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スピードメーターの誤差

車のメーターのうち車の速度(以下、車速)はメーターに表示され、自分の走っている速度を知る重要な装置です。

競技車両では車速メーターが無いものもありますが、市販車は装着を義務付けられています。

この車速メーターには誤差が許されています。


保安基準では以下のように定められています。

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道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第148条(速度計等)
10(V1-6)/11 ≦ V2 ≦ (100/94)V1
V1は、自動車に備える速度計の指示速度(単位 km/h)
V2は、速度計試験機を用いて計測した速度(単位 km/h)
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このままだと理解しづらいので40km/hに置き換えて考えてみましょう。
(車検では時速40km/hで計測します)

左側の不等式は下限、右側の不等式は上限を表します。


下限は以下のようになります。

10(V1-6)/11 ≦ V2
10(40km/h-6)/11 ≦ V2
30.9km/h ≦ V2

これはスピードメーターが40km/hを指しているとき、実際の速度は30.9km/h以上でなければならないことを示します。


上限は以下になります。

V2 ≦ (100/94)V1
V2 ≦ (100/94)× 40km/h
V2 ≦ 42.6km/h

これはスピードメーターが40km/hを指しているとき、実際の速度は42.6km/h以下でなければならないことを示します。

下限には-6というオフセットがあるので単純な割合ではないですが、誤差をパーセントで表すとおよそ77.25〜106.5%の間であればOKと判定されます。


スピードメーターに誤差が許容されるのは主に構造上の問題です。

基本的に車の移動速度をそのまま計測しているのではなく、車輪の回転数を計測しています。

車輪の回転数から車速を計算しようとした場合、車輪の大きさ(外径と言います)が関係します。

式的には以下です。

速度[m/s] = 車輪の回転数[r/sec] × タイヤの円周[m]


タイヤの円周はタイヤの径が変わると変わるので、タイヤのサイズや空気圧を変えると変わります。

タイヤの径はホイールをインチアップしたり、幅の違うものと変えたときにピッタリ同じものにならないことがあります。

タイヤは走行時の摩擦で削れるため、摩耗でもサイズは変わります。

空気圧は自然に空気が抜ければ減ります。
気温の変化や走行時の変形による温度上昇でも空気圧は変わります。

この誤差のためある程度幅を持たせています。


純正の車速メーターは走行速度よりも高く表示されるように調整されたものが多いです。

これは安全に配慮したもので、スピードメーターを見る限りは速度が出過ぎないようにしています。

保安基準も77.25〜106.5%なのでプラス側は6.5%に対し、マイナス側は22.75%と大きくなっていることからも分かります。

タイヤ側の誤差のことを考慮し、振れ幅の中央に設定したとしても91.75%になるため、およそ10%程度は実際の車速は低くなります。


いかがでしたでしょうか。

スピードメーターの表示よりも実際の車速が小さかったとしても速度を出し過ぎるのは事故の元です。

車間距離を空け、周りの状況に合わせて走行してください。

また、メーターに関しては下記のノートも執筆しています。


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