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『MURO presents KING OF DIGGIN』 Special Talk Show(2019.5.17 公開収録)@hotel koé tokyo

MURO presents KING OF DIGGIN' とは

MACKA-CHIN:MURO presents KING OF DIGGIN' 皆さん、本日はお集まりいただいてありがとうございまーす。渋谷 hotel koé tokyoにお越しの皆さん、こんばんは。TOKYO FM presents MURO presents KING OF DIGGIN' パーソナリティのMACKA-CHINです。

MURO:MUROです。

MACKA-CHIN:よろしくお願いします。

MURO:よろしくお願いします。

MACKA-CHIN:この番組は、毎週水曜日深夜1時半から放送しておりまして、今日は放送1周年というスペシャルイベントということで、本日はトークショーも交えて、皆さんにお送りできればと思っております。

そして、まずはMUROさん、よろしくお願いしたします。

MURO:はい。MUROです。よろしくお願いします。

MACKA-CHIN:よろしくお願いします。

MURO:今日はありがとうございます。お集まりいただきまして。

MACKA-CHIN:ありがとうございます。まず、簡単にですが、この番組を聴いてない方もいらっしゃると思うので、どういう番組だっぺ?っていうことを皆さんに説明しようと思ってるんですが。

日本が世界に誇るKING OF DIGGIN'ことMUROさんが、自身のコレクションで、毎回30分番組ですけど、その日の天気とか、テンションとか、あるいはその曜日とか、その日時で、収録の時にセットを選んできていただいて、それを半蔵門のスタジオから電波に乗っけて、とにかく皆さんに良い音楽の旅を。

それで、DJならではの曲が繋いでいくっていうのも踏まえて、DJミックスを生で体感していただいて、音楽と、そして僕らが大好きなレコードを皆さんに、ぜひ聴いてもらう場を作ろうということで。

MURO:ありがとうございます。本当に、好き勝手にやらさせてもらってます。

MACKA-CHIN:いやあ、もうこの「好き勝手」こそが皆さんは聴きたいだろうし、あと、「しゃべるMURO」みたいなのも、たぶん皆さん興味があると思うし。その辺も踏まえて、東京FMさんで番組をやらせていただいて、ちょうど1周年と。1年ちょい経って。

MURO:そうですねえ。

MACKA-CHIN:今日はこの渋谷 hotel koé tokyoさんに場所と空間と全てを協力していただいて、無事にというか、いま進行中ですけど、このイベントをやらせていただいてるということで。

MURO:ありがとうございます。

MACKA-CHIN:この後、公開収録とかも予定は考えてるんですが、せっかく来ていただいたんで、僕らが大好きな人を招いて、レコードを含めて、トークショーをやっていこうということを番組スタッフと考えて、ゲストをお呼びしております。紹介してよろしいでしょうか?

MURO:よろしくお願いします。

JAMさん登場!ソウル、ファンク、R&B、ヒップホップ、ブラックミュージックを一途に愛好しておよそ40年。 

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MACKA-CHIN:はい。こちらにいらっしゃるチェッカーズならぬチェックのシャツが似合う僕らの(笑)これはディスじゃないですよ(笑)。

MURO:もちろん(笑)

MACKA-CHIN:JAMさんです。まずは。皆さん、よろしくお願いします。

細田日出夫 a.k.a. JAM(以下、JAM):こんばんは。JAMというか、細田と申します。

MURO:ようこそ、お越しいただきまして、ありがとうございます。

細田:ありがとうございます。

MACKA-CHIN:番組のほうで用意したJAMさんのプロフィールを読ませていただきますと。

ソウル、ファンク、R&B、ヒップホップ、ブラックミュージックを一途に愛好しておよそ40年。これまでも、これからもブラックミュージック一筋な音楽ライター/DJ、そしてVINYL中毒のレコード会社、洋楽邦楽両刀遣いのA&R、JAMさんこと細田さんです。よろしくお願いします。

細田:物々しいプロフィールで(笑)

MACKA-CHIN:いやいやいやいや。今日このイベントを打つにあたって、デジタルフライヤーみたいな、紙じゃないんですけど、ネットに告知するフライを作った時に、一応、マネージャーのほうからアーティスト写真っていう、俗に言う「アー写」ですね。アー写と、あと「プロフィールください」って言った時に、JAMさんのアー写が。

細田:レコードレーベルでした。

MACKA-CHIN:レコードのレーベルに「JAM」って書いてあって(笑)

MURO:アッハハハ(笑)

MACKA-CHIN:もう、ちょっと・・・

細田:ヤバイっすね。

MACKA-CHIN:さすがだなっていうところもあるんですけど。

細田:はい。

MACKA-CHIN:今日は、このJAMさんを・・・細田さんがいいかな。JAMさんがいいかな。僕的には、僕ら的には「細田さん」って思わず・・・。

細田:ああ、いいです、そっちで。全然。

MACKA-CHIN:そっちでいいですか?

細田:はい。

MACKA-CHIN:じゃあ、細田さんとMUROさん、そして私が司会を務めて、30分ぐらいですけど、ここ渋谷で話してるっていうことも踏まえて。

「渋谷」をテーマに、あるいは「レコード」をテーマに、色々話を進めていこうと思うんで。皆さんも、ぜひ質問とかあったり、興味があったら、手を上げてくれれば。

細田:ああ、面白い、面白いですね。

MACKA-CHIN:ね!

色々やっていこうと思うんで。まずは30分ぐらい、よろしくお願いいたします。

MURO:よろしくお願いします。

細田:よろしくお願いします。

渋谷という街での音楽との出会い - MURO

MACKA-CHIN:まずですね、このトークショーをやっていくっていう上で、僕から見たら、お二人ともすごくレコードがライフスタイルというか、ずっとレコードがある人生というか、そういう生き方というかね。そういうふうに過ごしてきていると思うんですけど。

まず、お二人の出会いみたいなのって、どの辺ですか?

MURO:出会い・・・JAMさんと。

細田:出会い?

MACKA-CHIN:出会いから。ごめんね。台本とか、全然読んでない(笑)

細田:アッハハハ(笑)

MACKA-CHIN:あ、書いてあるわ。でも。「渋谷という街での音楽との出会い」。

MURO:あ、そっち?

MACKA-CHIN:うん。そっちから。

MURO:渋谷の音楽との出会いは、自分はやっぱお店を96年からやっていて。ほんと、すぐそこの坂のところで。「Still Diggin'(スティル・ディギン)」。

MACKA-CHIN:「Still Diggin'」。はい。

MURO:その前は、こちらのファイヤー通りという通り。原宿まで続いている、あの通りで「スターリッチ(STARRICH)」というお店で、ライオネル・リッチーが好きすぎた店長がつけた「スターリッチ(STARRICH)」っていうお店で2年働いて、その並びの「ワールド・スポーツ・プラザ」。

MACKA-CHIN:プラザね。

MURO:はい。そこの立ち上げでバイトしてたりとか。で、点々としながらも「DJ's Choice」というお店があったりとかもして、そこでレコードを買えたり、インポートの。

唯一そこで試楽できたっていう。ミュージックビデオのVHSのテープとか。

MACKA-CHIN:そうですよねえ。

MURO:ラジオの(聞き取れませんでした)のカセットテープを、そこで切るとか。

MACKA-CHIN:うんうん。とにかく情報がない時代に。

MURO:そうです。

MACKA-CHIN:やっぱり、この街に出て。

MURO:うん。足で探さなければ。

MACKA-CHIN:足で探すっていうところも踏まえると、やっぱこの渋谷って街が1つのそういうブラックミュージックだけじゃないけど、レコードだったり。

MURO:育てるのは、ここに。

MACKA-CHIN:ここにあるっていう街でしたかねえ。細田さんは逆にどういう?

渋谷という街での音楽との出会い - 細田

細田:僕はあれですね。やたらと歳取ってるんで(笑)。「diskunion(ディスクユニオン)」が、すぐそこの公園通りに面した路面店であったんですよ。

MACKA-CHIN:マジっすか。

細田:で、「HUNTER(ハンター)」があって、「HUNTER」が外上がって、右側の2階にあったんですけど。公園通りを歩くだけで、そのレコード屋さんが何店もあったし、他にも。

MACKA-CHIN:へえ~。

細田:でも、一番「diskunion」行ったかも。「HUNTER」はもう掘り出し物の宝庫ですね。「HUNTER」ならでは値付け。今はどこの店行っても、だいたい同じじゃないですか?でも当時、77年とかってお店によって全然値付けが違ったから。

MURO:夢がありましたねえ(笑)

細田:夢がありました(笑)

MURO:僕は銀座の数寄屋橋の「HUNTER」によく行かせてもらってました。

細田:あ、よかったですよねえ。あそこね。

MURO:はい。最高でしたねえ。テレビCMもやってましたからね。「ハンター~」って。

MACKA-CHIN:え?それ、レコード屋さんのテレビのCMがあったんですか?

MURO:そうです。当時。

MACKA-CHIN:え~知らない。その時、細田さんは、もうレコード・・・今、言っちゃっていいのかな。ビクターで働いてると思うんですけど。

細田:はい。

MACKA-CHIN:もうその頃からずっとレコード業界に、というか。

細田:いやいやいや。

MACKA-CHIN:その頃は学生ですか?

細田:その頃は、だからまだ高校生とか、大学生ぐらい。高校は渋谷が基点だったんで、帰りは必ず渋谷で遊んで帰るみたいな感じだったから、その中にレコード屋さんもずっと行ってて。

MACKA-CHIN:なるほど。

細田:で、僕はディスコですよね。ディスコでかける曲をとにかく人よりも早く買わなきゃいけないっていうのがあったから。義務でしたよね。

MACKA-CHIN:それは、父ちゃん母ちゃんの影響とかで?

細田:いや、全然関係ないです。うちはもう、兄貴もいるんですけど、家族は一切音楽には全く、今も・・・。流行歌は聴きますけどね。洋楽はまったくもう聴きませんから。俺らっていうのは、それは。

MACKA-CHIN:同じ学校に、じゃあそういうレコードが好きな奴がいたりとかって。

細田:いました、いました。数人ですね。

MACKA-CHIN:ああ。

細田:特にブラックミュージック聴く人は、ほんと数人。それで、僕ずーっと生きてきて、だいたい数人です。

MACKA-CHIN:あ、そうですか(笑)

細田:あんまりブラックミュージックいないんだ。だから、マイノリティの音楽だなって、いうふうに常々思ってるから。だから、こっちがものすごく強くなっていくんだね。好きな人同士の。

MACKA-CHIN:ああ、なるほどなるほどなるほど。

MURO:僕の世代とかもヘヴィメタ全盛期なんで、本当に少なかったですね。なので、ローラースケート場に毎週通って、そこで新しい曲をチェックして貸しレコード屋さんに借りに行くっていうのが 学生の頃でしたね。週末っていうのは。

MACKA-CHIN:それこそ、ジュークボックスみたいな、お金入れて。

MURO:ありました、ありました。ボーリング場にあったような。

MACKA-CHIN:そうですよねえ。そっかそっか。じゃあ学生の頃から、お互いレコードはもう買い集めてるなっていう。

MURO:もう取り憑かれちゃったんでしょうね(笑)その時。レコードに。

レコードで自宅が床抜けちゃった...

MACKA-CHIN:これは、この間、細田さんと会った時。余談ですけど。細田さん、レコード集めちゃって、1階の自宅が床抜けちゃったらしいです。

MURO:マジっすか?

細田:ええ(笑)もう大地震が来たかなと思うぐらい。轟音が鳴り響いて。夜中。それ以来、レコードの棚を作る時は、必ず、下段を強化するようにしてます。ほんと怖くてしょうがないんで。

MACKA-CHIN:さらに、変な話。変な話っていうか、奥様もすごく、ライターとかやられてて。

細田:はい、はい。

MACKA-CHIN:二人で、もうとにかく音楽のコレクションが、たぶんものすごい量。

MURO:ものすごいですよね。

MACKA-CHIN:ねえ。

細田:嫁はCDですけどね。

MACKA-CHIN:あ、なるほどなるほど(笑)ちなみに、細田さんも、でもCDは?

細田:CDは、商売柄、本当は色々買ってチェックしなきゃいけないんですけど、今はもう何でもチェックできる時代なので。わざわざCD買いに行かなくても。

MACKA-CHIN:うんうん。

細田:だから、CDは正直、買ってないっすね(笑)

MACKA-CHIN:あ、そうですか(笑)

細田:よほどデラックスエディションとか。もうそのCD買わないと、要はクレジットも含めて、一切色んな出会いがない場合においては、新譜はもう、サブスクリプションで聞いちゃいますけどね。うん。

MACKA-CHIN:MURO君もCDJが我が家に来たなんていう時はもう、ちょっと揺れましたからね(笑)インスタかなんかにもアップされたのかな。確か。

MURO:ねえ。けっこう、地震の時に、たまたま友だちがいて、みんなで押さえるみたいなの、何回もありましたんでね。

1990年代 レコードブーム

MACKA-CHIN:そうですよね。でも、それは時を経て、1990年代ぐらいになってくると、もうとにかく、僕の世代も含めて、もうドッカンと、第何次ブームか分かんないですけど、レコードブームみたいなのが。

MURO:来ましたね。

MACKA-CHIN:世界でこんなにレコード屋が多いのはこの街(渋谷)だけだ、みたいな感じの流れになってくると思うんですけど、その頃っていうのは、もうお二人も、さらにヒートアップしてる感じですかね。

細田:たぶん、一番買ってたんじゃないですかね。レコード。

MURO:そうですね。

細田:買ってました?

MACKA-CHIN:その頃はもう、ブラックミュージックですよね、ずっと。

細田:その頃は、だから、毎週火曜日。マンデーリリースで火曜日に入ってくるじゃないですか。新譜が。だから「CISCO(シスコ)」行って、「DANCE MUSIC RECORDS(DMR)」行って、「MANHATTAN(マンハッタンレコード)」行って、全部回らなきゃっていう。とにかく・・・。

MURO:もう気が済まない(笑)

MACKA-CHIN:目に入っちゃってるんだね。

細田:プロモは全部買うみたいな。そういう、非常に馬鹿げた時代を数年間楽しませていただきました(笑)

MACKA-CHIN:MUROさんは逆に、やっぱり。

MURO:僕もそうですね。回らないと、やっぱ気が済まない感じになっちゃいますねえ。

細田:そうですよね。

MURO:この頃は、街のレコード屋さんがあちこちにありましたし、「レコード・マップ」っていう本が出来たんですけど。西新宿が一番多かったんですよ。中古レコード屋さんが。西新宿から始まるんですけど、それが初めて渋谷かなんかのレコード屋。90年頃。

MACKA-CHIN:なるほど。それけっこうでかいっすね。

MURO:うん。「目指せ世界一」っていうのがたぶんそこから、外人さんがそれ見てちょっと回ろうかなとか、あったんじゃないかなと。

細田:ほんとありましたよね。

MURO:いや、ありましたよねえ。

MACKA-CHIN:そうですよね。普通にクラブミュージックとかを置くような感じの、例えば「CISCO」とか、「MANHATTAN」とか、「DMR」とかだけど、やっぱ昔のレアグルーヴ含めて、ソウルとかファンクとかを買い集めていってってなると、さらにもっと専門の「Flash Disc Ranch(フラッシュ・ディスク・ランチ)」さんとかもそうだけど、そういうレコード屋がいっぱいあったんですよね。

MURO:ありました、ありました。

細田:ありました。もう向こう(海外)で買うのと比較して、全然苦労しなかったですね。渋谷に来れば。

MURO:そうですよね。

MACKA-CHIN:僕も原宿の「FAT BEATS(ファット・ビート)」で働いてた時に、いつも言うんですけど、本当にオープンしたては、昼間12時とかに開くんですけど、やっぱりお客の数も少ないんですよ。だけど、もう本当に早い時間から。

細田:行ってましたね。

MACKA-CHIN:はい。それで、プロモだけチェックして行かれるんですよね。

細田:いやあ、買えなかったからです。

MACKA-CHIN:ああ、そうなんですよね。でも変わった人だなあと思ったら、うちの店長が「あの人、ライターのJAMさん」ということで。

MURO:「FAT BEATS(ファット・ビート)」までやっぱり通ってたんですね。

MACKA-CHIN:そうですねえ。

細田:懐かしいです。

2000年代 レコードブームの終焉、舞台は渋谷以外の街に移る

MACKA-CHIN:で、2000年代になっていくんですけど、2000年代になっていくと、いよいよ、ちょっとCDの波がどんどん強くなって、レコード屋さんが意外と畳んでいく感じになっていっちゃうんですけど、その辺とかっていうのは、もう肌で感じてたりしましたか?

MURO:僕もこの時期に店をちょうど畳んでいったりとかもして。

MACKA-CHIN:「SAVAGE!(サベージ)」ですね。

MURO:はい。「SAVAGE」を、96年から13年間やらせていただいて、そこでお店閉めて。もう渋谷のレコード屋さんを回るのが毎日やっぱり(聞き取れませんでした)っていうか。箱(お店)がなくなって、行かなくなったことによって、他の地域を回りだすとかってありましたね。

MACKA-CHIN:他の地域っていうと、例えば?

MURO:神保町がもう圧倒的に増えましたね。

細田:神保町。

MURO:はい。

MACKA-CHIN:細田さんは神保町とか行かれます?

細田:僕も行きます。

MACKA-CHIN:今も行ってますか?もちろん。

細田:今はもう行ってないですかね(笑)

MACKA-CHIN:ちゃんと会社は行ってるんですか?

細田:会社は行ってますよ(笑)

MACKA-CHIN:あ、会社は行ってますか(笑)

細田:神保町じゃなくて。その頃って、新宿っていうか、大久保に。

MACKA-CHIN:大久保?

細田:新宿レコードっていうのがあったんですよ。元々が新宿御苑にあって、その後、大久保に移ったんですけど。そこシングルしか売ってないんですけど、当時はソウルのシングルだけだったんですけど。15、16年前ですけど、そこは本当にパラダイスだったんですよ。

今はもうデータでも、(聞き取れませんでした)でも、値段がDiscogs(ディスコグス)とかでも分かるし。その前から、向こう(海外)で普通に買い付けてきた物を、通常の常識的な値段で売るから、世の中で言う超レア盤とか、本当に普通の値段で買えるんですよね。DEV LARGE(デブラージ)とかも、よく一緒に行ってたんですけど。向こうに。

MACKA-CHIN:へえ~。

細田:本当に良いお店だったんですよ。だから、そういう中で、個性的なお店がその時代ってポツポツ出始めて。買いに行くと、重なるように登場して。

MACKA-CHIN:ああ、逆に大手がちょっと、要は商業ベースなところがどんどん潰れていくにあたって、個人的なお店が、どんどん逆に、ちょっと。

細田:個性的なお店は増えてきたような。あの頃はね。そういう感じがしますね。

MACKA-CHIN:うんうん。その頃、よく行かれてた他のレコード屋さんとかはありますか?例えば・・・。

細田:他はどこですかね?一番多いのは「ユニオン(ディスクユニオン)」に行ってたんですよ。ユニオンのセールが非常に素晴らしいんで。

MACKA-CHIN:穴場で言うと?

細田:穴かぁ。

MACKA-CHIN:穴場じゃなくても、値段が安いとか、そういう理由で?それとも商品がいっぱいあるとか?そういう・・・。

細田:僕はソウルとかファンクとかを中心に集めてるけど、新宿レコードにもそういうのって特になかったと思う。その当時。

MACKA-CHIN:MUROさん、そこご存じですか?

MURO:新大久保寄りの2階のとこですよね?

細田:2階です。けっこう広いお店で。

MACKA-CHIN:へえ~。

細田:いま、そこの店主さんはヤフーオークションだとか、イベーイだとか、ロックのレコードを売っていますけど。

MACKA-CHIN:うんうん。新宿だと、僕の世代だとロックとかのレコード屋さんが多い。ロカビリーとか、ハードロックとか。そういうレコード屋さんも多かったイメージがすごくあって。

僕ら世代だと、やっぱ渋谷を中心にってのがあって。神保町は歌謡曲とか、そういうイメージが自分の中ではあって。

MURO:街のレコード屋さん。

MACKA-CHIN:街のレコード屋さんみたいな。で、お二人は足を使って、30年40年と、この東京で色々まレコードを探して、そういう意味でも、すごくディグってると思うんですけど。

2000年の「CISCO」とか「Manhattan Records」とか、どんどん元気なくなっていって、そこからここ近年、レコードカルチャー盛り上がってきています。

この番組もそのレコードカルチャーをさらに大切にしていこうって言って、MUROさんと一緒に頑張っていこうと、やってる番組ですけど。

近年、「HMV」さんがオープンしたり、また、先日というか、この間も「タワーレコード」が。

MURO:VINYL(レコード)を推してたり。

MACKA-CHIN:はい。その辺はどう受け取っていますか?

世の中の必然として、アナログがフィジカルとして残っていく唯一の音楽

細田:僕なんかは、ちょっと特殊じゃないですか。レコードを集めるといっても。でも、今がおそらく、CDを聴かなくなったっていうか、物である必要があるのと思っていて。言い方がまわりくどいけど。

特に若い子たちは、俗に言うユーチューブだとか、サブスクリプションのサービスだとか、そういうので、新譜もチェックできるし、品質も簡単にチェックできるような、そういうような時代で、それを何度も何度も聴いて、ああ、やっぱり物として欲しいなあって思った時に、CDがたぶん選択肢にない場合、アナログしかないじゃないですか。フィジカルは。

そういう意味で、時代の流れの中でアナログっていうのが注目されてしかるべきだなっていうふうに思ってるんですけど。

だから、そういう流れがひとつ確実にあるし、それは今後、たぶんもっとも成長していく分野なのかなというふうに思うし。

あとは、今までアナログを買っていて、CDに行って、アナログをもう一回買い直しに来る人たちっているじゃないですか。そういうような人たちが元気づいてるっていうのももちろんあるし。

後者のほうで言ったほうばっかりだと、例えば、アルバムブームみたいな言い方ってすごいよくされるじゃないですか。

MACKA-CHIN:はいはいはい。

細田:ブームだけじゃなくて、世の中の必然として、アナログがフィジカルとして、残っていく唯一の音楽と考えた時には、たぶん続くんじゃないかなと思うんですけどね。

だから、何%の人達(少数)が、聴くだけじゃなくて、物として欲しいって思う人たちっているはずだから、結局、選択する物としてのVINYL(バイナル)っていうのは、今後も物凄い可能性が大きいものだと思いますよね。

MACKA-CHIN:逆に、今ビクターで、色々なアーティストさんを抱えてやられてると思うんですけど、その辺を例えば、ビクターの人達はどう受け止めてるんですかね?

細田:まだ全然じゃないですか、方向性は。結局、今の時代をどう作っていくかっていうことに、まだ答えが出てない。アメリカですらも出始めてないんで。

やり方に関しても、プロモーションの仕方に関しても、まだまだ全然、途上だから。まぁ、後1~2年後なのかなあ。

サブスクリプションでヒットが出るっていうようなパターンが定例化していくと、おそらくリリースする時に、サブスクリプションが上がっていくと、そのアルバムのLPをバイナルで出すっていう、そういう時代になるんですかね。きっと。

MACKA-CHIN:若いアーティストさんとかも、ただ抱えられてる・・・。

細田:ありますよ、もうすでに。

MACKA-CHIN:やっぱ。

細田:うん。

MACKA-CHIN:レコード出したい、みたいなのは。

細田:いや、レコード出したいんじゃなくて、出すんだったらレコードっていう。物として出すんだったらレコードっていう、その感覚がすごい重要だと思うんですよ。

MACKA-CHIN:ああ、なるほど。

細田:レコード出したいとか、そういうんじゃなくて。出すんだったら、レコードしか選択肢ないんだったら、レコードでいいって。

たぶん、そういう時代になるのかなって。

MACKA-CHIN:うんうん。逆にCDは、もう横に置いといてみたいな感じに。

細田:だって、自分でプレイヤー持ってなかったら、CD買ってもしょうがない。

MACKA-CHIN:ああ、そうだよね。そうですよね。ちなみに、カセットテープの流れもあるんですけど、その辺はどうですか?

細田:カセットテープもそうだと思うんですけど、バイナルとカセットの一番の違いっていうのは、カセットはアウェイに適してないみたいな。

そういう意味でやっぱり、ちょっと違うのかなと思うんですけど。カセットはカセットであの音質みたいなのもあるし。それを一緒くたにして語るのはちょっと間違うのかなと思ってるんですよね。

だから僕はカセットに関しては、欲しいものもあるけど、そこまで熱中して集めるタイプではないから、こんなことを語るべき資格もないのかもしれないですけど。

MACKA-CHIN:いえいえ。

細田:VINYLとカセットのブームの成り立ちっていうのは違うのかなと思いますね。

レコードに対するスイッチ

MACKA-CHIN:なるほどなるほど。実際、細田さんもレコードを集めるだけじゃなくて、DJも後でやっていただくんですけど、そのDJユースとして、レコードを買ってたりとか、あとコレクタブルな部分であったりとか、そのレコードに対しても、色んなスイッチはお持ちです?

細田:それは持ってますよね。やっぱりDJやると、その使い勝手とか、どんな場面でこれをかけたいとか、こういう曲の後にこれをかけたいとか、色々あったりするんじゃないですか。

ビートが立ってなきゃいけないとか、ブレイクがなくちゃいけないとか、そういう感覚はやっぱ常に持っちゃうっていうのはあるんですけど。

あと、僕は歌ありきなんですけど。

MACKA-CHIN:ほお。

細田:歌が大好きだから、やっぱり良い歌、良いメロディをっていうのは、やっぱり自然と手が伸びるし、それはもうDJで使えるということとは別次元で集めちゃうんで。だから、きりなくなっちゃうんですよね。

MACKA-CHIN:MUROさんは、コレクタブルな自分と、DJが本当にお忙しいと思うんですけど、その即戦力に使えるようなもの。

MURO:このラジオのテーマに沿って、レコード屋さんに来るのがいま一番多いんですよ。

MACKA-CHIN:あ、ほんとですか?

MURO:はい。

MACKA-CHIN:ああ、今日こういう感じにしようって言ったら、足りない部分をまたレコード屋に行って。

MURO:はい、そうです、そうです。

MACKA-CHIN:ほお、ほお、ほお。でも、12inchでお持ちなのを、あえて7inchで買い直したりとかもしてるっていう。

MURO:もちろん、そうですね。そういうのはありますね。盤が悪くなっちゃったりとか。

MACKA-CHIN:あ、もう消耗品的な。ヘッドフォンと同じ、じゃないけど。

MURO:はい。

MACKA-CHIN:ああ。細田さんも同じレコード。盤が悪くなったら買い直したりしてますか?

細田:はい。スチレンの物の(聞き取れませんでした)、やっぱり新しいものを買わなきゃ盤にすまないですよねえ。

MACKA-CHIN:来てるなあ。一枚買って終わりじゃないっすねえ(笑)なるほどなるほど。だんだんトークショーも、面白くなってきちゃったんだけど、そこのディレクターが「ぼちぼち」っていう合図を俺に送ってくるんですよ。

MURO:あっはは(笑)

MACKA-CHIN:こういうの俺、後1時間半ぐらい出来るけど。ね?巻くよね。あっという間なんですけど、ゆっくりまとめていこうかと思うんですけど。

レコードをきっかけに、あるいは音楽をきっかけに、この渋谷にずっとお二人とも足を運んできて、移り変わる景色とか、渋谷も見てきてると思うんですけど、今後ですね。さっきもチラッと話してたけど、2020年以降も、アナログが集まる街として、この渋谷がどういうふうに変わっていくと思いますかね?

例えば、新しい「HMV」が出来たり、「タワー(レコード)」が出来たりとかっていう中で。

アナログの聖地「渋谷」の未来について

MURO:90年代みたいに、街のレコード屋さん増えだしたんですよ。コマーシャルも含め、専門店が。

MACKA-CHIN:ああ、なるほど。それは、やっぱ感じますか?

MURO:感じますね。

MACKA-CHIN:細田さんはどう?

細田:やっぱ感じられます。すごい戻ってますね。

MACKA-CHIN:それは、お店の人達が、儲かる/儲からないじゃないのかな?

細田:レコード好きな、新しい人たちが増えているのもあるのかもしれないなーと思いますけどね。

MURO
:バー兼とか。バーやりながらレコードとか、レストランでレコード買えるカフェとか、そういうお店も増えてますしね。

細田:「レコードの居場所が増えた」っていう感じがする。

MACKA-CHIN:「レコードの居場所が増えた」うわあ、すごい良い言葉ですね。

細田:そういう感じがするかな。びっくりしたのは、隣のビルなくなったんですね。

MACKA-CHIN:え?

細田:隣のビルが。

MURO:そんなのばっかりですね。先週あったのに、みたいな。

細田:ここ昔、「リカビル」っていうのがあって、そこの「リカビル」の3階か4階に、当時のディスコのミックステープ売ってたんですよ。生録の。ダマテンで売ってたんですけど。

だから、当時の、何年頃かな。80...

MACKA-CHIN:日本のディスコですか?

細田:日本のディスコ。例えば、行くと、だから、「キサナドゥ」、「キュー」とか、あと、当時は「パシャクラブ」だとか、「ネペンタ」だとか、ずらーっとあって、その生のテープが売ってるんですよ。

それで、すごい勉強させてもらって。その思い出のビルがなくなっちゃったんで。

MURO:ああ、悲しいっすね。

細田:悲しいっすね。

MACKA-CHIN:ああ、そっかあ。

細田:しかも、知らないうちになくなるから、すげえ悲しいっていうか。なんか、空虚感が。ええ~!みたいな。

MACKA-CHIN:それ、何年ぐらい前ですか?

細田:83年ぐらいですね。82年、3年ぐらいですね。

MACKA-CHIN:80年代かぁ。

細田:はい。

MURO:13歳とかだもんね。

MACKA-CHIN:そう。

MURO:中1とか。

細田:そのぐらいっすかね。

MACKA-CHIN:「MUTEKI RECORDS(2001月1月閉店)」があの辺にあったような。

MURO:あったあった。

細田:あったあった。

MACKA-CHIN:ね!小林さん(小林弘道氏)がやられてて。

細田:あの「サンマルク・カフェ」ですね。だから今の。

MACKA-CHIN:そうですよね。確か。

細田:あ、あそこ「MUTEKI」だ。そうそうそう。

MURO:ここにあったんですね。

細田:それさ、元「Winners」。

MURO:そうっすよねえ。

MACKA-CHIN:そうっすねえ。いやあ、もう話は尽きないんですけど。一応、今日はイベントなんで、トークショーだけじゃなくて、細田さんとかMUROさんにもちゃんとDJやっていただいて(笑)

細田:ちゃんと(笑)

MACKA-CHIN:ちゃんとじゃない。ごめんなさい。

MURO:あっははは(笑)

オススメのレコード屋

MACKA-CHIN:イベントとして、やっていただいて(笑)。皆でシェアできればいいなと思ってるんで。まとめていきたいと思うんですけど、最後に、オススメのレコード屋さんとかあったら聞いて、このトークショーを1回締めさせていただければなと思うんですけど。細田さんから。

細田:オススメのレコード屋さん?

渋谷という今この場所でやってるんだったら、やっぱり「HMV」を。「HMV」は2階のシングルの部屋を作っていただいたっていうのは、やっぱり画期的だったかなあ。

MURO:あそこ、元金庫とかって言われてるスペースですよねえ。

細田:ああ、あそこ?

MURO:うん。

細田:「DMR」時代ってあるよ。

MURO:「NO FUNCTION」みたいなジャケに。扉が。

細田:あれは、やっぱり画期的かなあ。

MACKA-CHIN:MUROさんはこの渋谷で。渋谷限定にしたいんですけど。

MURO:渋谷、やっぱり「レコファン」はいつの時代もなくならないでほしいよね(笑)

MACKA-CHIN:あっはは(笑)「レコファン」ね(笑)

MURO:「レコファン」は夢がまだ残されてますよね。

MACKA-CHIN:そうですよねえ。

MURO:ずっとやれば。

MACKA-CHIN:そっかそっかそっか。ということで、今日お集まりいただいた皆さん、もっと細田さんを掘りたくなってきちゃいますね。

MURO:ほんとほんと。

MACKA-CHIN:MURO君と二人で(笑)

MURO:あっはは(笑)

MACKA-CHIN:細田さんを掘り下げていければと思うんですけど、時間の都合で、ここで一回トークショーは締めさせていただきたいと思います。

MURO:はい。

MACKA-CHIN:TOKYO FM 『MURO presents KING OF DIGGIN'1st Anniversary Party Special Talk Show』ここでお開きです。ありがとうございました。

細田:ありがとうございました。

MACKA-CHIN:JAMさんに大きな拍手をお願いします。この後、JAMさんは、この後、公開収録があるんですけど、その公開収録の後にぜひ、JAMさんのコレクションとかを。

MURO:ねえ。

MACKA-CHIN:はい。

MURO:あの12inchの箱、気になる・・・(笑)

細田:あっははは(笑)

MACKA-CHIN:今日は車でいらしてるということで、お酒はちょっと難しいっすけど。

細田:お酒は飲まない。

MACKA-CHIN:ねえ。だけど、MUROさん、細田さんが回してるの、皆さんぜひ、のぞきに来てください。すごい良い曲がかかるような予感がします。いやあ、もう細田さん。ありがとうございました。

細田:ありがとうございました。

MURO:ありがとうございます。

MACKA-CHIN:じゃあ、この後は、MUROさんにはDJタイム、まだまだあるんで、皆さん引き続き楽しんでいただければと思います。ありがとうございまーす。

MURO:ありがとうございます。

細田:ありがとうございました。


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