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手のしびれの考察〜中医学と西洋医学を混ぜて考える〜

先日、右手のしびれが強く手指に力が入らないという患者様を診させていただきました。

主訴は右手の小指側のしびれが強くビリビリした感じがすると。

評価をとってみると
感覚の低下はないが、小指のDIP関節の屈曲と外転のMMTが3程度。

上肢を動かしたり、上肢の筋肉に力を入れたりするとビリビリ感が強くなり、胸郭出口症候群のテストは全て陽性(上肢を動かすだけで痺れが強くなるのでなんとも言えない気もするが)

ファーレンテストは陰性、フローマン徴候は陽性、上腕二頭筋腱の損傷はないと思うがヤーガソンテストなどは力を入れるとやっぱり手のビリビリ感が強くなる。

肩関節の軟部組織損傷はなさそう。

頸椎は若干の右側屈左回旋傾向で第四頸椎の動きが悪い。環椎後頭関節部の皮膚のつまり感も強い。
後頭骨は右下垂で左蝶形骨が前方に偏移している。

中医学的にみると、皮膚の色は全体的に赤黒くアトピーも所々にあり陰側に多い。経絡では心経上にしびれが強く尺沢の固さが強い。紅舌というより紫暗っぽく細脈。不眠傾向で苦い飲み物をよく飲み、喫煙もされると。ストレスも自覚している。

キネシテストをしてみると、肺と心に弱化がみられる。

病院で検査もされており、第三頸椎と第四頸椎の間に問題があると言われたと。その後頸部のマッサージや頸椎牽引を行うが効果なし。

さあここから。

本当に第三頸椎と第四頸椎の間の問題なら上肢のしびれのラインがおかしい。筋力の低下もおかしい。神経でいうなら横隔神経の高さである。

横隔神経は縦郭胸膜と心膜の間を通って横隔膜に達する。横隔神経の過剰反応が心臓や肺に影響を及ぼしていると考えたほうがベターであろう。

舌脈所見やその他の随伴症状、しびれのラインなどからも上焦が熱をもち、津液が焼かれて、お血形成されてそれが心経につまり、心経が不通則痛・不栄則痛の原理でビリビリ感がでている。
陰虚もあるが心熱が痺れの原因であろうと私は考えました。


治療はまずは自律神経を背部(陽側・熱側)から調整し熱を下げ、後頭骨・蝶形骨を調整し脳脊髄液の流れをよくし熱代謝をあげて、胸郭の柔軟性向上を図り上焦に溜まっている熱を取り除けるように行ってみました。

その後、手指の MMT は4まで上がりビリビリ感が少しですが減弱しました。

コーヒーの飲む回数を減らしていただき、水分摂取量の指導を行い、頸椎の問題はさほど関係ないことを説明しました。

まだまだですが、西洋医学も混ぜながら中医学的にスムーズに解釈することができたのは自らの成長を感じました。

精度はまだまだですけど…
もう少ししっかりと弁証しないといけないですよね。難しいです。

西洋医学ではなかなか説明がつかない諸症状が中医学では全て説明がついた興味深い症例でした。

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