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苦くない IPAと苦い IPAについての形而上学的考察

こんばんは。ビールです。いえ、正確には呑兵衛マガジンのビール担当の人です。最近ビールを飲み過ぎて液状化して来た実感はあります。雪解けと共に流れ出す日も近いです。

By the way, ビールが好きで飲み進めて行くと、世の中のビールには大別して大手メーカーのビールとクラフトビールに分かれる事と、さらにはクラフトビールの中に、ものっっっっっっっっっそい勢いで細分化された数多の製法・種類があるのだと言う事実に辿り着く事があるかと思います。

辿り着かない場合については、それはそれで構いません。世の中には開けてはいけない扉、知らずにいる方が幸せである事も多々あります。一説にはパンドラが開けてしまった箱の底、最後に残されたのは、スーパードライの24缶ケース

だったと言う事が近年の研究では明らかにされていないですし。

そのような中で、クラフトビールを飲み進めて行くと、必ずと言って良いほど、 IPAと呼ばれるジャンルに辿り着く事になります。

(※IPAの定義については、前々回のカレー回で説明をさせて頂いておりますので、本項では割愛致します。)

IPAの苦味が苦手な方って、きっと一定数以上いらっしゃると思うのですよ。
かく言う私はと言えば、全方面的にビールは好きなので、苦いのも飲めますし嫌いではないですが、どちらかと言うと苦くないビールの方が好みなのです。

故にビールのジャンルで言うとピルスナー、メルツェン、セゾン、ケルシュぐらいのゴクゴク飲めるものの方が実は好みだったりします。この辺りのジャンルの深掘りも行く行くやらせて頂くとして、今日は IPAの話を進めます。

元々の製法や定義からして、 IPAは濃醇なホップ香と強烈な苦味がそれ自体の特徴なので、苦くて当然なジャンルではあります。

しかしながらIPAもまた飲み進めて行くと、 その中の苦味度合いに結構な振れ幅がある事に気付かされます。

と言う事で今回は、 最近飲んだ中で、IPA苦手な方でも飲める 苦味薄めのIPA(一部ペールエール含む)と、ガツンと苦味を感じる、苦味好きな方向けの IPAの事を書かせて頂こうと思います。

それでは張り切って行ってみましょう
≡≡≡≡c⌒っ゜Д゜)っ🍺

IPA苦くない編

苦くない IPAについて書く時、どうしたって今最もナウいジャンルであるNew england IPAは避けては通れません。スタイルとして確立されたのが2015年〜2017年(諸説あり)頃との事なので、本当に最近のジャンルなのですね。

日本でもまだ体系的に造っているブルワリーがそんなに多くない上に、海外からの輸入も常時安定して入って来ている訳でもないようなのです。私自身も、先日クラフトビアマーケット神田店でミッケラー のNew england IPAの特集が組まれていて、漸く初めて飲むに至りました。 IPAの苦味が苦手な方は、これは多分間違いなく気にいると思います。
口に含むと、最初にホップ香が鼻腔まで抜けてフワッと広がるのですが、後味に残る苦味は皆無。むしろホワイトビールのようなフレッシュさ、ジューシーさすら覚えます。
私が今まで飲んだのは、ミッケラーの“ホップテロワール”シリーズの4種類

と、伊勢角屋麦酒の“ねこにひき”です。

New england IPAの特徴の1つとして、このように濁った色になるようです。

苦味がかなり抑えられているとは言っても、アルコール度数は7〜8%程度と割としっかりとあります。アルコールのアタック感をあまり感じさせない飲み口の軽さで、スイスイ飲んでいると多分やられます。危険が危ない。

PUNK IPAでお馴染みのbrewdogも、HAZY JANEと言う銘柄でNew england IPAを造っていますが、私はまだ飲めていないです。
ドラフトが六本木のbrewdogでたまに入るようなので、brewdog六本木のツイッターかfacebookアカウントでチェックしていれば、巡り会える時があるかと思います。

2018年3月24日時点ではあるみたいですね。

伊勢角屋麦酒の“ねこにひき”も伊勢角屋麦酒のオフィシャル通販でたまに販売されるようです。2018年3月25日の午前8時時点で売られていたので、私は今回3本購入できたのですが、同日午後5時30分時点で売り切れていたので、人気はかなりのものだと思われます。

この辺り、アンテナを高くしていれば必ずや巡り会えると思いますので、まだ試していない方は是非ともチャレンジしてみて下さい🍺

とは言え、New england IPAに拘らずとも、ホップの香りはそのままに苦味を控え目にしてくれている銘柄は他にもありますし、New england系よりも遥かに手に入り易いので、そちらもご紹介させて頂きます。

まずはこちら

前回の記事でも触れておりますが、スコットランドのbrewdogが手がけるDEAD PONY CLUB.
厳密には IPAではないですが、 口に入れた瞬間、PUNK IPAに負けない程の濃厚なホップ香が広がります。
その後、いつもの苦味がガツンと来るかなー?と思いきや、苦味が殆ど残らず爽やかに消え去って行きます。
アルコール度数3.8%。これを飲んでbrewdogを改めて好きになりました。brewdogらしいのですが、brewdogらしくない稀有な一杯。


神奈川は本厚木のブルワリー、サンクトガーレンのYOKOHAMA XPA.
明確にIPAと銘打っていますが、後味のスッキリ感と爽やかさはサンクトガーレンらしい飲み味。 ヤッホーブルーイングのインドの青鬼よりも苦味は薄めなので 、IPAの入門編として良い立ち位置にあるのではないかと思います。


茨城県を代表するブルワリー、常陸野ネストの“だいだいエール”。こちら IPAのカテゴリーではあるものの、IBU17と苦味はかなり控え目。原材料にだいだいを使用。柑橘の爽やかさも相まって、初めての方でも飲みやすい仕様になっています。


Sierra NevadaのTORPEDO EXTRA IPA.
このブルワリーも全体的な芸風として、良い意味で西海岸系らしくない口当たりの柔らかさと後味の上品さがあります。EXTRAとは書いてありますが、苦味の余韻は柔らか目で気品のある仕上がり。


苦くない IPAの番外編。
厚木ビールのHOP SLAVE DOUBLE IPA.
こちらIBU101とガツンと苦味が強めな筈なのですが、意外にも苦味をあまり感じさせない、飲み易い仕様となっております。飲み口も比較的柔らか目なのですが、アルコール度数9%と、実際はけっこう強烈。スイスイ飲んでダメになるパターンのビールです(超褒めてます)

グラスが“ふんわり鏡月”なのはあまり気にしないで下さい。たまたま家にあったのです。割と気に入ってます。


IPA苦い編

一方で苦い IPAも紹介させて頂きます。苦いのが好きな人にとっては、これまでに紹介させて頂いたものは絶対的にパンチが足りないと思いますので。

サンディエゴのブルワリー、BALLAST POINTのGRUNION.
こちらPALE ALEと表記されていて、IPAではないのですが、下手な IPAより苦味も香りも強いです。
わーPALE ALEだー。飲みやすそうだし美味しそー(((((((((((っ・ω・)っ
と思って飛び付くと、ガツンと来ますので心して飲みましょう。PALE ALEでこれなので、同ブルワリーの IPAは言わずもがなですね。勿論、旨味もしっかりあります。
BIGEYEにしかり

SCULPINに然り。


先日、BANAGURAで飲ませて頂いたMAZAMA BREWINGのTILIKUM PALE ALE.
こちらもBALLAST POINTのGRUNIONと同様、PALE ALEの皮を被ってはいますが、かなりヤンチャな苦味感が残ります。 此処まで来ると最早IPAとPALE ALEの境目は何処にあるのか定義が曖昧になって来ますね。


こちらも既出ではありますが、brewdogのJACK HAMMER. 苦い編でもbrewdogの存在は忘れてはなりません。
IBU200と言う、かなりメーター振り切っている感じの IPA。当然にして苦味がガツンと来ますが、意外にも後味は割と良識の範囲内で収まっております。比較的手に入り易いので、オススメ度数は高いです。


こちらも既出ではありますが、志賀高原の IPA。
国内産としてはかなりガッツリと苦味を感じられるので、西海岸系 IPAが好きな方でも充分に楽しめる一品だと思われます。IBU60。


ここ最近飲んだものの中では、最も苦味の余韻が強くて衝撃を受けたのがこちら。
STONE BREWINGのEXALTED IPA.
ネット情報では、苦味はそこまでではないと言う評価が多いのですが、個人的にはかなり苦味を強く感じました。
最初は鮮烈なホップ香が支配するのですが、徐々に苦味が強くなって行って強烈に口の中に残ります。ガッツリ苦味を楽しみたい方向け。


苦い IPA番外編。
既に売り切れていて手に入らないのですが、サンクトガーレンの罰茶 IPA。
毎年4月1日にサンクトガーレンが限定販売するジョークビールの2016年版。
苦丁茶と言うお茶を使用して、IBUが奇跡の1,000オーバーを果たした冗談のような本気の一本。
とは言え、これもサンクトガーレンらしい上品さで真っ当に美味しい一品でした。悔しい!が、旨い!


ここの所、IPAをある程度体系的に狙って飲んでは参りましたが、苦味の基準値とされるIBUと言う単位も、あくまで1つの目安でしかないのかなと言うのが現時点での感想です。

上述のHOPSLAVE DOUBLE IPAはIBU100超えですが、そこまで強い苦味を感じずに味わう事ができましたし、一方でEXALTED IPAは、一説にはIBU70前後(公式未発表)と言われてはおりますが、余韻の強さにおいて、ここ最近飲んだものの中ではダントツで苦かったです。
苦味の基準値がありながら、他の様々な要因が重なって、苦味を強く感じたり、感じなかったりするのだと思われます。

余談ですが、先日ビールの得意でない友人に、IBU17の常陸野ネスト“だいだいエール”を試して貰ったところ、「苦くて量は飲めない」と言う感想を頂きました。

苦味の感じ方にも個人差があるので、色々と試して頂いて自分のお気に入りの一杯が見つかる事を願っております。その為のベンチマークとして、今日挙げさせて頂いた IPAの数々が IPA探しの一助となれば幸甚です。

私はと言えば、苦いビールばかり飲んでいたので、そろそろ苦味の薄いビールにシフトして行こうかなと思います。暖かい季節には、苦味控え目でゴクゴク飲めるビールが美味しいですしね。

それではまた🍺🍺🍺🍺🍺


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