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『リビングの松永さん』健太郎と朝子の話

※ボカしてますが原作についての言及がちょこっとあります


大前提として、私は推しのラブシーンはウェルカム派だ。手繋ぎもハグもキスシーンもベッドシーンもありがたく拝見するし、録画して舐め回すように何度も見るタイプのオタクである。

ただ、同時に重度のカプ厨でもあるので、不特定多数の女性とのラブシーンや、自分の推しカプではない相手とのラブシーンには憤慨してしまう。最近で言うと、恋警護7話で結子が辰之助を押し倒してラブトリが流れ始めた瞬間には相当暴れた。ラブトリはたつりかのシーンでのみ流してくださいあれはたつりかのテーマソングなんですお願いします後生ですから他カプで流すのはやめてくださいラブトリはたつりかにしか許されないんです。(やかましいタイプのカプ厨)
(ちなみに『先生さようなら』は由美子先生と田邑くんのカップリングが好き過ぎるのでキスシーンは喜んで拝み倒したけど、この先の展開が辛過ぎて半分死んでる)

さて、ここまでのんびりと追いかけてきたリビ松だが、いよいよ来週から健太郎と朝子の話が動き出しそうだ。原作のあのシーンはドラマ版シェアハウスの間取りでは難しく、一体どうするのかと考えていたけど、成る程水族館に持ってくるとは。あのシーンなのかはまだ不明だが、ミーコが目撃する流れならまあ間違いは無いだろう。
何よりTVerで見れる10話のサブタイトルが『呪いを解くキス』となっている。予告にあった「その呪い、試しに俺が解いてみようか?」という健太郎の台詞を受けても、やっぱりあのシーン(ただし理由付けが原作と異なる)としか考えられない。

ここへ至るまでにも地味に二人は……と言うか、健太郎→朝子のフラグは積み立ててきていた。原作では中盤になって唐突に健太郎からの矢印が見え始め、なんやかんやでどうのこうのする訳だが、ドラマでは序盤の三話(グランピング歓迎会)ぐらいから、健太郎からの矢印が分かり易く見えていたような気がする。
朝子に向けてハートアピールをする健太郎、複数人居る時はさり気なく朝子の隣を死守する健太郎、朝子のチョコを欲しがる健太郎、お手伝いアピールをする健太郎……。地味に涙ぐましい努力の跡が見える。

そもそも健太郎は根っからの女好き設定であり、原作では第一話から女の子をシェアハウスに連れ込んでいたような男だった訳だが、ここがドラマでは上手い具合に改変されている。
手が早い女好きだと周りに言われているが、実際の所、ミーコがシェアハウスに住むようになって以降に出てきた健太郎の女好きエピソードは、合コンを開こうと言ってサクッと女性を用意したぐらいだ。女性に優しく友達の多い気さくな男といった所か。

何故そういった改変があったのか。30分ドラマという短い時間の中で、朝子と健太郎の恋愛を描くには、早い内から朝子への恋愛感情をチラ見せしておいた方が説得力があるからだろう。
また、少女漫画(二次元)でなく、実写ドラマ(三次元)で成人男性と女子高生の恋愛を描く以上、或る程度常識人的な立ち位置の人間が必要である。「女子高生でも気にせず手を出しちゃえば~?」という軽いノリの原作健太郎と比べると、ドラマ健太郎からの松永に対するアドバイスはまだ落ち着いているので、そういった立ち位置のキャラクターを用意したいという意味もあったのではないか。(結果として言ってる事は変わらないかも知れないが)

あとは演者本人の康二もインタビューで語っていたが、「向井康二に寄せたキャラにする」というのもある。原作の健太郎が持つ危うい妖艶さが減り、優しく気遣い屋である面が強調されているのがそれだ。
(そういえば原作未読の視聴者からは当て書きと思われていたが、松永に膝枕をして貰う健太郎は原作そのままのシーンである。鬱陶しがられて「純くんが好きなんだよ」と言いながら頭をどけない健太郎を仕方ないと許す松永の図は、台詞まで完璧に同じでビックリした。このドラマは細かいシチュエーションに原作と全く同じ台詞を持ってくる事がちょくちょくある)

とは言え、原作の健太郎も、元々、朝子の事はずっと憎からず想っていたのだと思う。ただ、同じ家に住む相手には手を出さないという彼なりの流儀と、今は仕事に打ち込みたいという朝子への気遣いも恐らくあったのだろう。兄妹のように憎まれ口をきいたりしながら、彼女が離婚した日は皆で一緒に飲み明かすような関係性だ。
その関係を壊してでも自分を見て欲しい、と思ったのが、原作における健太郎が一歩踏み出した理由である。

一方の朝子は年齢設定が上がった事により、原作よりもしっかりしたお姉さんという印象が強い。原作では松永がシェアハウスのお母さんというイメージだが、ドラマでは朝子が母という形に見える事もある。松永へのガチめの注意、健太郎のアピールを軽く交わす姿勢、揉め事があった時に優しく間に入る姿という辺りからも垣間見える。
原作の朝子はまだ年若い事もあり、ギャルっぽさの残る女の子と呼んでも差し支えない。ミーコからすると綺麗な憧れのお姉さんだが、ドラマのようにしっかりしている印象はあまり無い。

また、離婚の理由もそれぞれ異なっている。原作では前夫の不倫が原因だったが、ドラマでは価値観の違いだったと語っていた。原作で朝子が健太郎からのアプローチを素直に受け入れられなかった理由の一つに、女好きの健太郎は前夫のように他で女を作るかも知れないという危惧があった。もう同じ事で傷つきたくないという恐怖心だ。
ドラマではそういった経緯が無い為、少なからず健太郎に対して好意を抱いているのであれば、意識してからの流れは割とトントン拍子に進みそうな気もするが、果たしてどうだろう。

そんな訳で、原作では「女関係がだらしないけど面倒見はそこそこ良いタラシ×最近自分が干物女になってる事を気にする女子」だったのが、ドラマでは「チャラ男と言われているが実際はそうでもない常識人×鈍感だけどしっかりしてるお姉さん」になっている。
果たしてここまでの健太郎のアピールは、朝子には届いているだろうか。と考えた所で、朝子が健太郎よりも年上設定に変更された事の意味が出てくるような気がしている。軽いノリの年下男子をサラッと交わしてきたけれど、もしかして本気だったの? とドギマギする朝子の様子を見られるのではないだろうか。

まあ細かい事はいいから早くちゅーしてください、って話ですよ。我ながら身も蓋もない纏め方だが。




余談だが『3年B組金八先生』の第7シリーズにおいて、私が一番好きなキャラクターであった稲葉舞子を演じていたのが、今回、朝子を演じている黒川智花だ。サラサラの黒髪をポニーテールにして、まんまるの瞳を幼馴染の丸山しゅう(演・八乙女光)にいつも向けている、その愛らしさと健気さが大好きだった。当時から重度のカプ厨だったので、しゅうと舞子の絡みがある回は床を転がりまくって喜んでいた記憶がある。

そんな智花ちゃんが二十年近くの時を経て、今一番好きなアイドルである康二の相手役になると知った時、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。リビ松の原作を読んで、康二がどうとかいう以前に健太郎が一番好きなキャラ(柔和な顔の金髪男子に弱い)だなと思い、果たしてこの流れはドラマでやってくれるのだろうか、30分ドラマの脇役だから何も無いのだろうか、とずっとそわそわしていた。
ありがとう。二十年近く前にキュンキュンしてたカップルの女優さんに、またキュンキュン出来るタイミングが来た事、本当に嬉しく思っています。原作の健朝も好きだけれど、ドラマの健朝も大好きになる展開と芝居に期待してます。

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