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人間関係も終活が必要

お悔やみのお仕事
荼毘に付した後の骨あげ
大切なひとの遺骨を目にする
また火葬独特のニオイも
遺族にとっては葬儀以上に
頭に残るもの
足元から順にご遺骨を骨かめに
収めていく
都市では全骨を収める
地方では骨かめに収まるだけの
収骨が多い様だ
骨あげが叶わない残りのご遺骨は
火葬場の供養塔に収められる

ある時
私は骨あげを済まされた
遺族、親族をお帰りのマイクロバスに誘導していた
よほどお悲しみが深いのか
着物の60代くらいの女性が
一人いつまで経っても収骨室を
離れようとなさらない
皆バスに乗車されている
親族の一人に
まだ着物の女性が残っている事情を伝えると
『あれは放っておいて構いません』
そう言ってバスは火葬場を出発した
私が収骨室に戻り目にしたのは
骨あげ叶わなかったご遺骨を持参していたと思われる手提げ袋に
ひとつ残らず入れて収骨室を出ていくあの着物の女性

吐き捨てる様な親族の言葉
親族の許可なく遺骨を持ち帰る女性
事情はなんとなく察しがついた
衝撃の光景

ご遺骨を持ち帰られた着物の女性
(私が映画の見すぎかもだが…) 映画『極道の妻』を思わせる
首の衣紋をグイッと抜いた着付方
が印象的

その女性の『清々した』と言わんばかりの所作が忘れられない
人生の終焉で目にする登場人物
小説よりも濃い 〜END〜

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