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Paris での暮らし

日本食品店の掲示板で、家の近くのビストロのパティシエの仕事を見つけて、
9時~23時くらいまで働く毎日が始まった。
と思ったら、働き始めて2週間くらいで、書類が必要だから1週間くらい待ってくれと言われて急な休みをもらう。
そのレストランのごはんは美味しかったし仕事も楽しかったけど、拘束時間が長くってハードだった。しかもフランス語が全くできないから苦労した。
前菜を作る担当の人が日本人だったのでだいぶ助けてもらえたのはありがたかった。

でもフランス語ができないとやっぱり駄目だった。

結局そのお店でお給料をもらえないというショックなことがあり、
違うお店で働くことになった。

そのビストロでは色々学べたからよかったし、フランスのクラッシックなデザートを作れたのも面白かったから、まあいいんだけど。
ナタ氏は私の代わりにめっちゃ怒ってくれた。

次に働いたお店は日本人シェフがオープンしたオーガニックレストランでパティシエとして雇ってもらった。
ここではコンゴだっけな?アフリカのキュイジニエたちがめちゃくちゃ親切にしてくれて、すごくありがたかった。

フランスにきて2か月目にしてようやくお給料をもらえた。
嬉しすぎる。

家賃を払うのを待ってくれたママにも感謝だ。

ママもナタ氏もすごく優しくて面白かった。

あるとき私がパンを焼いた。
お日様の光でパン生地を発酵させてるのを見て、
oh! rika bread!!
とニコニコしながら褒めてくれる。

パンが焼きあがってみんなでどうぞ。ってメッセージを残してキッチンのテーブルに置いていたら、
わざわざ私を探してくれて、あのパン本当に美味しかった!って言ってくれる。
ママは家で精神科医を開業している。
ちょっと神経質だけど、明るくて優しくて、本当にお世話になった。

ナタ氏はグルテンアレルギーがある。あと乳製品を摂るとお腹を下しちゃうからあまり食べない。
それなのに私が焼いたパンを試食してくれた。

うん。味がフォーカスしてないね。色々混ぜすぎ!って厳しいコメント言いながら、
でも85点って言ってくれた。
最初は、僕グルテンアレルギーだから食べないって言っていたのに、
パンを食べる手が止まらない。
ぱくぱく食べて、最終的にはブラボーブラボー‼と言いながら去っていった。

ナタ氏、面白いんですけど。

そう、あるとき私はキャラメルパウンドケーキを作って、キッチンに置いていた。
買い物に出かけて帰ってきてみると、キャラメルケーキが思っていた以上に売れている!
あれ?ナタ氏は食べないはずだから、ママか弟かな?と思ってたら、
翌日ナタ氏と会ったときに、あのケーキめちゃくちゃ美味しかった。と言われてびっくりした。
え?食べたの?
あれ、乳製品もグルテンも入ってるよ?と言ったら、
うん、わかっていたけど、おいしくて3切れも食べちゃった。
そしてお腹を下して昨日は一日中トイレにこもっていたんだ。と悲しそうな顔で言った。

ナタ氏・・・

私はナタ氏のおかげでグルテンフリーのお菓子に目覚める。

日本で生活しているときは、身近にグルテンアレルギーの人はいなかったから、
実感としてグルテンフリーが需要があるのがわからなかったけど、
こうして身近な人が食べれないのを見ると、やっぱりグルテンフリーは必要だなと思う。

ナタ氏は砂糖絶ちをしたり、オーガニックな物を買ったりしていた。
キヌアのおいしさとヘルシーさもナタ氏から教わった。

ナタ氏の弟は、フランスの母の日にオジギソウの鉢植えを買ってきた。
それを私にわざわざ見せてくれて、
rika 、ちょっといい?
この葉っぱを触ってみて?‼閉じるんだよ~!と嬉しそうにしてて、
胸キュンする。
あなたの方が可愛い~!!!と言いたかった。

その鉢植えをもらった、ママが私にまた見せてくれる。
rika 見てみてー!と同じやり取りをした。
なんてこの家族は可愛いんだ。
もえもえしちゃう。

ナタ氏からはパリの自転車、Velib ヴェリブの乗り方を教わって、
私の移動手段はほとんどヴぇリブになった。

ヴェリブは35€/年で使えるめちゃくちゃ安くて便利な自転車のサービスだ。
いろんなルールがあるから、使いこなすにはちょっとコツがいるけど、
慣れたらめちゃくちゃ便利だった。

パリの道も自転車のおかげですぐ覚えた。

自転車に乗っていると、パリではすぐクラクションならされたりするけど、
もうそれもすぐ慣れる。

通りすがりに、ヘイ~!マドゥモワゼル!とか、チュチュチュー!とかしてくる人もいるし、
坂道を頑張って漕いでると、頑張れー!って応援してくれたりする人もいるから、楽しい。

パリの生活は順調に滑り出した。

つづく


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