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王様の歩んできた道

 2月25日、王様戦隊キングオージャーTV放送最終回を迎えたので、感想を綴っていきたい。もちろん大ネタバレだ。さらに本記事はだいぶ長いので目次を見て読みたいところだけ読むというのでも構いません。

作品概要

 王様戦隊キングオージャー、スーパー戦隊シリーズ第47作品目で本作は過去に類を見ないファンタジー戦隊である。モチーフは王様と昆虫。王様というだけあって王国ものであり、その王国各々にシュゴッドという昆虫型の機械生命体が守護神として構えているという感じだ。
 撮影技術の向上により今までではできなかったような映像演出ができ、ファンタジーな世界観を作り上げているのが特徴。ストーリーも毎回が最終回と言われるほど熱い展開が多いと言われており、この作品を愛するファンはかなり多い(もちろん私もその1人)。
 今までのはスーパー戦隊からはかなり逸脱している。

制作陣(敬称略)
チーフプロデューサー:大森敬仁
脚本:高野水登 ほか
アクション監督:渡辺淳
監督:上堀内佳寿也 ほか

今回の作品はどうだったのか?

 マジで面白かったです!すごかった。本当に凄まじい戦隊でした。
 最初キングオージャーが発表された2022年の12月、設定が面白いなぁとも思いつつドンブラのあとはかわいそうだなぁという気持ちがありましたが、予告の時点これはすごいのが始まるという予感があり、キングオージャーの1話を見たときに私の多大なドンブラロスを吹っ飛ばしてくれるくらい1話からすごかったのを覚えています。あのときの衝撃は今でも忘れられない。

凄まじい映像美

 まずはやっぱり映像については触れなければならない。今回よりLEDウォールというCGを移せる壁のようなものものを導入したらしく、これによりCG演出の幅が広がったというのだ。役者もそのCGを確認しながら芝居ができるので見ている方向などへの違和感が解消されるとか、合成の手間が省けるなどメリットが多いのだとか。
 今回は王国ものなので国各々にCGがいるのだが、そのCGが美しすぎる。最初見たときびっくりした。国は工業が盛んな始まりの国シュゴッダム、ヤンキー街のテクノロジーの国ンコソパ、美と医療の国イシャバーナ、農業(広い意味で食)の国トウフ、氷雪の法の国ゴッカンがあり、それぞれ違う人が絵を担当しているので個性豊かでこの違いが面白い。ちなみに私が一番好きなのはイシャバーナだ。

 さらにアクション映像も見応えがあった。今まで以上に緩急があってかっこよさ際立っていた。キングオージャーならではのアクションシーンで面白かった印象。
 こちらの技術は結構作るのに苦労していようなので渡部淳アクション監督には拍手を送りたい。よくやりきってくれた。

魅力的なキャラクターしかいない。

 今回はキャラクターがものすごく魅力的だった。王様キャラクター紹介を見たとき、「ドンブラより癖の強い奴らだなぁ笑笑」と思わず笑ってしまうほど。ただ癖強い系が大好きな私としては楽しみの一つでちゃんと楽しませてもらった。
 見ていくうちに私は王様達のかっこよさに惚れていく。何をまず彼らから感じるオーラがすごいのだ。

この威厳たるよ

 どうだろう。すごいでしょ。さらにこの王様には各々に芯があり、それがさらに王様としての威厳に拍車をかけてくれる。彼らが動いているところを見ると余計にそれを感じる。私はちなみにヒメノ様(黄色の女王様)ファンである。
 さらに王様には側近欠かせない存在ではあるが、この側近たちもまた魅力的だ。王様6人に対して1人ずつ(場合によっては2人)ついているが皆いい。物語ではなぜこの王様達の側近としてついていっているのかというのも掘られている。
 それ以外にも民の代表者や前王、本作の敵も魅力的なキャラクターが多い。ここでは語りきれないので今回は省く。ただみんな主役級のキャラといっても過言ではない。

我々を魅了するストーリー

 ストーリーも格別に面白かった印象のキングオージャー。個人的にはすごいストーリーを見せてもらった印象だ。今年は第1部、第2部の2部構成だが、特に第1部がすごかった印象。王になる男の物語は自分にとっては新鮮で面白かった。第2部は少しスーパー戦隊らしさもありつつ、暗いお話だった。5王国奪還編から少し熱が下がっていた部分も正直あるが、言うても相対的なもので常に及第点は超えて来ており、最終回三部作でトドメを刺された。

 特に最終回1個前のall cast 全員集合はやばすぎた。過去のゲストや劇場版のゲストも総出。あまりにも豪華すぎ。もう涙なしでは見られなかった

多様性の現代社会を生き抜くには

 今作のテーマは間違いなく多様性の現代という時代を生き抜くこと、だと思う。これは結構広い意味で捉えてほしい。

 まず本作最終回のこのナレーションが印象深い。『好きなところは受け入れて、嫌いなところはそっとしておく。いざというときだけ助け合えばいい』(記憶違いがあったら、すみません。)これは腑に落ちる言葉だ。
 そもそもキングオージャーのキャラクターが癖が強い。我が強い。芯がある。ただ我が強い分、人に合わせることはなかなかしない。ギラが、他四王国の王様が好き勝手する(ただ国のためではある)のに呆れるシーンも何度かあった。最終回でも彼らは揉めていたくらいだ。でもそれでいい。それだから面白い。本当にやばいときだけ手を組めばいい。本当に真理だと私は思った。
 ここで私自身のお話をしておくと、私は世間から見たらだいぶ癖の強い部類とよく言われる。ただ考え方はその辺の同年代と少し違う考えを持っているのは了解している。(学生時代は結構これで悩まされた。)これからを生きていく上で交われない者が相当数いることを覚悟していた私としてはすごい救われる言葉であった。

 個人的にはこの多様性の時代生き抜くの意味はもうひとつあると思っていて、それは邪道を行くことを恐れるな。ギラはシュゴッダム王家のイデオロギーとは正反対のイデオロギーを持っており、シュゴッダムは王道ならギラは邪道だ。だが邪道を行ったギラが王になり、そして新しい王道を導いていく。これがギラ・ハスティーという王様の歩んできた道、王道なのである。
 邪道は同質性体質の日本人はかなり嫌うタイプで、今の学校教育は邪道を許さない傾向があるように思う。そして邪道をいくと省きものにされたり、馬鹿にされる風潮がある。ただ考えてみてほしい。 今王道のものは今までずっと王道だったのかということを考えて見てほしい。あるターニングポイントに至るまで今王道と言われるものは邪道の領域だったはず。それが流行っていき王道となっていく。王道とはこのようにして形作られていく。
邪道こそ世界を変える。邪道こそ新しいことを生み、面白いことを生み出す。なんでもかんでも多数派によりがちな我々へのメッセージともとれた。

終わりに

 だいぶ長くなってしまった。ここまで読んでくれた人はいないと私は思っている。もし読んでくれた人がいたら嬉しい。
 本当にすごいものを見せてもらった。本当に王様戦隊は奇跡だったと私は思う。ちなみにロスるかなとも思ったが今年はそこまでロスらなかった。爽やかに終わってくれたからであろうか?まぁどうでもいい。まだファイナルライブ、vシネもあるので楽しみだ。そしてブンブンジャーも

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