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マンションから自治を考える04「地域自治の核としてのマンションの可能性」

はしごを外されたアクションプラン

以前、福島区に「福島区地域福祉アクションプラン推進委員会」という組織がありました。アクションプラン委員会は全区にありましたが、福島区はマンション住民へ積極的なアプローチを試みるため、マンションに特化したイベントを行っていました。
戸建てに住む人よりマンション住民の方が圧倒的多数の福島区にとっては的確なアプローチであり、先駆的事例でした。そしてこのアクションプランを通じて地域活動協議会の周知と、マンション住民を地域活動に巻き込みたいという目的がありました。
しかし、公募制の区長になると過去を踏襲するより、新規事業を起こした方が大阪市からの評価が高くなるためか、再三の継続を願ったにも関わらず、この委員会は残りませんでした。これは区長公募制の弊害であり、区長が区民の方を向かないで、評価をする市長の顔色を窺うようになったからだと思われます。
マンションの悩みは共通である部分が多いので、マンション間の交流による情報交換で、お互いのマンション生活の質が向上します。このようなマンション交流会を定期的に開催している自治体も存在します。理事長はルールに基づき住民から選出されているある意味マンションの代表者なので、交流会はさながら市長会のような雰囲気でもあります。

新しい枠組みが必要

PTAも町内会と似ていて、任意団体であり自由参加がルールです。
PTAが立ち上がったころは共働き世帯は少なく、母親が割烹着で家にいた時代だったこともあり、母親主体でPTAの活動はかなり活発でした。
共働きが当たりまえの昨今ではPTAの行事が負担になり、解散をするPTAも出てきました。地域活動協議会や町内会、そしてPTAも強制参加ではないのだから、やりたいことをやれる範囲で集まるのが基本であると言えます。
これらのボランティアで運営されているしくみには、コンサルにでも入ってもらって、事業の取捨選択をしてもらいたいところですが、それはかなり厳しいでしょう。
本来、それらのことは各区にある「まちづくりセンター」が担うべきかもしれませんが、区と地域活動協議会の関係から見るとその期待は薄いです。
地域での自治が「はじめに組織や団体ありき」で運営されてしまうと、アテ職と言われる適材適所とは到底呼べない役職の割り振りが行われます。防災リーダーであれば、それなりの体力と知識がある人が相応しいと思われますが、からだが自由に動かない高齢者が担当している場合もあります。これらは決して笑いごとではなく、自分や自分の家族のためにも考え直さないといけないのではないでしょうか。
たとえば地域の祭りの団体等は専門的集団なので、地域活動協議会や町内会とは別で動いている場合が多いです。このように単独で存在、活動している団体の集合体が町内会の本来のあるべき姿ではないでしょうか。
ジェーン台風や伊勢湾台風等における町内会の災害時の奮闘は、目を見張るものがあり、蓄えていた町会費を復興費に充てた歴史もあります。それから60年、70年経っている現在では、行政の力が圧倒的になったことにより市民の団結力が希薄になり町の力、自治力が弱体化しているように思います。分譲マンションという呉越同舟の舵取りをゆるく連携していき、新たな枠組みを作っていけないのか。地獄谷冥土BARでハイボールを提供しながら、グラス越しに新しい大阪を夢みています。

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