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「劇団『ドラマティカ』ACT3/カラ降るワンダフル!」を見てきたお話

こ、こんなはずじゃなかった……。

観劇2回目にして突然刺さってしまって……そのちっちゃい、でも確実に自分を刺してきた棘を抜きながら、初日の感想としてアップしようとしてた記事を半分以上消しました。なんでだろう、結末がわかったからって急激に見え方が変わる作品ってわけでもない気がするんだけどね。

てなことで改めまして、「劇団『ドラマティカ』ACT3/カラ降るワンダフル!」の舞台に行ってきました。こちら雑に説明すると、「あんさんぶるスターズ! THE STAGE」から派生した「あんさんぶるスターズ!!」内のサークル・劇団「ドラマティカ」の舞台になります(ザッツ雑)。要するに、あんスタのキャラとして、作品内の役を演じるってわけですが、まぁ2.5次元作品ではいうほど珍しくもない設定ではあります。そして「ACT3」ってタイトルからも分かるように今回は第3弾。個人的にはACT1の「西遊記 悠久奇譚」があまりにも刺さりすぎて、このシリーズの可能性をバリバリに感じたんですよね。かと思ったらACT2がちょっと期待外れで(期待がデカすぎたってのもあるけど)、さて今回はどっちにころぶかって思ってたんです。

※以降はバレを含むかと思うので、それでもいい方のみ進めてください※

初日はね、「お、これは悪くないんじゃない?」くらいの印象でした。「不思議の国のアリス」シリーズをベースにしているので、エピソード自体がデタラメなのは想定内。楽曲も可愛らしいし、概ね好感触ではあったんですけど……自分も含め、正直客がめちゃ重かったんですよ! もちろん笑いどころではちゃんと笑い声もあったし、ものすごくつまらなそうにしてるとかそういうのではなかったんだけど、何ていうんだろう、演者も観客もまだ互いに探り合ってたのが、場の空気に出ちゃってたんだよね。だからこう、「コメディだよ!」「笑っていいんだよ!」ってのをはじめに一発食らわせてもらえたらまた違ったんだろうなって思います。やっぱね、凪砂くんのシュールな笑いは、つかみとしては観客を惑わせちゃうんだよなw 大好きだけども!!!!!

ただ、だからこそ回を重ねるごとに良くなっていくだろうなっていうのはぼんやり思っていたんです。キャストの力量的にもあれこれやってくれそうだったし。

そして昨日2回目の観劇だったんですが……え?????
気づいたらボロボロ泣いてました。だってこれ、友也が主演の物語として、はちゃめちゃに大正解じゃんよ!!!!!!!

原作の設定にもあるように、友也って圧倒的に「普通の子」なんだよね。だからデタラメで突拍子もないお話のようでいて、よくよく見るとこれは「半径5メートルの物語」。「恋の悩み」っていっても高校生のしょーもないものだし、それに対する友だちの反応も、それでいっぱいいっぱいになっちゃって逃げ出しちゃうのも、もう、びっくりするくらいちっぽけすぎる。「なんか、高校の文化祭の演劇みたいだな……」って初見でふわっと思ったんだけど、物語の出発点になる出来事が、あまりにも手のひらサイズだったから余計にそう感じたのかも。

「反転した世界」って言われてたけどさして反転してないし、正直設定もなかなかに甘い。メッセージとしては手垢がついていて、ややもすればチープにすら見えてしまうんだけど、ただそれを伝えるのが、「高校生の友也」であり、あんスタのキャラクターたちなんだっていうことを思うと、愛おしさで胸がいっぱいになるんだよね。脚本・演出の伊勢さんがどこまで狙ってたのかはわからないけれども、リリース時からあんスタをずっと追っていて、そのキャラを愛している身からすると、これは友也が主演の物語として完璧でした。

ほかのキャラクターたちも、友也と友也の物語にずっと寄り添って、しっちゃかめっちゃかしながらも、あぁこの子たちはアリスが好きで、演じている友也のことも大好きなんだろうなって言うのがバシバシに伝わってきて良かったです。北斗くんやレオ&嵐ちゃんとはまた違う座長としてのありかた。いいよ、それでこそ真白友也だ。そしてそんな友也をずっとずっと演じてきていたなのくんが、普通すぎる友也を板の上であんなにも輝かせてくれた。あぁ、そうだ、アタシたちは想像することしかできなかった劇団ドラマティカの舞台をいま見てるんだ!

ちょっとだけ顔を上げて世界を見てみると、存外悪くなかったりする。ちょっとだけ勇気を出して踏み出せば、どんな結果であれ前に進める。

そして、「真白」な世界は自分のこころ次第で色づき、世界は色を帯びて「カラフル」になるんだ。

東京のチケはあと1枚しかないけど、大阪にも行く予定なので、その頃にお芝居がどう変化しているのかすごく楽しみです。こんなご時世だからね、どうぞ最後までみなさまご無事で。

好きだぜ、この物語。

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