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車で急ぐと危険なワケ

【はじめに】

車を運転していて次の用事まで時間がない時には焦ります。

そして危険な運転になりがちです。

なぜ危険になるのか?

ちょっと深掘ってみたいと思います。


【時間を取り戻そうとする】

急いでいる時の車の運転は、少しでも時間を取り戻そうとして、下記の運転をしがちです。
・スピードを出す
・確認を短縮する(おろそかにする)
・判断のグレーゾーンで停止より進行を優先する

それぞれの危険性について詳しく説明します。


〈スピードを出す〉

普段出さないスピードで運転すると経験の浅い速度での走行になります。

この経験の浅い運転状態は以下の2つの危険を生みます。

①スピードが速いと判断力が追い付かない
②物理的に危険領域に入っているかどうかの判断がつかない

①は普段の速度では判断が間に合うケースで間に合わなくなることを指します。

②は減速やカーブ等、車が物理的に厳しい状況に置かれることです。

状況によってはコントロール不能に陥りますが、基本的にタイヤのスリップはスリップするまでわからないので、危険領域に入っていることを意識することは難しいです。


〈確認を短縮する〉

時間に余裕がある時には何度も確認するシチュエーションで、確認のための時間を縮小します。

例えば左右確認では、普通の人は左右を同時に見えないので、右→左→右と見るところを右→左だけで済ませてしまったり、左右の角度を小さくしがちです。

普段よりも確認を省いて安全なわけがありません。


〈判断のグレーゾーンで停止より進行を優先する〉

時間に余裕がある時は、進行と停止の判断が明確につきにくい状況では停止を選ぶ人が多いと思います。

これは安全を優先した選択です。

ここで進行を優先すると当然安全から遠ざかります。


【考え事をしながらの運転になる】

気が焦るだけで無く、急がなければならない理由に関することで頭がいっぱいになって運転操作がおろそかになります。

他に時間を取り戻すための良い方法はないか?

遅れたときのリカバリー方法は?

など、運転操作以外の考えが優先的に頭に浮かんできます。

人の脳は同時にいろんなことを処理できません。

同時っぽく見えるのは、時間を細かく区切って処理しているからです。

集中しているときは能力が向上することからわかると思いますが、細かく区切れば細かく区切るほど能力が低下します。

これは切り替わりのための処理がたくさん必要になるからです。
(オーバーヘッドと言います)

運転操作というのは、それだけで多くの情報を同時に(細かく切り替えながら)処理しなければなりません。

考え事をすると、全体の処理能力のうち切り替わる要素が増えて、余裕がある時に比べて運転に割り当てられません。


【運転操作に必要な処理能力】

〈視覚〉

視覚をフル動員して前方を基本とした外界の監視をして、今の姿勢で見えないところがあれば体を動かして視点を変えたりしなければなりません。

〈聴覚〉

聴覚も周りの音を聞いて、緊急車両の接近をはじめ、他の車両の挙動を聞き取らなければなりません。

車から異音が起きてないか聞き取らなければなりません。

〈触覚〉

触覚もハンドルを持つ手やペダルに違和感が無いのか、伝わってくるロードインフォメーションに変わったところはないか、感じ取らなければなりません。

〈嗅覚〉

嗅覚も焦げくさい臭い(車の異常につながる)は無いのか、周りは臭く無いのか、嗅ぎとらなければなりません。

〈三半規管〉

三半規管も車の挙動にいつもと違った異常がないかを感じ取っています。


ずらっと並べてみましたが、これだけみても、殆どの感覚器官を運転には使います。

使ってないのは味覚くらいです。

車の運転は五感と五感からの情報をリアルタイムで処理する脳が必要になります。


【対策】

時間がないとき気が焦るのは仕方がないのですが、

「人は時間に余裕が無くなるとミスをしやすくなること」

を認識することが大事です。

ミスをしやすくなることが頭にあると、自然と慎重に運転するようになります。


【あとがき】

私は時間に余裕がない時、ワザと普段より少しペースを落として運転します。

なので、よく妻に「時間ないのに何で急がないの?」と思われています。

リスクを犯して時間に間に合わせるよりも、リスクを考慮して安全運転することの方が明らかに優先が高いと普通に考えればわかるからです。

今年はロードレイジの問題も取りざたされ、交通安全に関心が向いた年だったと思います。

交通環境の安全はハンドルを握るドライバーがほぼすべてを握っています。

冷や汗をかくほど頑張って急いでも到着時間はほとんど変わりません。

いっぽう事故で失われる損失は莫大です。

安全を最優先にした運転をしましょう。

安全運転全般については下記のノートを参照してください。


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