ジョジョが人生の行き先を決めてくれているのではないだろうか、という話。

去年12月にジャンプチャンネルで配信された『ジョジョの奇妙な冒険』の公式番組に出演させていただきました。

その前年も出演させていただいた『ジョジョの奇妙なクイズ番組』の第2弾として放送されたものです。再び携わることができ、大変光栄です。

ジョジョは私の人生の中でも最大級に大切な作品です。逃げ場のない現実世界から唯一逃れられる居場所を教えてくれた、私の救世主となってくれた存在です。

第一回の収録があったのが2022年11月の半ば。実はその時点ではその年の内に転職先を決めて、フリーアナウンサー業を諦めるつもりでした。

しかし、収録が終わった後、満たされる心と欠けていく心がないまぜになり、説明しようのない苦しさに包まれたのです。

「人生の中でも特別大好きな作品に関わることができて本当に幸せだな」と思うと同時に、「ここで辞めてしまったら、もうこんなに充実した気持ちを味わうことはできないのか」という虚無感に襲われました。

まだ未練が残っているんだな、と思いました。

未練がましいなんてダサいなと我ながらに感じていましたが、後悔するよりマシだと思い、ならばもう少し立ち止まって考えようと、結論を出すまでに時間をかけることにしました。

恋人に別れを告げるつもりで会いに行ったのに、会ったらやっぱり好きだった、という時の感情ととてもよく似ていました。

新しい道に進むにあたり、表に出るお仕事はすっぱり辞めなくてはならないと思い込んでいましたが、このジョジョのお仕事をきっかけに、どうにかしてこれまでの仕事も続けられるような新しい働き方を選べないか、考えるようになりました。

そして、その考えを一つの軸として転職活動をし、結果的に副業としてフリーアナウンサー業を認めてくれる会社に入社することになりました。


昔、母親に「何かひとつを選べば、選ばなかったもう片方は捨てなくてはならない」と言われたことがありました。

子供ながらに、その言葉には本当に納得がいきませんでした。

この言葉を言った人は、どちらも手に入れられるように考えて工夫したのだろうか。努力を怠り行動を起こす前から決めつけている人が、達観ぶって、さも格言のように広めていっただけではないのか。そう思っていました。

大人になって、その反骨心みたいな生意気な思考を忘れかけていましたが、結局私は自分のやりたいことを漏れなくやり尽くしたいし諦めることのできない人間だったので、この時みたいな考え方の根っこの部分は変わっていなかったのかもしれません。

だからこれからも、いつまでも考えて工夫して、自分の中になかった第三の道を出現させていけたらいいなと思っています。

結果論かもしれませんが、「予想外の行き先」を見つけ出すきっかけをくれたのがやはりジョジョだったわけで、『ジョジョの奇妙な冒険』という作品が私という人間を構成するとても大きな要素であると、再確認したというお話でした。