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推しメン

40代の私にとって「推し」は比較的最近の言葉だと思っている。
なので、昔から好きなミュージシャンや俳優を今更「○○を推してる!」とは言いにくいもので。
私にはもう使いこなせない言葉かもしれないと思っていた。
だって若い推しを見つけるには、何か新しいものに手を出さなくてはならないから。


数年前、息子のひとりが音楽に興味を持ち、バンドを組んで、更には音響にも興味を持ち、たくさんの仲間ができた。
その中に、私の現在の推しメンがいる。

推しメンは、Pくん。息子の親友。
推しはじめたのは彼が高校生の頃。

好奇心旺盛でコミュニケーション能力が高く、好きなものやいいと思うものを自分の目で見極める。興味のあることをまずはやってみる。そしてやりたいことは失敗を恐れず大勢を巻き込んでやるメンタルの強さを持ち。普段からのコミュニケーションでたくさんの仲間がいて、大きな事も仲間と助け合ってやりとげるイベント運営のマネジメント力もある。
何より息子と二人、お互いに背中をあずけて、頼り頼られるその姿が麗しくて。

そんな若者、当然応援したくなるでしょう?
わたくし、40代にして推しメンができたのだった。


ある時Pくんともう一人の息子のおともだちが、家業の繁忙期の真っ最中に息子と一緒に帰宅した。
「え?あなたの部屋に上がるための階段、たくさん物を置き過ぎて幅30cmしかないよ😭片付けるからちょっとだけ外で待ってもらって!!」
そんな時もPくんはニコニコして
「突然スミマセン!お邪魔します😄」
って言ってあがってくるし、座る場所があるのかさえ怪しい息子の部屋に飲み物と食べ物持っていったら
「わー♪ありがとうございます!」
って率先して喜んでくれる。
まぁ、もう一人のおともだちは小さい頃からうちに来てるし、とっ散らかってることが多いのも知ってるし、その彼が落ち着いた物静かな性格なのもよく知っているから対比として大きなリアクションに見えてしまったところはあるけれど。

初めて来たのに(そんなに散らかってるの…)と引く様子もなければ、大慌てしている親を見て(いていいのかな…)と変に遠慮することもなく、一貫して受け入れてくれてありがとうという雰囲気を出し続けるPくん。
ここでもし、引かれたりいたたまれない雰囲気を出されたりしたら、私も大変気まずいし、次に合わせる顔がない。
Pくんのその堂々とした明るさに救われた。


そうして、家族みんなに認識された息子の親友Pくんは、ますます確固たる推しメンになった。
家族の会話に日常的に登場するようになり、必然的に私が「さすがPくん、私の推しメン!」と言うことも増えると、息子は言った。


「Pはコミュ力高めの陽キャだけど、かなりの音楽系オタクだよ」

そうね。
ちょっと人より濃いめ深めの趣味を持ち、それに没頭しつつも明るく人当たりがいい。
そういうの、いいよね。とっても好きだな。

…って…ん?…あれ?
それってウチにそのまんま当てはまる人いない?
チラッと夫を見たのは誰にも悟られなかったはず。

いやいや、息子の親友を異性的好みとかそういう目で見ていたわけでは決してなくて!!

人が人を好ましいと思う時の基準て案外何年経っても変わらないものなんだと我ながら驚いた。
そりゃぁ我が人生いちばんの推しメンは夫なわけだし。
好ましいと思ったところが一緒だとしても、何も不思議な事じゃないけれど。

そうか…だから格別かわいがりたくなったのか。
そういえば、親友である息子は何かにつけてチョイスや好みが私に似てる。
Pくんとは一生の友達になるんだろうな。
私の推しであることを抜きにしても、そうであってほしいと願っている。

そしてもちろん、変な誤解をうけないために、リアルでは誰にも「推しメンを好きなところ」は話さないことにしておこう。



好きな理由を言語化してみたら、おもしろい発見になるかもしれない。
「推し」の言語化、オススメです!!

もし、サポートなんてスペシャルな事があったらどうしよう! 写経用紙買って写経して、あなたに幸せがあるように書いて、そして手を合わせようかしら☺