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カウンタックってどんな車?

1970年代スーパーカーブームを牽引した、とても有名な車です。

ランボルギーニという今もスーパースポーツを作り続けているメーカーの初期の車です。

今のランボルギーニのモデルラインナップに共通する部分も多いパイオニア的な車です。


【名前】

カウンタックは本来の綴りでは「COUNTACH」と書きます。

意味はピエモンテ地方の方言で驚きを表す感嘆符。

日本語に訳すと「おぉっ!」かな。
ちょっとニュアンスは分からない。

「クーンタッシュ」と発音するらしい。

ランボルギーニのラインナップはそのエンブレムにふさわしく有名な闘牛の名前を付ける(Apple社のMacintoshみたいに)ことが多いが、この車の命名は異彩を放っています。


【ミッドシップ】

当時からスーパースポーツと言えばミッドシップです。

ミッドシップというのはエンジンが車体の中央にあるという意味です。

しかし、自動車という製品には乗員が乗ることを前提としているので中央よりは後方寄りにエンジンがあります。

車の駆動系についてはこちらにまとめています。

【12気筒】

12気筒はスーパーカーの代名詞です。

かつてのフェラーリは1気筒あたりの排気量をモデルネームにしていました(12気筒が当たり前なので×12すれば総排気量がわかる)

カウンタックの排気量は3924ccです。

1気筒あたり327ccなので、1500ccの4気筒と同じくらいです。

DOHCで1気筒あたり2バルブという変わった構成ですが、クワトロバルボーレで4バルブ化します。

エンジンの基本的な用語については以下にまとめています。


【ウェッジシェイプのボディ】

当時の車と言えば、ティッシュ箱を重ねたような造形の車が多かったと思います。

フロントにエンジンがないのでノーズは短く、ボンネットの傾斜とフロントガラスの傾斜が同じ角度です。


【ポップアップ式のドア】

ガルウィングと言った方が通りがいいと思いますが、メーカーが正式に言ってないのでポップアップドアです。

今でもスーパースポーツというとドアの開閉が凝ったものが多いですが、その先駆けです。

カウンタックは極端にキャブフォワードなため、フロントタイヤハウスとの関係で通常のドアを装備することは難しいため、この変わったドアが装備されました。

サイドガラスにはフレームが入っており、一部分しか昇降しないので、頭を出すことは出来ません。


【公称最高速度300km/h】

最高速度はスーパースポーツの醍醐味です。

自動車の根源的な能力の高さを物語ります。

実際には300km/h出ないみたいですけどね。


【リトラクタブルヘッドライト】

ヘッドライトが使わないときは閉じて、使うときだけ持ち上がる仕組みになっています。(リトラクタブルと言います)

今は歩行者安全と重量からリトラクタブルヘッドライトを採用する車は無いですが、以前はスポーツカーといえばリトラクタブルヘッドライトが主流でした。

国産車でもトヨタ 2000GT、スープラ、ホンダ NSX、マツダ RX-7など有名どころはほとんどリトラクタブルでした。

昔はスポーツカーでなくともリトラクタブルヘッドライトの車が多かったですね。


【とても軽い】

1055kgしかありません。

現在のライトウェイトスポーツの代名詞、マツダロードスターの最軽量モデル(1500cc)でも990kg。

4000ccのV12が1100kg未満とは時代が違うとは言え際立つ軽さです。

鋼管スペースフレーム × アルミボディは軽いですね。

ちなみに同時期のフェラーリ 512BBは1515kgあります。
ロータスヨーロッパは610kgしかないんですけどね。


【価格】

正確な値段は分かりませんが、当時の価格で2000〜2500万円くらいらしいです。

現在の価値に換算すると4000〜5000万円くらい。

今のランボルギーニ アヴェンタドールLP700-4が43,173,000円なので、だいたい同じくらいの価格ですね。


【LP】

今のランボルギーニのラインナップでも車種名のサブネームとして使われています。

これはイタリア語で縦置き後方という意味でエンジンの配置を意味しています。

LがLongitudinale(縦)、PがPosteriore (後方)です。


【カウンタックリバース】

ミッドシップ式のスーパースポーツは全高の低さと、エンジンルーム高のため後方視界が絶望的です。

さらにカウンタックの窓は一部しか降りないので頭を出して後ろを見ることは出来ません。

この絶望的な視界の悪さ故にバックする際にはドアを跳ね上げて、体を横にして後方を見るという作法がカウンタックリバースと名付けられ有名になりました。


【パワートレーン配置】

カウンタックはミッドシップですが、ミッドシップはパワートレーン配置が難しく、各社様々な形態があります。

カウンタックの場合は車両前方から並べてトランスミッション、エンジン、デフという構成になっています。

F1なんかの競技車両と前後が反対です。

エンジンの後端下にデフがあり、キャビンに後ろからトランスミッションが食い込む形状になっています。

この配置がコンパクトなホイールベースにV12を縦置きに収めるための必然になっています。

また、後継のディアブロではその配置から4WDを実用化しています。


【ランボルギーニという会社】

元はトラクターを作ってたメーカーです。
フェラーリオーナーだった創業者(フェルッチオ・ランボルギーニ)がフェラーリに満足できずに自分でスーパーカーを製造した事が始まりです。

カウンタックの登場は1970年、創業は1963年なので、創業から7年後に登場し、翌年に発売します。


【生産が長い】

スーパーカーのモデルサイクルは比較的長く、10年くらい売られる事が多いのですが、カウンタックは1971-1990年と20年近く売られています。

その間に大小様々なブラッシュアップが行われています。

1938-2003年のフォルクスワーゲン タイプ1(通称ビートル)や1959-2000年のミニには及びませんが。


【映画・漫画への登場が多い】

特徴的な車なので漫画への登場が多いです(多分)

カウンタックというタイトルの漫画もあります。
この漫画には古いスーパーカーがたくさん登場するのでスーパーカー世代垂涎です。

比較的新しいところではシャーマンキングに精霊(付喪神:つくもがみ、ものに宿る霊的存在)として登場します。

エリート狂想曲という古い漫画では、新幹線に乗る主人公をヒロインがカウンタックで追いかけるシーンがあります。

ジャッキーチェンの登場する映画には結構な頻度で登場します。

キャノンボールやレッドブロンクスなどのハリウッド作品が多いですが、中には大型ホイールローダーに大した意味もなく踏み潰されてしまうシーンもありショッキングです。
(レプリカかな?)

ジャッキー自身は三菱が好きで、スタリオンやランエボ、GTOが登場し、三菱車にジャッキーチェンが搭乗することが多いです。


【カタログ】

カタログの画像を載せるのは著作権的に問題がありそうなので載せませんが、情報を抜き出して載せることにします。

カタログには母国語のイタリア語の他、英語、フランス語、ドイツ語で同じ意味の言葉が書かれています。

エンジンの性能曲線に燃料消費曲線も載っています。
カウンタックのエンジンは5800rpm辺りが最も効率が良いんですね。

何故かAgipのsint2000(10W/50)というオイルの缶が載っています。


スペックは付録に付けますが、スペックに載ってない情報としては以下があります。

アルミ合金製ブレーキキャリパー
FRP製フロアパネル
リアのダンパー同軸コイルスプリングは1ホイールあたり2本
チルト&テレスコピック調整ステアリング
12V 72Ahバッテリー
70A オルタネータ
ギア比
1速:2.256:1
2速:1.769: 1
3速:1.310:1
4速:0.990:1
5速:0.775:1
後退:2.134:1
アクスル比:11/45
リミテッドスリップディファレンシャル
単板乾式クラッチ
油圧式軽合金クラッチリリースベアリング

8000rpm時速度
1速:105km/h
2速:135km/h
3速:182km/h
4速:241km/h
5速:315km/h
0 - 1000m加速 22.8sec

今の指標からすると変わった事が書いてありますね。


【以降付録】

ランボルギーニの生産車種

1964-1966年 350GT
1966-1968年 400GT
1966-1973年 ミウラ
1968-1970年 イスレロ
1968-1987年 エスパーダ
1969年 イオタ
1970-1976年 ハラマ
1973-1979年 ウラッコ
1971-1990年 カウンタック
1976-1979年 シルエット
1981-1989年 ジャルパ
1986-1993年 LM002
1990-2001年 ディアブロ
2001-2010年 ムルシエラゴ
2003-2013年 ガヤルド
2007-2009年 レヴェントン
2011年- アヴェンタドール
2013年 ヴェーノ
2014年- ウラカン
2016年 チェンテナリオ


LP400のスペック

〈製造〉1974-1978年
〈生産台数〉157台
〈エンジン〉
・レイアウト 水冷60度V型12気筒DOHC
・気筒当り2バルブ
・燃料供給装置 ウェーバー45DCOE 9697×6
・排気量 3929cc
・圧縮比 10.5:1
・ボア×ストローク 82.0×62.0mm
・最高出力 375ps/8000rpm
・最大トルク 36.8kgm/5500rpm
〈車体〉
・シャシー 鋼管スペースフレーム
・ボディ アルミニウム
・ホイールベース 2450mm
・トレッド(F) 1500mm
・トレッド(R) 1520mm
・全長×全幅×全高 4140×1890×1070mm
・車両重量 1055kg
〈トランスミッション〉5MT
〈サスペンション〉ダブルウィッシュボーン/コイル
〈ブレーキ〉ガーリング製ベンチディスク
〈タイヤ(F)〉205/70VR14+7.5J
〈タイヤ(R)〉215/70VR14+9.5J
〈最高速度〉290km/h


LP500のスペック

〈製造〉1971年※
〈生産台数〉1台※
〈エンジン〉
・レイアウト 水冷60度V型12気筒DOHC
・気筒当り2バルブ
・燃料供給装置 ウェーバー45DCOE 9697×6
・排気量 4971cc※
・圧縮比 10.5:1
・ボア×ストローク 85.0×73.0mm※
・最高出力 440ps/7500rpm※
・最大トルク 51.0kgm/5000rpm
〈車体〉
・シャシー 鋼板溶接フレーム※
・ボディ スチール※
・ホイールベース 2450mm
・トレッド(F) 1500mm
・トレッド(R) 1520mm
・全長×全幅×全高 4140×1890×1029mm※
・車両重量 1130kg※
〈トランスミッション〉5MT
〈サスペンション〉ダブルウィッシュボーン/コイル
〈ブレーキ〉ガーリング製ベンチディスク
〈タイヤ(F)〉205/70VR14+7.5J
〈タイヤ(R)〉215/70VR14+7.5J※
〈最高速度〉290km/h

※LP400と違う部分


【あとがき】

カウンタックは幼少期の私に強烈なインパクトを与え、人生に少なくない影響を及ぼした車です。

映像作品や書籍などでも様々な人々がこの車に影響を与えられている事がよく分かります。

こんな車なかなかないと思うので知ってもらえたら幸いです。

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