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【2023年白水社課金のすゝめ】俺たち、どうやら来年はタタール語をやるべきだな?

年の瀬が近づいてまいりまして、アドヴェントカレンダーも終盤に差し掛かってきました。このタイミングで、テュル活民垂涎のあの本が届いたというこの喜びを書かないわけにはいきますまい。

年の瀬の大ニュースでしょう。『ニューエクスプレスプラス タタール語』がついに登場。で、最初に書いておきます。みなさま、テュル活民ならもちろん、そうでなくてもこの本は「買い」でっせ

なぜ買いの一択か、以下その理由を列挙していきますさかいに。少々長いですが、まあ読んどくんなはれ。

買うべき理由1: 唯一の「日本語で読めるタタール語の教科書」

なぜといって、なんといっても「日本語で書かれたタタール語文法・会話の教科書」としてはこの本が初めてであろうということです。つまり、類書はない。

なにをそんなに興奮しているのか、ですか?バラエティで群を抜くニューエクシリーズの中でも、テュルク系の言語としてトルコ語に次いでタタール語がついに2番目として登場したというこのインパクトに対してです。

ニューエクのトルコ語で「トルコ語、おもろいやんけ」と思った方、多いでしょ?(実際、ニューエクトルコ語は筆者も超絶推薦の入門書です)
ならば、その流れでタタール語もぜひ手元に置いておきましょう。この「親戚」の面白さを経験する価値は保証します。

買うべき理由2: 学習項目が相当欲張っている

「買い」の理由の2つ目は、扱っている文法項目はもちろんのこと、各課の間にあるコラム、巻末の単語リストに至るまでボリュームが尋常ではないという点です。

まだこの記事を執筆する段階ではざっくりとしか見ていないのですが、最初の名詞述語文、2種類変化パターンの母音調和からはじまって、動詞の主要時制・アスペクト、各モダリティ形式に触れた後、動名詞、形動詞(分詞)、副動詞(連用形)にも触れて、最終第20課が補助動詞という目次を見ただけで、「この1冊でタタール語文法の初級・中級レベルのおおよその部分をカバーしてやろう」という並々ならぬ野望が秘められていることがわかります(少なくとも、オレにはそう見える!)。
これらの文法内容に加えて、会話文も定型表現はもちろん、音声まで実際に聴けるというんですから。タタール語の実際の音声、教材として聴けるというのは本邦初でしょう。間違いなく。

買うべき理由その3: コラムがエグい

そして圧巻は上述した、各課の間に入っているコラム。なぜタタールスタンに目を向けるべきなのか、タタールの文化・社会の紹介がどれも素晴らしい内容です。締めはタタール料理の一つ、「アズー」(タタール語ではазу)のレシピまで掲載されている。「ニューエクシリーズにハズレなし」とは界隈でよく言われていますが(しらんけど)、でここまで欲張った内容・構成になっているという点でも出色の1冊と言えます。

郵便で届いた瞬間、封を開ける前に「え?分厚!」と思いましたもんね…ひょっとして、『日本語の隣人たちI+II』じゃないかとすら思ってしまいましたから!(実際はご献本くださるという知らせを聞いていたので、これはまあウソというか、大げさな書き方ではありますけども)。なるほどこの本はというと、総数190ページ…たとえば、同じくシリーズで今個人的にやっているエスペラントでも164ページ。
このボリュームを見よ、と。これを見ただけでも、タタール語はタタール語として手元に置いておくべきだと思えないことがありましょうか?(いやない)

買うべき理由その4: イラスト担当が、おなじみのあの人

市販の語学書の花というべき、なくてはならない存在はやはり挿絵のイラストですね。自分も今アゼルバイジャン語の教科書を作成中なので痛感するのですが、イラストがあるかないかで語学書の印象はめちゃくちゃ変わります。

で、ニューエクタタール語のイラスト、どなたが手掛けていると思います?なんと、我ら「オフィスぴの吉」のデザインをしてくださった、あのお方なのでございますのですよ奥さまがた!!

わたなべゆいこさんはnoteのページももっていらっしゃいます。弊オフィスのイラストの件でも以前言及していただいたことがありました。

ということで、このお方がタタール語の教科書のご担当。もちろん、各課ごとの挿絵、すばらしいお仕事です。タタールスタンのイメージを描き切るというのは、至難の業ではなかったかと推察します。

タタール語にはあまり興味がなくても、挿絵に興味があるという方も多いはず。私はイラストについての知識は皆無ですが、きっと参考になることも多いのではないかと思います。そういった点でも注目すべき1冊といえましょう。

流れは完全にテュルク

日本でのテュル活環境というものを全体的に見ますと、こうやって少しずつ充実していっているということがわかります。たとえば筆者が大学学部を卒業するころだと、テュルク諸語を扱ったもので日本語でアクセスできる語学書というのはせいぜいトルコ語とアゼルバイジャン語、あとはウイグル語くらいではなかったかと思うのです。

それが見てください?この20年でカザフ語、ウズベク語の良質の語学書も出てきましたし、そして2022年の末についにタタール語登場。噂ではほかのテュルク系言語も…ええ、もちろんまだ風の噂でしか聞いたことがないですけど、この流れを見て、テュルクに勢いありとみなさない手がありましょうか(いやない)。オレもがんばって、今年の夏やったアゼルバイジャン語の研修テキストを世に出せる形にする作業をがんばろうと、あらためて思いました。(便乗宣伝で恐縮ですが、そちらのほうもご期待のほど!)

なにはともあれ、乗るしかない、このビッグウェーブに(例の有名なキャプチャ画像を頭の中に思い描いてください)!

ということで。
繰り返しで恐縮ですが、『ニューエクスプレスプラス タタール語』は買うしかない。タタール語をやるつもりがあるかどうかというそもそもの部分を差し置いても(注:もちろん差し置かないほうがよい)、一家に一冊はあってもよい…いや、あるべき1冊だということを今日はお伝えしたかった次第です。

で、思わず買ってしまったなら、せっかくだし音声を聴いてみましょう。なんなら、書き写しながらタタール語を身につけるということを趣味の一つとするのもよいのではないでしょうか。

テュルク世界の一端としてのタタール語に触れる意義は…た…たた…多々あ…

ネタが枯渇しだしていたこの時期に大きなネタを提供してくれたタタ村さん、boltwattsさん。ありがとうな…タタール語ではありがとうってなんていうんだっけ…

Рәхмәт. そうか「ラフマト」でいいんだ。ウズベク語を思い出しますな…そういった他のテュルク諸語と共通の定型表現ももちろん…多々あるわけですね。

タ タ ー ル 語 だ け に 

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