この本はいわゆる成功者が語る成功のための本ではない。もちろん著者が成功者ではないと言いたいわけではない。著者の為末大さんは男子400mハードルの日本記録保持者で、世界選手権で銅メダルを受賞したり、オリンピックに出場したりとはたから見れば、成功者といってもさしつかえないだろう。
しかし、本の内容はいわゆる成功体験をまとめた本ではない。著者が題名通り「走りながら考えた」思考のプロセスが書かれている。
経歴だけを見れば、輝かしい人生のように思える為末さんも、失敗や挫折を繰り返してした。それらをどのように乗り越えてきたのか、そしてどのように折り合いをつけて諦めてきたのか。
人生は勝つことより負けることが多い。負けること、うまくいかないこととうまく折り合いをつけないと人生はとても辛いものになる。負けても、後悔しない、くよくよしないように生きていくことが大事だ。