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カワラバト(ドバト)に縄張りはあるのか andスズメとの関係は!?

隣のマンションの屋上に、よくハト(カワラバト、ドバト)が羽を休めているのを見かけるようになった。ハトというのが案外コミカルで、羽を休めるだけでなく、つがいで毛づくろいをしたり、親子と思われる3羽で遊んだりしている。

気になって周りのビルも見渡すと、どうやら同じハトの家族が、いくつかのビルの屋上や軒先を行き来していることが分かってきた。

ハトの縄張りを考えてみる

ハトといえば公園にわんさかと集まり、(人間の)子どもが追っかけている光景というのが定番。そうやって集団でエサを獲っている時もあるが、実は家族で過ごしている時間も多いようだ。

私が眺めているハト家族を例にすれば、彼らは巣以外にミーティングポイントのような場所をいくつか持っている。確認できたミーティングポイントは隣のマンションの屋上のほかに、違うマンションの軒先、さらに異なるビルの屋上の計3カ所。あまり一カ所には留まらず、これらを行き来している。

なぜ私が「ミーティングポイント」と呼ぶのかというと、彼らは3人家族のようだが、常に2+1で動いているからだ。先に2羽がミーティングポイントに集まり、それからしばらくして1羽が寄ってくる。「つがい」と「子」で少し行動が違うのだろう。ただ、集まる場所=ミーティングポイントは決まっているので、誰かが迷子になるということはない模様。

 (きっと論文を見ていけばきちんとした呼び名があるはずだ)

★が私が見つけた「ミーティングポイント」。この地図はもう一度登場する

ミーティングポイントに集えば、のんびりと一家団欒の時を過ごしている。愛らしい。しかし、ミーティングポイントを転々としているのには縄張りのパトロールという意味もありそうだ。実際のところ、ここに他の家族が来ている様子はなく、縄張りの健全性は高い。

少なくとも3カ所あるミーティングポイントを結ぶ範囲が縄張りだと考えると、半径100メートルくらいが家族単体で行動できるエリアとなる。意外と広い。繰り返すが意外と広い。各家族の縄張り同士が重なり合わないものと推定すると、ハトの生息数はかなり少なくなってしまいそうだ。公園には膨大な数のハトが集まっているので、辻褄が合わない。もしかしたら各家族が持っているミーティングポイントの数や縄張りの範囲は環境に依るのかもしれない。

縄張りは環境次第!?

私が観察している街区はビルや駐車場が多く、1カ所ある公園も草地はほとんどない。虫や種子を食べるというような行動には向いていないからか、公園はハトがほぼ皆無だ。(ついでに言えば、ハトに餌を与えるような人もいない)

コンクリートの多いエリアは天敵から隠れる場所は多くとも、餌が限られているため、決して暮らしやすいとは言えそうにない。結果的にハト自体があまり寄り付かないし、やってきたハトも(幸か不幸か)縄張りを広げないと生活が成り立たなくなってしまう。ハトが魚屋さんの軒先で店主のおっちゃんを見上げている姿を見かけたが、人に頼りたくなるほど餌は少ないようだ。

一方で餌が豊富に得られる場所(=草地面積が広い公園)が近くにある場合、各家族の縄張りが狭くなっても食の不自由はない。こういう場所では縄張りを広げる必要性に乏しく、巣同士が近接することもあり得るだろう。

仮説が成り立つなら、アスファルトやコンクリートに囲まれた場所のハトは、人間に例えれば、買い物が不便だけれど田舎でのんびり暮らしているような感じ。逆に人がくつろいでいる大きな公園のそばでは、都会のマンション暮らしのようにハトがひしめきあって生活を営んでいることになる。

似ているけれど違う公園の素顔

ハトは地面を歩いて小さな虫や幼虫、草花の種子などを食べているとされている。好条件なのは常緑の草地がある場所だ。

くだんのハトの縄張り内にあるが、ほとんど寄りつかないのが、下の写真で示す公園(片野西公園)だ。草地に乏しく、ハトの餌が見るからに少ない。花壇や生垣もあるとはいえ、高木のサクラと低木のアジサイ、それにヒガンバナが中心で、餌を常に供給してくれる草木はあまりない。

片野西公園はハトもスズメも少ない

少し離れた富士見公園には逆にハトがたくさん集まってきている。遊具と広場という構成は片野西公園と同じながら、花壇の面積が広く、地面が柔らかい。サクラがほとんどだった片野西公園に比べ木の種類が豊富なのも、多くの餌をもたらしてくれそうだ。ハトとスズメが仲良くついばんでいる姿をよく見かける。

富士見公園はいつもハトが多い

城野駅北側の再開発地区にある「ひとまち公園」も適度に草地が広がり、池もある。ハト、スズメのほか、アオサギ、カワセミ、ムクドリなどが寄ってきていて、野鳥(というほどでもないが)を観察するにはちょうどいい場所となっている。こうしたところの周辺に棲むハトは、行動範囲をそれほど広げずに済みそうだ。

ひとまち公園はハト、スズメのほかにも鳥たちがやってくる

他の公園もあわせてまとめると下の地図のようになる。

アイコンはハトとスズメの数の多さを示した(私の見た感覚で)

ハトとスズメの関係は!?

ところで、話が逸れるが、ハトが餌を獲っていると、多くの場合において、そばにはスズメもいる。「くるっぽー」と鳴きながら歩くハトと、「ちゅんちゅん」と愛らしく歩くスズメの共演で、両者はほとんどワンセット。地面に降りて餌を集めるという危険な状況下において、天敵から身を守るために共存関係を築いているのかもしれない。

両者はケンカすることも餌を分け与えることもないが、物音がしたり、外敵の気配を感じたりして片方の鳥が飛び立つと、もう片方も必ず飛び立つ。ハトの持っている視界や感覚、スズメの持っている視界や感覚、それぞれを生かして補完しあい、危険から逃れているという可能性はありそう。

言ってしまえば、背の高い人が高いところからの危険を察知し、背の低い人が足元のでこぼこに注意を払うようなもの。なので世のみなさんは私といると道で躓きにくいはずだ

もっともハトとスズメが共存関係にあるからといって、公園に集まってくる羽数の比率は1:1ではない(地図のアイコンを参照)。富士見公園は圧倒的にハトが多く、ひとまち公園はスズメのほうが勝る。食べているものの微妙な違いがあるのかもしれないし、スズメとしては保護色でもある茶色の草木が多いほうが集まりやすいのだろう(?)。

無理矢理話をまとめてみる

話を戻して、この話をまとめると、ハトはつがいや家族でいることが多いこと、いくつかのミーティングポイントを持っていること、縄張りの広さはエサへのアクセス可能性という環境に依存すること――などが仮説として立てられそうだ。

というか、そういう論文を探せば一発で分かりそうだが、とりあえず今日のところはこのあたりで筆をおいておこう。

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