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車のバッテリーがあがる原因

バッテリーというのは電池のことです。

あなたのその手元にあるスマホや時計などあらゆる電気を使う装置に入っています。

車にもバッテリーが使われていて、車内のさまざまな電気機器の電力を供給します。

最も重要な役割はスターターモーターを回すことです。


【バッテリーが上がる原因】

バッテリーは電池なので使えば内部に蓄えられた電力は減ります。

減ってしまったら補充しなければ無くなります。

電力が無くなる=バッテリーが上がる

ということです。

バッテリーの電気が無くなる主な原因を紹介します。


〈エンジンをかけずに電気を使う〉

エンジンをかけずに電気を使っていると上がります。

エンジンで発電しているので、発電しなければ消費だけになり、いずれ上がります。

アクセサリーポジションで使えるカーオーディオのほか、キーを入れなくても使えるヘッドライト、ブレーキランプ、ルームランプなどの灯火類が消費しやすいです。

最近はオートライトが当たり前になっているので、ヘッドライトに関してはそんなに気にすることは無いのですが、逆にオートライトを装備していない車両に乗るときは忘れがちになります。

ブレーキランプは普段は意識しませんが、電力消費量はエアコンのブロアファンに次いで多いです。
近年はLEDに変わっているので状況は変わっていると思いますが。


〈バッテリーの寿命〉

車のバッテリーはおよそ2〜3年で寿命を迎えることが多いです。

だいたい車検周期ごとで、突然使えなくなることが多いです。

バッテリーは化学変化で電気を生み出します。

バッテリーは熱い場所も寒い場所も苦手です。

化学変化は寒いと反応をし難くなるので充電も放電もしづらくなります。
このことにより見かけ上の容量が減ります。

熱ければ良いのかといえばそうではなく、電極の性能低下や過充電の原因になり、寿命を縮めます。

場合によって寿命が長くなったり、短くなったりするのはユーザーの使い方や車の保管場所が違うからです。

車によっては遮熱のためにバッテリーを樹脂製のケースに入れている車もあります。


〈オルタネーターの寿命〉

オルタネーターは車の発電機です。

エンジンで回されて常に発電しています。

交流電源をAC、直流電源をDCと言いますが、ACはalternating currentの略でオルタネーターの発電で生み出された電気です。

交流のままではバッテリーに充電したり車内の機器に利用できないのでオルタネーター内の整流器で直流に変換します。

最近は必要以上に発電してもしょうがない時にオルタネーターに駆動パルスを与えてエンジンの負荷を減らすものも増えています。
(充電制御と言います)

オルタネーターが寿命を迎えると基本的には交換することになりますが、リビルト品というものが広く普及しています。

これは中古の部品を整備し直してブラシなどの消耗品を交換し、再検査して再び製品として使用する再生品です。

新品を購入するよりも安く済みます。


〈配線不良〉

配線になんらかの問題がある場合、充電が上手くできなくなります。

充電が出来なければバッテリーは上がります。

簡単なものではバッテリーターミナルの接触不良などがあります。


〈ベルトの不良〉

オルタネーターはベルトでエンジンと繋がっていてエンジンが回ると回って発電します。

このベルトに不良があってオルタネーターがまわらなかったり、回転が少なければ発電が少なくなります。

ベルトに関しては下記のノートを参照して下さい。

〈暗電流〉

電源を入れていないのに使われている電力を暗電流と言います。

PCや家電品なんかだと待機電力と呼ばれるものと同じです。

車はキーONしていなくても動かなくてはならない機能があります。

例えばキーレスエントリーの機能やセキュリティの機能などの他、多い車で100個にも及ぶECUのRAMのバックアップ電源としても使われます。

何らかの理由でそれらがキーOFFにもかかわらず消費電力を多く使っていると、ちょっと放置しているだけですぐにバッテリーは上がってしまいます。

モーターや光や音などの物理的な動作をする装置はそれらを誤制御していたら多くの電力を食います。

その他、カーナビなどのCPUパワーが比較的多い(=電力消費量の多い)機械が電源オフ制御に失敗していると暗電流が多くなります。


〈消費電流過多〉

使ってる電力が作ってる電力を超えるとバッテリーがあがります。

基本的には車の電力はまかなえるぶんだけオルタネーターで発電してるので通常であれば上がりませんが、バッテリーやオルタネーターなどの性能劣化で上がりやすくなります。

バッテリー上がりのトラブルは季節性があり、夏と冬に上がりやすくなります。

冬は化学変化に厳しい季節のためバッテリーの性能低下が要因です。

夏は電力消費量が多くなることが原因です。

JAFによると電力消費量の多い装置は、エアコンのブロアファン(出口にある空気を出すところに付いている小さな扇風機のこと)で、次いでテールランプなどの灯火類です。

最近はLEDなどの消費電力の少ない光源も増えていますが、夏場の渋滞では電力消費量が大きいのでバッテリーが上がりやすくなります。

エアコンの温度設定を見直すとファンもフル回転をやめて電力消費量が抑えられます。


【バッテリーが上がってしまったら】

車の中にエンジンを駆動する電力が無くなってしまっているため、スターターモーターは回らずエンジンはかかりません。

一旦上がってしまったバッテリーは能力が極端に低下しています。

過放電したバッテリーは電極に硫酸鉛が結晶化して貼りついた状態になり性能が劣化します。

結晶化してしまった硫酸鉛は元に戻りにくいので充電をしても元の性能は出せません。
(サルフェーションと言います)

バッテリーは交換するとして、原因のところで説明したように様々な要因で起こるものなので、原因次第では他に修理が必要になります。


【バッテリー上がりの復旧方法】

バッテリーに他の電源から電力を供給することでエンジンがかかるところまで持っていくことが出来ることが多いです。

ジャンプケーブル(ブースターケーブルともいう)と呼ばれるケーブルを使い、他車から電源を供給してもらいます。

詳しくはジャンプケーブルの取説に記載されているので従ってください。

順序を適当にやると作業ミスをした時にショートの危険性があり、故障の原因になります。

JAF等のロードサービスに加入している場合は、ロードサービスを呼ぶことで上記の対処を行ってくれます。

ロードサービスは任意保険に付帯されていることが多いので、保険のサービスを確認してみてください。

前述の通りバッテリーの能力は低下しているのでエンジンがかかっているうちにディーラー・カー用品・ガソリンスタンドなどへ赴いてバッテリーを交換してください。


【バッテリーのコンディションチェック】

比重計というものを使ってバッテリーの状態を確認できます。

バッテリーの電解液は放電が進むと水の量が多くなるため比重が小さくなります。


【バッテリーについて】

バッテリー周りの装置についての解説を載せます。

〈1次電池と2次電池〉

1次電池は乾電池などの使い捨ての電池のことです。

2次電池というのは充電をすることによって何度でも繰り返し使える電池のことです。

車に使われるバッテリーは鉛蓄電池と言い、何度でも繰り返し使える2次電池です。

ハイブリッドカーではどの車にも付いている補機用の鉛電池の他に、走行用のバッテリーとしてニッケル水素電池やリチウムイオン電池が使われます。


〈化学電池と物理電池〉

電池には化学電池と物理電池がありますが、鉛蓄電池は化学電池です。

化学電池は物質の化学変化を利用した電池です。

物理電池にはキャパシタ(コンデンサーのこと)があり、あまりメジャーでは無いですが車に使われることもあります。


〈鉛蓄電池とは〉

電解液に希硫酸(H2SO4)、負極に海綿状鉛(Pb)、正極に二酸化鉛(PbO2)を使った化学電池です。

充放電では以下の化学変化が行われます。

PbO2 + 2H2SO4 + Pb ⇄ PbSO4 + 2H2O + PbSO4

→方向が放電、←が方向が充電の反応になります。

満充電に近づくと化学反応に使われる電力が減るので水の電気分解により、酸素と水素が発生します。
(爆発の原因にもなります)


【バッテリー充電制御】

最近の車はバッテリー充電制御が当たり前になってきています。

これはオルタネーターによるエンジンの負荷を減らすもので、バッテリーが満充電の時には、オルタネーターに駆動パルスを与えて実質的に空転にすることでエンジンの負荷を下げるものです。

オルタネーターの負荷は最大でエンジン出力の5%とも言われています。

エンジンの負荷を下げることにより、燃費も良くなり、パワーも出ます。


〈見分け方〉

最近の車は車両型式の先頭がCBAまたはDBAで始まっていることが多いですが、これが充電制御が装備された車を示します。

車検証に型式は載っています。

ボンネットを開けるとバッテリーターミナルのところに制御用のセンサーが取り付けられているのでこれを見ても見分けることが出来ます。


バッテリートラブルはJAFでも堂々の第1位というメジャーなトラブルです。

バッテリーは突然上がることが多いです。

季節性があるので寿命が近づいてきたら夏場や冬場になる前に交換することをオススメします。


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