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“無意識”の沼で眠らされる罠に気付けるか

ここのところ、国内外で立て続けに大きなニュースが発生し、様々な言論が席巻しているのを感じています。
そのせいでしょうか、少し前から私のエックハルト・トール(Eckhart Tolle)熱が再燃していて、毎日更新される動画を見たり、本を再び手に取ってみたりしています。

衝撃的な事件が勃発し、ほとんどのテレビ局が緊急特番を組み、ほとんどの新聞社が同じ見出しで何ページにもわたって特大記事を掲載する。
ネット上でも様々な人々による有象無象のコメントが累積されていく。
…それらを“無意識”状態で浴び続けると、私たちはどうなってしまうでしょう。

言いようもない不安感で、足元がガラガラと崩れていくような錯覚さえ感じる人。
違和感を覚える他人の意見や言動に対して、抑えようもない怒りを感じる人。
「間違った」連中に対して、正義の鉄拳を振りかざしたい衝動にかられてしまう人。

たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

ネガティブな情報に触れれば触れるほど、さらにその不安や怒りや正義感は増幅します。
それなら止めればいいのにと思うのですが、本人の中では様々な思い込みやエゴが発動し、むしろ率先してその沼に落ちていく。
例えば、

  • たくさん報道されていて、多くの有名人が様々なコメントをしているのは、その価値があるからだ。

  • “みんな”が見ている/知っていることを自分が知らなかったら、自分の何かが損なわれてしまいそうだ。

  • 自分は情報の正しさや間違いを見極められる人間でなければならない。

  • 世の中の間違いは正されなければならない!

…などなど。

これらの思い込みやエゴは、ネガティブな情報を糧にどんどん肥大化していきます。
そして、ここから発生する感情はとても苦しかったり激し過ぎたりするものですが、逆に甘美な痛みにも感じられてしまうから厄介です。

不安に怯え続ける自分は、自分の内的世界の中で悲劇の主人公で居続けられます。
他人の間違いや社会の不備を糾弾し続ける自分は、報われない正義のヒーローで居続けられます。

これが、エックハルト・トール氏が説いている“無意識”で眠っている状態での、エゴとの関係です。
自分が自覚的にならなければこの状態に気付くことは出来ませんし、もちろんそこから脱することも出来ません。

これのどこが問題なのか。

眠っている状態というのは、つまり目覚めた状態と真逆という事です。

より多くの人の意識が覚醒し、自覚的になり、新しい世界の秩序を構築していく…はずだった宇宙のシナリオが、どんどん後ろ倒しになって行ってしまっています。
これは、MOMOYOさんも事ある毎に説いていらっしゃる通りです。

そして、これはSpiritual Anatomy®プラクティショナーとしての実感ですが、このように“無意識”状態の強い方は、残念ながらその方自身のネガティブな思い込みのマインドを紐解くこともより難しいという事実に繋がります。

世界で起こっている出来事を知らないでいるべき、という訳ではありません。
悲しい出来事に悲しさを感じるな、と言っているのでもありません。
ただ、そこに同時に湧いている有象無象の“無意識”の渦に飲み込まれないよう、自覚的であることが重要なのです。
もっと具体的に分かりやすく言えば、冷静に距離を取ろう、という事です。

出来事の当事者でも専門家でもない人間が、そんなに詳細情報を知らなくても大丈夫です。
他人や社会やシステムがこんな風に間違っている!と、自分が“理解した”ことを、どこまで周囲に分かってもらいたいでしょうか…そこにどのくらいのエゴが潜んでそうでしょうか。

自戒も込めて、今回のメッセージといたします。

≪巻頭写真:Photo by bady abbas on Unsplash

長年の公私に渡る不調和を正面から受け入れ、それを越える決意をし、様々な探究を実践。縁を得て、不調和の原因となる人間のマインドを紐解き解放していく内観法を会得。人がどこで躓くのか、何を勘違いしてしまうのかを共に見出すとともに、叡智に満ちた重要なメッセージを共有する活動をしています。