車の警告灯

車の警告灯

【はじめに】

自動車にはメーターパネル内のインジケーターに警告灯を表示する機能があります。

車メーカーとしては分かりやすくユーザーに伝えているつもりですが、いまいち伝わりきらないモノもあります。

代表的な警告灯の種類とその内容を紹介したいと思います。

と、その前に警告灯に共通する作法を紹介します。


【警告灯表示に共通する作法】

〈一旦点く〉

電源を入れたり、エンジンをかけたりすると一度警告灯が点いて、少しすると消えます。

これは警告灯そのものが電球切れなどの不具合によって点かない状態なのか否かが分かるための仕組みです。

なので、「一旦点いたけど消えたから良いかな?」は正解です。大丈夫です。

起動するたびに全ての警告灯のつき方を確認するような人はなかなか居ないと思います。

車の不調があった際は、一旦電源を切って、再度入れ直すと警告灯そのものが点かなくなったのかが分かります。


〈色分け〉

メーター警告灯には色が付いています。

赤(オレンジ)、黄色、緑、青、白

色から直感的にわかりそうですが、解説していきたいと思います。

赤(オレンジ)はすぐに対処が必要なもの。

黄色は車を動かすことには出来るが、すぐに修理がいるもの。

その他の色はただ情報を伝えているだけです。

色を目安に緊急度を測っても良いでしょう。


【よくある質問】

メーターの写真があって、「このマークが点くんだけど大丈夫?」というような質問がよくあります。

結論から言うと説明書にすべて書いてあります。

なので本来は説明書を読むのが正確です。

大方共通して言えますが、細かな部分では違いがあります。

前置きが長くなりましたが、次ページ以降にひとつずつ紹介します。
(沢山ありすぎるので代表的なものに留めます)


【エンジンチェックランプ】

このアイコンはエンジンを表現しています。

左の縦棒は冷却ファンでしょうか?

エンジン系統にトラブルがあることを表します。

現代のエンジンには様々なセンサーが取り付けられていて、通常起こり得ない挙動を検知した時にこのランプが点きます。

エンジンがかかっているのであればセンサーが異常値を示していてもフェイルセーフモードでなんとか動いている状態です。

他の部分にまで損傷が伝わらないうちにディーラーや整備工場に持ち込んでください。

焦げ臭い匂いがしたりした場合には、無理せず動かさず、電話連絡して車を診に来てもらってください。


【ブレーキ警告灯】

分かりづらいですが、円の左右の外側に弧が描かれているのはブレーキ関係に広く使われるアイコンです。

ABS警告灯も同じアイコンの中央にABSと書かれたものが使われています。

パーキングブレーキをかけると点灯するので馴染みがあると思いますが、これはブレーキ全般の警告灯です。

ブレーキフルードの不足など、ブレーキ関係の異常も伝えるもののため注意して下さい。

パーキングブレーキをかけてないのにこのランプが点灯したら、車を直ちに停止して下さい。

自走するのは危険です。


【オイル警告灯】

オイルを入れる道具(オイルジョッキと言います)に水滴のような絵が描かれています。

うーん。分かりづらい。

エンジンオイルになんらかの問題があります。

油量が足りないか、油圧が上がらない状態になっています。

そのままだとエンジンが焼きつく可能性が高いのですぐにエンジンを停止して下さい。

もちろん自走は出来ません。


【オーマチックギヤ警告灯】

歯車の形をしているのはトランスミッションの警告灯です。

最近は歯車じゃないトランスミッションもあるので、イマイチですね。

オートマ系統にトラブルがあることを表します。

オートマには様々なセンサーが取り付けられていて、通常起こり得ない挙動を検知した時にこのランプが点きます。

このランプが点いているとフェイルセーフモードで動いているので、ギアはある場所(オートマによります)で固定されて低速も高速も上手に動きません。

なんとか動いている状態です。

取り敢えず動かすぶんには動くと思うのでディーラーや整備工場に持ち込んでください。


【燃料残量警告灯】

給油機の形をしています。

これはさすがに見たことがあるでしょう。

燃料が少なくなっているので、そのままだとガス欠になります。

国産車であればランプが点いてから車種問わず50kmほど走行出来るので、早めに給油して下さい。

輸入車だとランプが点いた時点でほとんど残っていないこともあるようです。


【半ドア警告灯】

ドアが開いた形状のアイコンです。
これは分かりやすいですね。

ドアが開いています。

そのままだとなんらかの拍子にドアが開いてしまう危険性があります。

走行中にドアが開くと、ドアをぶつけたり乗員が車外に放出されたりします。

すぐに車を止めてドアを閉め直しましょう。


【シートベルト非装着警告灯】

シートベルトをした人が描かれています。

これは分かりやすいですね。

シートベルトを装着してない人がいます。

最近の車はシートにセンサーが付けられ、人が乗っていてシートベルトが装着されていないことを検知すると、このランプが点きます。

センサーは重量で検知しているので、重い荷物が積まれている座席があると、この警告灯が点くことがあります。


【エアバッグ警告灯】

これはちょっと分かりづらいですが、シートベルトをした人の前に、膨らんだエアバッグが描かれています。

エアバッグ機構になんらかの不具合が発生しています。

誤作動して展開することはないと思いますが、衝突時に展開できないようになっていると思われます。

早めにディーラー・整備工場に行って修理をして下さい。


【充電警告灯】

車のバッテリーを見たことがある人であればバッテリーのアイコンであることは一目瞭然です。

「+」と「-」も描かれています。

最近の人だと乾電池マークがスマホのバッテリーのマークで使われているので、そっちの方が良いかもしれません。

バッテリー関係のトラブルを表示します。

主に充電がうまくできていない時にランプが点きます。

自走できるうちにディーラー・整備工場に行くか、走行中に切れると危ないのでレッカー移動してもらって下さい。

走行中にバッテリーが上がるとエンジンが停止しますが、パワステも効かなくなりますし(電動・油圧共に)、ブレーキブースターも効かなくなるので操作系は重くなって危険です。

バッテリートラブルの原因については下記のノートにまとめてますので見てみてください。


【水温警告灯】

温度計と波打っている液面を表したものですが、分かりづらいですね。

これは同じマークでも色によって意味が変わってきます。

青だとまだエンジンが温まっていないことを指します。

エンジンが暖気されてないので調子が出ないことを指すくらいで気にしなくても良いです。

赤だとオーバーヒート寸前です。

エンジンは一定の温度を保つように制御されています。

その制御がなんらかの要因(ほとんどが機械的な故障)でうまくいかない時にガンガン水温が上がっていきます。

すぐにエンジンを止めてロードサービスを呼ぶようにして下さい。

昔はボンネットを開けてアイドリングを続ける事で、水温を下げていましたが、やめておいた方が良いです。

また、くれぐれもラジエターキャップを開けるのはよして下さい。

冷却水が噴き出してきて危険です。


【警告灯の雑学】

〈警告灯のアイコン〉

警告灯のアイコンはメーカーごとにバラバラに見えて共通化されています。

日本の工業規格JISでもD0032:2006で規定されていますが、国際標準化機構ISOでもISO2575で規格化されています。

ISOはこちら
http://www.mlit.go.jp/jidosha/un/UN_R121.pdf

JISはこちら
http://kikakurui.com/d0/D0032-2011-01.html


〈異常の検知)

近年は車に使われるコンピュータの数も多く、多い車では100個にものぼります。

このコンピュータには入力と出力があり、入力にはセンサーが付いていて、出力にはアクチュエータが付いています。

センサーやアクチュエータはコンピュータから見て異常があるかどうかを判定し、使って良いかどうかを判断します。

使ってはダメだと判断した時にそのセンサーやアクチュエータは故障していると判断してランプを点けます。

どこの何がどんな風に故障したのか、また、その時の他のセンサーはどうなっていたのかは記録されていて、ディーラーマンは通信機器を使って車から読み取ることが出来ます。


【あとがき】

警告灯が示してくれるのは車の異常でも機械的な検知が可能なものだけです。

例えば車両火災が起こっても検知はしてくれないし、タイヤが外れても検知してくれません。

車の安全な運行を支えているのはオーナーの日常点検とディーラー・整備工場の定期点検です。

日本には車検制度があって安全な運行を手助けしてくれていますが、車検に合格=安全の保証ではないです。

車の不調はドライバーが責任を持って検知し、早め早めの点検整備をお願いします。

くれぐれもランプ点灯を放置しないように。


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