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最後の一行小説大賞、ここだけのウラ話。


エイプリルフールくらい、本当のことを話そうと思うヤスです。今日もよろしくお願いします。


昨日3/31といえば!
人気noterイトーダーキさんの企画、「最後の一行小説大賞」の発表日だ。

この企画の趣旨を説明すると、

<規定>
「遺言」というタイトルの架空小説の最後の一行、一文っぽいやつを送るだけ。文字数に制限なし。世間一般における「一行」「一文」の概念に合致するものであれば形式不問。

<遺言の書き出し>
以下の書き出しで始まる架空小説の最後の一行っぽい文章を送ってください。
「純白の桜の花びらがすべて散ったころ、三人の女の人生が始まる始まるはずだった。」

この書き出しで始まる「遺言」という名の架空小説の最後の一文を考えるという企画だ。誰でも参加可能。私ももちろん応募しました。


3/31が発表日でして。「ん?別に発表なんて、気にしてないよ?」みたいな雰囲気を出しつつ、実は今か今かと待ちわびていた。なんならダーキさんにアピールしてた。

(審査にアピールは影響しないことを後から知った)


こすい根回しを怠らないくらい、グランプリを獲る気マンマンだった。


今回の私の創作ポイントを話します。(賞を取れたから話す、あと出しのズルさ)


作品解説をあけっぴろげに語ります。
……グランプリ欲しかったなぁ!



ポイントは「遺言(遺書にあらず)」「生と死」「3人の女」「桜」だ。


発想法は大喜利やキャッチコピーと同じでいいと思う。なぜなら審査員がイトーダーキさんだからだ。


今回のお題でぜったいに書いてはいけないのが「桜」を連想するフレーズなんだ。桜からなるべく離れなくてはならない。


他の要素は書いていいのか?うーん、どうだろう。直感的に思ったのよね。散っていく「桜」の風景と3人の女がこの冒頭から映像で見えるから、避けるべきだ、と。選考基準に「ありきたりな表現ではないか否か」とあるので。


というのも、これはキャッチコピー制作の基本だからだ。ダーキさんはコピーライターのイロハを知っている。


桜から連想するフレーズは誰もが真っ先に思いつく。「咲く」「散る」「残る桜も散る桜」「卒業」「入学」「出会い」「別れ」。だから外す。


いや、桜を書くのが悪いとかじゃないのよ。他の人と被るんだ。だから避ける。書いたとしても、よっぽど外した表現が求められる。それは高難度だ。難易度が高いなら避けるのが無難。


書くとしたら隠喩にすべきだ。ストレートに桜を連想する言葉を書いたら、必ず誰かと被る。桜から離れるのが無難なんだ。


桜は忘れよう。春も忘れよう。季節を書くとしたら夏か秋だ。春と冬は桜が連想される。何度も言おう。私たちが思いつくアイデアなら、他の人も思いつく。キャッチコピーの祭典、宣伝会議賞に参加して痛いほど知った。


私の読書歴はミステリーに偏っているからなぁ。どんでん返し系が好きなんだよ。十角館よね。夕木春央さんの『方舟』は最近のおすすめです。


まぁ、そういうことを考えて、私もいろいろと応募しました。ホラー、ミステリー、文学調と、偏らないように様々な作品風に書いた。けっこう自信があったいくつかは、選考会にすらあげられなかったけども。


結果は、ありがたいことに優秀作品賞をいただきました。2つも!でもグランプリをとれん!嗚呼、チッキショー!


1つ目。

「あのマンホールは、今もそこにある。」

「マンホール」という言葉。解説します。深読みする話ではまったくないんだ。


家の近所にある、まだつぼみすら見えない桜の木を立ち止まって見ていたら、足元にマンホールがあったんです。それだけなんです。


もしかしたら3人の女が桜の木を見上げているその場所。足元にはマンホールがあったかもなって。視点を変えてみるってやつです。上を見ているなら下も見てみる。


マンホールと書いておけば、なにかしら想像してくれるだろうという、いやらしい希望。身近にあるマンホールだけど、蓋の下は誰も知らない。なんだかファンタジーな雰囲気がある。怖さもある。中に何か入れた?マンホールはどこにでもある。映像が浮かびやすいかなと。


もう1つの優秀作品賞をいただいた、この作品。意味不明な文の羅列。

「埋められた彼女を掘り起こし、しわしわになったそれにゆっくりと水を与え、ときどき三人でお茶会をしている。」

なんや詩的で意味がわかりそうでなさそうな文。ホラーっぽくもある。実はこれ、ある歌の歌詞が元になっているんです。THE BOOMの『ひゃくまんつぶの涙』って曲なんです。歌詞は、こんなの。

おくら畑に埋めといた
きみの切れっぱし
今夜もあなたに会いたくて
堀りおこしてみる
やかんにためた
ひゃくまんつぶの涙をわかして
君をもどそう
しいたけみたいにふくらんで
ほらほら村一番きれいな顔

ひゃくまんつぶの涙

ちょっとホラーでしょ。この曲は三線で弾かれててチャンカチャンカしたテンポです。沖縄っぽい。沖縄や奄美大島は死者を土葬する文化だったはず。たぶん。今はもう火葬だけど。


で、お盆やお彼岸はお墓の前でパーティーをするんだよね。宴会をしたりお花見したりするんだ。うちの家系が奄美大島なんで、祖父母とのお墓参りはピクニックでした。墓石の前でレジャーシートを広げてお弁当を食べるんだ。


で、桜といえば死体でしょ?綺麗な桜の木の下には死体が埋まっている。CLAMPの東京BABYLONが大好きです。漫画です。現代に生きる陰陽師たちの物語です。


こういうバックグラウンドがあって、あの最後の一文なんです。故人を思い出しながら、まるでその場にいるかのようにパーティーをする。まぁ、お茶会ね。遺言ってタイトルなら、まぁ、誰か死んでることにしようと。3人から1人減らしてみようと。「またみんなで集まろうね」なんて言葉を交わしていたかもしれない。


お茶会って独特なフレーズは、夢か現かわからない「不思議の国のアリス」から。なんでもない日おめでとう。アリスのティーパーティ。


蛇足ですが、私の思考回路と応募作品の意図を語ってみました。


最優秀作品は、すごいね。

「蝉の抜け殻はまだその木にしがみついている。」

はまコラ!さん

蝉ときたか。これこそ最初に述べた「冬と春は避け、夏か秋を描く」だ。はぁ、思いつかなかった。「木にしがみついている」も描写がいい。生への執着と、抜け殻ということはもう蝉は死んでいるのでそのまま死を表している。はぁ。いい。書けなかった。


優秀作品賞のこちらも私には思いつかない。

「試しに紙を擦ってみたが、なんの香りもしなかった。」

ゆきぽこさん

なんだろう。いろいろ想像できる。「試しに」は、この前の文に何か描写があるんだろうか。香りがしない。うーん。気になる。桜をそのまま描写せず、桜の香りを連想させてくれる。香りを思い浮かばせるのに、香りはしない。お見事。


ちなみに宣伝会議賞ファイナリスト、昭和と笑いとメンタルを愛する、我らが文章クラブの切込み隊長、アークンの作品。

「私が姉のパンツを履き続けていることは、 誰も知らないままだ。」

アークン

「ぶふぉ!」と思わず声に出して、吹き笑いしました。本編にどんな物語が展開されてたんだよ。


末筆となりましたが『最後の一行小説大賞』を企画してくださったイトーダーキさん、審査員の皆様、菊池さん、お疲れ様でした。


選考の様子をスタエフで聴きましたけど、ラジオ御法度の沈黙がちょこちょこあったので大変さが伺えました。


がっつり楽しみました。おもしろかったです。ありがとうございました!


今日も読みにきてくれてありがとうございます。トップを獲る気、マンマンでした。チッキショー!


《ことばと広告さん主催『モノカキングダム2023』でも準グランプリ。トップをとれない無冠の文章帝王です》

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