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2. 記憶のカケラ

前回のお話は、こちらです。


ある日曜日のこと、ユミはおばあちゃんの家を片付けていました。おばあちゃんはずいぶん昔にお星さまになって遠くに行ってしまったけれど、家にはたくさんの思い出が残されていました。

ユミは特におばあちゃんからもらった小さな音楽箱を大切にしていましたが、どこにしまったかわからなくなってしまいました。

「ぴの、おばあちゃんの音楽箱を見たことある?」ユミが尋ねると、ぴのはくるりとユミを見つめました。その瞳がぱっと光り、ユミの心にふと昔の記憶が浮かびました。それはおばあちゃんが音楽箱を開けて、ユミに見せていた記憶です。音楽箱はおばあちゃんの部屋の古いタンスの奥、秘密の引き出しに隠されていました。

「そうだった!ありがとう、ぴの!」ユミは急いでそのタンスに向かいました。少し重たい引き出しをゆっくりと引くと、中から美しい音楽箱が現れました。音楽箱を開けると、やさしいメロディが部屋いっぱいに広がりました。ぴのもその音に耳を傾け、目を細めて楽しそうにしていました。

ユミは音楽箱を抱えて、ぴのの隣に座りました。「ぴの、おばあちゃんがこの音楽箱を私にくれたとき、とても嬉しかったんだよ。」と、ユミは話し始めました。そして、おばあちゃんと過ごした楽しい日々の話をぴのに聞かせてあげました。


その日の夜、ユミは音楽箱のそばで眠りにつきました。ぴのもユミの足元で丸くなって、二人は幸せな夢を見ました。音楽箱のメロディが、遠くおばあちゃんの声のように聞こえた夜でした。

このようにして、ぴのの不思議な力はユミにとって大切なものを取り戻す手助けをしました。そして、ぴのとユミの絆はさらに深まったのでした。

(つづく)

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