車内の凶器

車内の凶器

【はじめに】

車は日常の足として生活の一部になっている人もいると思います。

しかし、車を使うと事故と隣り合わせです。

事故の時には非日常に引き込まれます。

それは事故対応などだけではなく、事故の瞬間の車内は日常では味わったことのない空間に変わります。

その時、何気なく車内に置いているものが凶器になります。


【前面衝突】

荷室には物を置きますよね?

そのための空間なので当然です。

しかし衝突時にはその慣性で前に飛んできます。

後部座席の後ろに簡単な蓋がありますが、紐でぶら下がっているだけなので高い位置にあるものは蓋を押し上げて飛んできます。
セダンのトランクなど、頑丈な隔壁に守られていれば別ですがそれ以外のほとんどのボディタイプでは危険です。

安全に特別気を使った車では、パーテーションネットという隔壁が設けられたものもあります。

しかし、モノによっては衝突時の衝撃に耐えられない形だけのヤワなモノもあります。


〈エアバッグによる飛散〉

ダッシュボードの上に物を置いている人をよく見かけます。

ダッシュボードの中にはエアバッグが内蔵されています。

衝突でエアバッグが展開すると、その上に乗っている物はエアバッグに弾かれて飛び出します。

エアバッグは衝突を検知して頭が動く前に展開する必要があるため、ものすごい勢いで膨らみます。

仕組み的には簡単に言うと風船の中で爆薬が爆発しているので、その上に乗っているものは爆弾の中に入っている殺傷力を高める部品のような役目をします。

エアバッグの展開速度は100〜300km/hと言われています。

そんな速度で飛んできたら、例えばぬいぐるみのような柔らかそうなものでもたまったものではありません。


【追突】

先ほどの例ではエアバッグによるものの飛散の例でした。

それではエアバッグの展開する場所以外に置かれているものはどうなんでしょうか?

乗員よりも前にあるものは追突の時に乗員に向かって飛んできます。

追突は自分だけの努力で防ぐことは難しい事故です。

細心の注意を払って運転していても後ろのドライバーの不注意でいとも簡単に起きます。


〈なぜ追突時に物が飛んでくるか?〉

追突を食らうと車は急加速します。

乗員はシートに支えられているので、乗員も車と一緒に急加速します。

しかし、ただ単に置いてあるものはどうでしょう?

その慣性でその場に居続けようとします。

そうすると相対的に乗員に向かって飛んでくる形になります。

よく滑り止めのシート越しに物を置いている車を見かけますが、追突の急加速にとって滑り止めなど役に立ちません。

置かれているものはスマホなど重いものもあると思います。
(滑り止めシートのパッケージには無造作にスマホを置いた写真が貼られていてとても残念です)

重いものほど慣性の力は大きく、ぶつかった時のダメージも大きくなります。


〈助手席の前の物置きスペース〉

助手席の前に蓋の無い物置きスペースがある車があります。

この部分に物を置いていても、前ページに挙げた理由で物が飛んできます。

メーカーは室内の安全性に関してあまり関心が無いようです。

衝突安全のテストでも追突時のヘッドレストの効果は測りますが、物置に置いた物の攻撃性については評価がありません。


〈コインポケット〉

コインポケットが装備されている車があります。

これも追突時に乗員に飛んでくる可能性があります。

コインポケットはコインが取り出しやすいように設計されているものが多いです。

コインが転ばないようにある程度のホールド性は持たせています。
しかし追突の時に飛んでこないかというとそうではありません。


【あとがき】

車には備えけられた物置場所もあれば、そうでない場所に適当にモノを置くユーザーも居ます。

これまで語ってきたように、よくよく考えると危険があります。

車に備え付けられている場所でも危険なものもあるので、よく考えて車内のものを配置してください。


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