車の燃料油種について
車の燃料油種について
下記のノートからのスピンオフです。
燃料の油種に関する質問はよくあります。
なるべく分かりやすく書いていこうと思います。
前の方はよくある質問に対すること、後ろの方に詳しい内容や雑学を紹介します。
【油種と名前】
自動車には燃料を入れますが燃料にはいくつかの種類があります。
ガソリンスタンドに行くと
・ハイオクガソリン
・レギュラーガソリン
・軽油
があります。
レギュラーガソリンは無鉛ガソリンとも呼ばれます。
ハイオクガソリンは無鉛プレミアムガソリンとも呼ばれます。
説明書には無鉛〜と書いてあることが多いです。
【どの燃料を入れれば良いのか?】
車の説明書にどの燃料を入れるのかが書いてあるので、書いてある通りの油種を入れてください。
エンジンによって入れる燃料が異なります。
ディーゼルエンジンには軽油。
一般的にスポーツカー・欧州車・高級車にはハイオクガソリン。
それ以外はレギュラーガソリンです。
例外もありますので、よく説明書を確認して下さい。
軽自動車に軽油を入れてしまう人がいるそうなので気をつけてください。
(軽自動車にディーゼルエンジン搭載車はありません)
【価格】
ガソリンスタンドには店頭表示価格がデカデカと看板に表示されているので、見ると分かりますが、ハイオクが一番高く、続いてレギュラー、続いて軽油の順に価格設定されています。
価格が安いからという理由で車種に合わない安い燃料を入れると、故障の原因になって結局損をします。
必ず指定の燃料を入れてください。
価格は下記のサイトで見ることが出来ます。
https://e-nenpi.com/
【油種を間違えた場合の対処】
〈ハイオクガソリン→レギュラー車〉
何も問題ない。
間違えてもそのまま乗ってください。
〈レギュラーガソリン→ハイオク車〉
基本的にはそのままで問題ない。
ただしパワーも燃費も悪くなります。
稀にハイオク専用の車があります。
その場合はそーっと走る必要があります。
〈軽油→ガソリン車〉
ガソリンスタンドで入れてしまった軽油を抜いて、燃料の入れ替えを行なってください。
そのままだとエンジンが壊れる可能性があります。
入れた途端に燃料流路まですぐ来るわけではないのでいきなり壊れることはありません。
順次混ざりつつ送り出されるので気づいた時点で燃料を抜く必要があります。
〈ガソリン→ディーゼル車〉
ガソリンスタンドで入れてしまったガソリンを抜いて、燃料の入れ替えを行なってください。
そのままだとエンジンが壊れる可能性があります。
入れた途端に燃料流路まですぐ来るわけではないのでいきなり壊れることはありません。
順次混ざりつつ送り出されるので気づいた時点で燃料を抜く必要があります。
【ハイオクって何?】
ハイオクとはオクタン価が高い(ハイ)だからハイオクと呼ばれています。
オクタン価というのは自己着火性能の指標値で値が高いほど自己着火しづらい性質になります。
ハイオクは自己着火しづらい燃料です。
自己着火しづらいと何が良いかというとノッキングが起こりづらいからです。
【ノッキングって何?】
ノッキングという言葉は車がギクシャクする現象だという風説がまことしやかに知れ渡っていますが、違います。
ノッキングというのはエンジンを故障させる原因になる異常燃焼の一種です。
この時エンジンからはキンキンとかチリチリとかの甲高い音が聞こえます。
ノッキングが起こると燃料は想定よりも早く燃焼するので燃焼室内で衝撃波が発生します。
この衝撃波は強力でエンジンを傷めます。
この異常燃焼は圧縮比が高いほど起こりやすいです。
【圧縮比って何?】
エンジンはピストンがストロークすることで動作しています。
ピストンが一番下に来た時のシリンダー内の体積とピストンが一番上に来た時の体積の比の事です。
基本的には圧縮比が高いとパワーが出るし燃費が良くなります。
なのでスポーツカーなんかのハイパワーエンジンは圧縮比を高く設計しています。
しかし圧縮比が高いと気体は圧縮した時の温度が高くなります。
この熱が原因で想定よりも早く燃料が燃えてしまうことが原因で衝撃波が発生します。
ターボ等で過給を行っても実質的に圧縮比が高くなるのでノッキングは起きやすくなります。
【欧州車ってなんでハイオクなの?】
欧州車ではハイオクが指定燃料になっています。
これはヨーロッパのレギュラーガソリンが日本のハイオクとレギュラーの間のオクタン価に設定されているため、レギュラーを入れるとノッキングしやすくなるためです。
【軽油って何?】
ディーゼルエンジンでは圧縮した時の熱を使って着火します。
自己着火してくれないと火がつかないので自己着火しやすい軽油を使います。
軽油はガソリンの10倍くらい自己着火しやすいです。
かつて硫黄が潤滑成分を担っていました。
現在の軽油はサルファーフリーになっているので、潤滑成分は添加剤で補ってします。
【ハイオクガソリン→レギュラー車の解説】
レギュラー仕様のエンジンにハイオクを入れてもノッキングしにくくなるだけで何の問題もありません。
ハイオクには各社独自の洗浄成分が入っているので、エンジンが少しは綺麗になるかもしれません。
【レギュラーガソリン→ハイオク車の解説】
ハイオク仕様のエンジンにレギュラーを入れた場合ノッキングしやすくなるので、点火時期をコントロールしてノッキングしにくく制御がされます。
これはパワーも燃費も出なくなるのでハイオクの方が燃料代が高いからといってレギュラーを入れても節約にはなりません。
稀にハイオク専用にチューニングされたエンジンがあり、レギュラーでの運行は高負荷を与えないように説明書に記載されています。
【軽油→ガソリン車の解説】
ガソリンエンジンに軽油を入れてしまった場合はノッキングが起こりやすくなりエンジンにダメージを与えます。
ダメージを受ける前に軽油を抜いて下さい。
【ガソリン→ディーゼル車の解説】
ディーゼルエンジンにガソリンを入れた場合は、燃焼的には火が付かないくらいで異常燃焼をすることはないです。
しかし燃料流路の潤滑成分が足りなくてエンジンにダメージを与えます。
ダメージを受ける前にガソリンを抜いて下さい。
【ハイオクの清浄成分について】
ハイオクには各社独自の成分がブレンドされています。
どこのメーカーも基本的には清浄成分と言っており、エンジンのバルブやピストンについたデポジットを除去する働きがあると謳っています。
出光興産 スーパーゼアス
http://www.idemitsu.co.jp/gasoline/zearth.html
エネオス ヴィーゴ
http://www.noe.jx-group.co.jp/carlife/product/vigo/
昭和シェル石油 Shell V-Power
http://www.showa-shell.co.jp/carlife/products/shell-vpower/about-index.html
コスモ石油 スーパーマグナム
http://com.cosmo-oil.co.jp/ss/magnum.html
エッソ シナジーF-1
https://www.emg-ss.jp/sp/service-station/refuel/
【無鉛ってなに?】
古くはバルブ密閉性のため鉛入りのガソリンが存在していましたが、鉛は環境負荷物質のため現在は無鉛が標準になっています。
すごく古いクラシックカーには有鉛ガソリンでなければならないものがありますが、普通の人が気にすることはないでしょう。
【ハイオクの詳細】
なぜノッキングしづらいものとそうでないものかあるかというと、ガソリンの成分の違いです。
ガソリンは化学的にはHC(炭化水素)ですが、実際にはパラフィン系(50〜60%)、ナフタレン系(30〜50%)、オレフィン系(0.5〜2%)、芳香族(2〜4%)などで構成されており、この成分ごとにオクタン価が異なります。
先ほどの順番でオクタン価は高くなっていきます。
さらに含有比率の高いパラフィン系の中でもノルマルヘプタンとイソオクタンがあり、この比率がオクタン価への影響が高いです。
イソオクタンがオクタン価が高く、ノルマルヘプタンがオクタン価が低いです。
実はオクタン価はこの比率のことです。
ノルマルヘプタンとイソオクタンの比率が20:80ならばオクタン価80、0:100ならばオクタン価100といった表現になります。
少し前までは四エチル鉛やベンゼンなどのアンチノック剤を入れて比較的容易にオクタン価を100以上に高める方法がとられてきました。
しかし、これらは環境負荷物質のため現在は芳香族の含有率を高めるような措置がとられています。
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