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アイドル嫌いだった私がBTSに落ちたワケ

いきなりアイドル嫌いなんて言っちゃって、世の中のアイドル好きを敵に回してごめんなさい。

この記事はあくまで、私がバンタン(BTS)を好きになる前に持っていたアイドルへの偏見を語ったものです。また、私の意見をアイドルの短所でなく長所だと言う人も大勢いると思うから、それを否定するつもりもないです。

バンタン以外は嫌いと言っているわけでもないです。今は、調べれば他にも好みのアイドルがいるかもしれないと思ってます。ただ、彼らが私の偏見を取り去ってくれた特別な存在に変わりはないので、バンタン中心でお話を進めます。それでも興味を持っていただけるようでしたら、先にお進みください。



アイドルへの葛藤

頭に残るメロディを歌うグループだなとはぼんやり思っていたけど、もっと掘り下げていこうと思ったのは、この動画を見てからだった。

英語圏のアミってこういうファンメイドのドキュメンタリーから入ることが多い気がする。大手の海外リアクション動画の人たちも大抵コメントでこの動画を勧められて沼落ちしてる感じがする。実はこれに日本語字幕を追加したの私です(超小声)。著作権的にはかなりグレーだと後から知ったけど、大勢の人を導いた貴重なコンテンツだと思うので、一概に非難できないのが難しいところ。

この中で、当時アイドル嫌いだった私が刺さったのは「元々はHip-hop グループの予定だった」「RMとSUGAはアンダーグラウンド出身のラッパーでアイドルになるのに抵抗があった」という部分だった。

IDOLでは「アーティスト?アイドル?俺たちをどう呼んでくれても構わない」と歌っている。それが彼ら自身が葛藤した末に出た結論なんだと分かってから、一気に興味を持つようになった。

そういえば、私ってどうしてアイドルが苦手なんだっけ。そもそもアイドルって何?

アイドルは夢を与えるもの

私はアイドルを「ファンに甘い夢を見せるお仕事」と思っていた。実際そう考えてる人もいるんじゃないだろうか。

アーティストの曲は彼ら自身の経験や考え方、創作した物語が基になってて、いわばドキュメンタリーやドラマ作品を見てるような感じだ。それを自分の状況と重ねて共感したり、元気をもらったりすることはあるけど、例えば、星野源の曲を好きでも、星野源自身が自分に向かって歌っていると思っているファンはあまりいないんじゃないかと思う。

一方、アイドルの曲は聴く人に向けて歌われている(少なくともそう思えるように作られている)。美男美女が常にカメラ目線で「あなたに会えなくて辛い」とか「僕の恋人になって」とか「君ならできるよ」と歌って目から耳から人を癒す。

私はこの一人称視点型の曲が苦手だった。

甘い言葉をかけられるほど
「そんなこと言われましても、私はよくあなたのこと知らないんですが」
「イケメンの僕が言えば、どんな女もイチコロだとでも思ってます?」
「私の事情もよく知らないのに適当に励まさないでください」などと考えてしまう。自分でも捻くれているのは分かっていますww

それでも英語や韓国語曲はメロディが良ければ音楽として聞けたけど、後から歌詞に注目してしまって「あぁ……」と萎えることもあった。

特にアイドルの場合、演出しているのがプロデューサーなのが引っかかっていたんだと思う。アイドルはその指示に従って笑顔で歌ってるだけなのに、人はその本人を好きだと錯覚し、私生活でもその姿でいることを求める。ドラマから俳優を好きになっても本人と役柄をそこまで混同されないけど、アイドルは結構されている。

好きなアーティストや俳優に熱愛が発覚しても、落ち込むことはあっても怒る人はあまりいない。でもアイドルだと怒る人がいるのはこういう違いからだろう。ファンに夢を見続けさせるのも仕事のうちなのに、その道を選んだ自覚が足りないということなんだろう。

なんて辛い仕事なんだ。奴隷じゃん。そして全部嘘じゃん。

まぁ、本人も容姿に自信があってモテたくてその道を選んだんだろうからしょうがないのかな。これなら「お金を出してくれるなら、その時間だけ甘い夢を提供しますよ」と最初から割り切ってるホストの方が健全では?と思っていた。

こんな私だったから、今は可愛いと思えるけど、ホルモン戦争, Danger, Boy in Luvあたりは、当時聴いてもさっぱり刺さらなかったと思う(メロディは好き)。特に日本デビュー時、カメラに向かって慣れない日本語で甘い言葉を言わされる企画(彼ら自身が黒歴史認定してたやつ)とか、抽選でファンに壁ドンしてあげるやつとかも当時の私が知れば、完全にシャットアウトしていただろう。私が初めて聴いた曲はDNAで、その時点で顔は良いし、メロディも好みだと思ったけど、それ以上いかなかったのも多分それが理由だ。

自分を語るアイドル

だからFAKE LOVEは衝撃だった。「君によく思われようと無理してた。でもそんな愛は偽りだ」って言っちゃったよ?!

Epiphanyなんてぶっちゃけ「一旦君は置いておいて、まずは自分を愛そうと思った」という内容だ。ファン的にそれでいいんですかと驚いた。

この辺りを聴いて彼らは自分の体験やファンへの思いを元に正直な曲作りをしているんだと気付いた。作詞作曲にクレジットが入っていない場合でも、カウンセリングに近い入念な打ち合わせをして、彼らの思いがうまく盛り込まれているように思う。

振り返ってよくよく聴いてみると、彼らは割と最初から「自分のことを語るアイドル」だった。少なくともその時点で私がこれまで思っていたアイドルの枠から外れている。

No More DreamやFIREなどは他人を応援というより自分を鼓舞するものだ。ジンくんのAbyssやジミンの約束のように「この曲の『君』は自分です」と公言されている曲もある。甘めのラブソングも疑似恋愛を狙っているのでなく、本当にファンへの愛のメッセージだった。

先に述べたDangerやBoy in Luv期もFAKE LOVEを知った後に聴いてみると、ファンにこっちを見て欲しくて見栄を張ったり尖ってみたりしていた時期だったと分かった。この若くて危なっかしい感じ、すっごくリアル。RUNやI NEED Uも愛情に飢えていた状態をそのまま歌にしている。

花様年華については時折「創作上の物語に彼らの実名を使うな。混乱の元になる」という議論が起こるけど、私はむしろ完全に創作の作品にしたことで、メンバーたちが堂々と「キャラを演じる」ことができて少し心の負担が減ったんじゃないかと思っている。アイドルとしての自分と本当の自分の狭間で悩む彼らを見て制作側が配慮した結果、生まれたアイディアなのかもしれない(本当のところは分からないけど)。

英語3曲は従来のアイドル流行曲のスタイルに近いからか、特にナムさんとユンギが「本来のBTSっぽくはないですが…」と言いがちだ。それでも嘘だとは思わない。コロナのように自分じゃどうしようもない困難にぶつかって前に進めない時まで、自分の内面についてあれこれ考えすぎたら疲れちゃう。外から新鮮な空気を入れて明るく憂鬱を吹き飛ばそうと考えて選んだ曲なんだろうから、やっぱりこれらも当時の彼らのリアルな感情を表していると私は思う。

Map of the Soul(魂の地図)は「ミスや過ち、失敗と成功の軌跡」だと花様年華で言っていた。その通り、彼らは悩んだ過程も全部曲にしてきたから、ジャンルが多岐に渡ってても一貫性があるんだと思う。試行錯誤してきた彼ら自体が作品なんだ。

多方面に楽しめる

バンタンがアイドルなのかアーティストなのかという議論が起きるのは、こういう理由なんだろうなと思っている。自分の考えや体験、創作したストーリーに基づいて曲を作っているという点ではアーティストと言えるし、ファンに向けて愛を語っている、夢や希望を与えているという意味ではアイドルとも言える。

例えばFAKE LOVEは彼らの心の声としても聞けるし、創作の物語として考察もできるし、自分の経験と重ねて共感もできるし、とりあえずビジュアルに惚れ惚れするという無数の楽しみ方ができる。どれも間違いじゃない。

「メロディが耳に残る」「顔が良い」「メッセージが深い」「MVが芸術的」「ダンスが上手い」「キャラが良い」などなどファンになる入り口がたくさんあるので、老若男女、人種や国籍も関係なく愛される一方、人によって推し方が全く異なるのもそこらへんにヒントがありそうな気がしている。例えば、恋愛スキャンダルなどが出た時のスタンスの違いとか、頻繁に起きるDynamite以降の新規VS古参の争いとか(私自身はファンになった時期は重要ではないと思ってます)。

私はIDOLやFAKE LOVEで彼らを見直し、Black SwanとONで感動、花様年華で世界観や企画力の凄さに完落ちしたので、いわゆる超ストイックで高価な芸術作品のようなアーティスティックバンタンに惚れた1人ですが、彼らを通してアイドルの楽しみ方も知ることができたので感謝しています。今ではしっかりBad Decisionsの歌詞にもドキドキするよ💕

彼らを一方向から見てこうだと型にはめるのは勿体ない。3Dプリンターのような感じで多方向から見て「人間」として捉えていくのが楽しいんだ。もう結構さらけ出してくれてた気がしたけど、Chapter2で更に見せてくれようとしちゃってるんだから、本当にありがたいことです。

新たな疑問

アイドル嫌いからバンタンにハマれた理由はこうして私の中で結論が出たのですが、新たな疑問が浮上しました。

私には、アミではないけど、私の影響ですっかりメンバーのキャラを把握しきってる友人が2人ほどいます(顔の識別は成功率7割くらいなのに)。彼女らに口々に言われました。

「あおいがBTSにハマったのは意外じゃないんだけど、そこでJINなのが意外」「RMかSUGAなら分かる」「JINがグループの中で一番アイドルが何なのかを把握して枠を守っている感じがする」「彼はアーティストというよりエンターテイナーだよね」

ほ ん と う だ ! !

別にディスられているわけでなく、私もジンくんは他のメンバーと若干違うスタンスを持っている気がしている。ジンくんは伝えたいものがないというより、相手が好むものでないと見せる意味なくない?と考えている感じ。アイドル寄りと言われればそうかもしれない。もちろん他のメンバーもファンのことを考えていると思うけど。

これについては、また「アイドル嫌いだった私がキムソクジンに落ちたワケ」というタイトルでいつか記事を書かなきゃいけない気がする。でも今は全然考えがまとまってないや……

とりあえず、今はここで終わっとく。

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!!


※キムソクジン編、書きました!

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