僕たちはもう働かなくていい(堀江貴文)【書評#120】

 AI技術、ロボット技術の研究が現在どこまで進んでいるかが分かった。

 現在、AIの視覚、聴覚の能力は人間を上回るレベルにまで向上している。しかし、より一層AIが進化していくためには身体の技術が欠かせない。

AIがここからさらに進化のステージを上げるためには、私たち人間と同じように、「目」だけでなく「身体」を使って、リアル社会とインタラクションする必要があるというわけだ。 p.36-37

ただ、実際には視覚、聴覚に比べ、変数が多くなかなか上手くいっていないのが現状らしい。

 AIに身体を持たせたものにアンドロイドがある。

 いずれ、ひとりに一台、何なら複数のアンドロイドを所有して、面倒ごとはすべてロボット任せ、自分は好きなことだけやっているという時代になるかもしれない。 p.88

残念ながらソフトバンクが開発したPepper君は思ったほど普及している印象はない。しかし、今後、より一層技術が向上したアンドロイドが普及するかもしれない。

 パーソナルモビリティは私が特に気になる技術だ。移動時間をより快適に過ごすことができるのはとても魅力的だ。

 駅から駅への出勤通学、配達ぐらいは、パーソナルモビリティが難なくすべてこなせる時代はそう遠くないうちに来る。移動しながらスマホを見ていたり、スマートグラスでマンガを読んでいたりしてもいい。 移動時間をフルで有効に使える。それが理想の社会インフラではないだろうか。 p.117

 AI、ロボットの研究は日本の問題をも解決するかもしれない。

 現在、日本は少子高齢化で人手不足が深刻だと騒いでいる。 しかし、本当にそうだろうか? 本来、人がやらなくてもいい仕事、人に任せなくていい仕事を人がやっているだけだという面も少なからずあるはずだ。外国人の労働者をアテにするより、各業界でロボット化を急いだ方が、よっぽど問題の根本的な解決につながるはずだ。 p.130-131

現在は残念ながら自動化のシステムを構築するより、外国人労働者に低賃金で働いてもらう方が、企業にとってはコスパがいい。もっと無人化、自動化を進めるには最低賃金の上昇が必要だろう。

 今後の教育のためにもAIの研究は必要だ。

 私はたびたび教育問題について意見を述べているが、AIの進化により、指導・教育の場も根底から変わっていくだろう。 人間の先生より、AI教師の方が、筋がいいのは間違いない。 p.152

 最後にこの本の趣旨はこの文章に集約される。

 僕たちはもう働かなくていい。 嫌な仕事、面倒なことはしなくていい。 これからの時代、生き残れるのは、安定した仕事を与えられた人でも、お金持ちでもない。働かなくてもいい世界で、なおモチベーションを持ち、何かの行動を起こせる人が、生き残れるのだ。 p.172-173

働かなくてもいい社会になるには、AI、ロボットの研究だけでなくベーシックインカムなどの制度も必要になるため、実際に実現するのは相当な未来になるだろう。私たちが生きているうちに実現するかはわからないが、その時にもモチベーションを保ち続けられる「生きがい」を一人ひとりが持っておかなければならない。


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