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【詩】Catch my voice

この声が届くのなら。
この声は届くのか?
幾度なく繰り返した言葉。あなたもどうやらもしかして?
星の灯りも届かない、歌ももう消えそうなこの東京のどこかの街で、願うように縋ってみる。

あの日を思い出す。
届いた知らない声。
届きたいと思った人。
届かないと諦めたり。
無数の星のように流れ落ちた声のすべては拾えなくても、きみの声は届いたよ。
だからそれだけは固く掴んだ。もう零さないように。
その名を呟いてみる。忘れたくなくて。

この声はどこに届くの?
この声が届く人はいるの?
蒼い天空の果て? 月の裏側?
静寂な森? あの桜が咲く丘?

座して死を待つくらいなら、星に願いを賭けてやる。

自分の声を握りしめる。忘れないように。
話す代わりに歌ってみる。消えてしまわないように。

作家修行中。第二十九回文学フリマ東京で「宇宙ラジオ」を出していた人。