが増すのだろうと思っています。

ベンチャー企業の方たちのビジネスモデルを描くお手伝いをしたり、適切な大手事業者さんとのコラボレーションをお手伝いしたりすることで、エネルギービジネスのエコシステムを厚くすることに貢献したい。そんな創業の思いを新たにした、Meet Up の夜でした。