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論文マラソン43 豊田郁「土田麦僊の欧州遊学をめぐって」

こんばんは。今日はもう一本、ご紹介します。豊田郁さんの「土田麦僊の欧州遊学をめぐって」(『文化交渉:東アジア文化研究科院生論集(関西大学)』5号、2015年11月)です。
面白く拝読。

目次構成:
はじめに
一.欧州遊学で得たものーイタリア旅行を中心に
 1.イタリアで得たもの
 2.ヨーロッパで見た日本美術
二.フランス近代美術のコレクション
 1.コレクション購入の過程とその意図
 2.購入できなかったもの、しなかったもの
三.現地での作品制作ー《ヴェトイユ風景》《巴里の女》を中心に
 1.《ヴェトイユ風景》ー「色彩」の試み
 2.《巴里の女》ー「デッサン」の試み
おわりに

土田麦僊は1921年10月から1923年5月にかけて渡欧する。
行きしなのスエズで、カイロに行ってピラミッド、スフィンクス見学。フランスのマルセイユからパリに行って、1922年1月〜2月はイタリア、途中ルノワール邸へ訪問、3月はスペイン、3月末から4月にイギリス、4月から9月はヴェトイユに滞在、10月にドイツ、オランダ、ベルギーを旅し、11月にパリに戻って、翌年3月に帰国の途につく。

麦僊が関心を持った画家について、詳細に分析されている。
ベルナルディーノ・ルイーニ、ベノッツォ・ゴッツォリを称賛、ルイーニやギリシャ彫刻、ポンペイの壁画が自分に与えるものが多いと考えた。ルイーニは麦僊にとって「神」だったらしい。

ルノワールもすごい好きだったそうだ。ルノワールも「神様」だったらしい。
麦僊がコレクションとして購入した画家は、ルノワール、ゴッホ、クールベ、シャヴァンヌ、ドーミエ、ルドン、アンリ・ルソー、セザンヌ。
特にこだわったのは、ルソーとセザンヌだそう。

さらに、ピカソを高く評価し、アンドレ・ドランとピカソに会おうとしている。
同時代のフランスの作家では、ピカソとマイヨールだけが好きだとも言っている。

コローもわりと好きだったらしい。

ヴェトイユで風景を制作した後、シャルル・ゲランの研究所に通ったりもしている。

面白い。麦僊がルノワール好きなのは、なんとなくわかる気がする。

23分

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