池袋暴走事故の思うところ

最近判決が出ました。禁固7年という過失運転致死傷罪の最大量刑です。
私は自動車にまつわる仕事をしています。
ここで少し自分の心の中で思ったことを徒然と書きたいと思います。

私は自動車が好きです。
なので自動車が起こす不幸な出来事は憎みますし悲しいです。
無くしていきたいと常々思っています。
私のnoteでも交通安全に少しでも貢献できるようなものをと願って書いているものもあります。

世間では上級国民に対する怨嗟がよく書かれていますが、上級国民云々の話は取り除いて書きます。

取り合えず背景的にwikiを貼っておきます。

■加害者の主張について
主に下記のことを言っている
・アクセルとブレーキを間違えた記憶はない
・車に何らかの異常が発生したのではないか
・事故の起こらない安全な車をメーカーには作ってほしい

・アクセルとブレーキを間違えた記憶はない
これは嘘をついているとは思えない。
アクセルとブレーキを間違えた本人は踏んだ瞬間に間違っているということを認識できない。
アクセルとブレーキの踏み間違いだと認知するのは、減速するはずなのに加速しているという事実を受け入れたときの自分の考えの持ちようによる。
自分が間違ったか、もしくは自分は間違っておらず他に何かの要因があるとするか。その違いだ。
自分は間違っていないと信じられるのであれば後者の認識になるだろう。
そのことは次の主張からも明らかだ。

・車に何らかの異常が発生したのではないか
上記の認識から発生した疑念だ。
自分が間違っていないと信じることができるならば、ほかの要因として考えられるとして推測できる。
そういう意味でも加害者の主張には一貫性がある。

・事故の起こらない安全な車をメーカーには作ってほしい
これは事故の加害者であろうと被害者であろうと、いや私でもそう思う。
もしくは事故の起こらない制度設計が実現することが期待される。
車は便利なものだ。それこそ加害者のような足の不自由な人に移動の自由を存分に味わってほしい。
しかし安全な自動車の実現は困難だ。
自動運転と叫ばれて結構経つが、完全な安全運転をする自動運転車というものはまだ存在していない。
そのため安全を担保できない状態というものを正確に把握し、不安全リスクが上昇したら直ちに制限をするということが実現できなければならない。
例えば免許更新時の評価だけでなく、車が運転者の不安定行動を検知して警告を出すとか停止するといった仕組みがあれば安全に寄与できるのではないかと思う。
多くの人の移動の自由と安全を両立したいと思っている。

■事故前後の加害者の行動について
・事故直後に電話で自らのSNSなどを閉鎖するように指示
・救護を怠った
この点については事故の社会的影響とリスクヘッジが行き届いていて、さすがにエラい人は違うなと思った。が倫理的にはあまり褒められたものではないが。
救護を怠ったのは自らエアバッグが開いたくらいの衝撃を受けたため仕方がないものではないかと思っている。

■弁護士の主張について
「気温変化で車の電子制御システムに誤作動が生じる」
ということを主張したらしい。
対するメーカーの技術者の見解は
「寒冷地から砂漠まで車が走ることを想定」
と誤作動を否定している。
正直この弁護士は優秀ではないと思った。
電子制御システムそのものに着目した点はよいだろうと思うが、高温多湿という機会にとって劣悪な環境である日本という国のメーカーの中でも世界各国に車を売っているトヨタ車に気温の話を持ち込むのは愚策としか思えない。
私なら下記のようなことを主張するだろう。
・近年の自動車には電子制御が多く使われている
・電子制御はソフトウェアによる制御が使われている
・ソフトウェアの規模はとても大きくなってきている
・ある程度の規模以上のソフトウェアにはバグを完全に無くすことは困難
・出荷の基準を満たすための評価をしても、すべての条件を網羅する試験の実施は不可能
・レアケースで発生する不具合が原因で発生したと思われる

■不自然な点
警察は加害者の車の操作解析を行い、アクセルとブレーキの踏み間違い事故だと立証するためにトヨタに解析依頼をしている。
しかし加害者が車の欠陥を疑っているという点がある以上、自動車の欠陥をその車を設計製造したメーカーに依頼するのは不自然だ。
常識的に考えて証拠を隠ぺいする動機がある。
動機がある以上、解析は第三者に任せるべきだ。
私が警察ならば、設計資料をトヨタに出させ、その設計資料を元に解析を行う会社(複数)に依頼するだろう。
そんな暇と金がどこにあるのか?という話もあるが。

と、感想は書き殴ってみました。
交通事故は誰にとっても不幸です。
不幸な事故が少しでも減ってほしいと思います。

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