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【テュル活】『星の王子さま』から入るテュルク諸語(4): サハ語の遠さに触れる

さてさて、ついにサハ語に言及する時がやってきましたか。先日入手した、星の王子さまテュルク諸語編。サハ語訳も手に入りました。

サハ語。またの名をヤクート語とも言いますが、前者のほうが名称としても浸透しつつあるのかなという印象を持っています。これももちろんテュルク諸語のひとつで、ロシアのサハ共和国の公用語として使われています。

改めて地図で見てみると、むしろ日本のほうが距離的には近いのですよね。ただ、地理的にはほかのテュルク諸語から見るとずいぶん離れているようにも見えますし、実際言語的特徴もかなりほかのテュルク諸語から見ると変わった部分があるように感じられます。

たとえば、日本語だと「…の」で表される、いわゆる「属格」の語尾が存在しない(らしい)という現象があるとか、(ほかのテュルク諸語から見ると)まあまあややこしい接辞の子音変化がある、とのこと。たしかに、下記の文献を眺めていても、これは大変そうな言語だなという印象を持ちます。

最近はこのような研究書も出版されました(先般、著者の江畑先生からご恵贈を賜りました。今更ではありますが、この場を借りて御礼申し上げます)。サハ語の本まで出る時代です。テュルク諸語の時代、きてますよね…?

また、文字のほうも例によってOmniglotのページあたりを参照してみましょうか。

サハ語も、現在はキリル文字表記を使用。テュルク諸語に親しむには、結局キリル文字に親しむ必要があるということに改めて気づかされますね。

それにしても、二重母音が短母音とは独立した母音として存在するということなのですか。なるほど…(なるほど?)

さて、『星の王子さま』のほう。

うーむ。タイトルがКЫРА ТЫГЫНですか。 ラテン文字に転写してみるとすれば、"kïra tïgïn"のような感じなのだろうなというところまではわかるのですが、ちょっと語彙としても類推が利かない感じがあります。トルコ語の知識のほとんどは、少なくとも表面的には役に立ちそうにないな。

訳本の最初の段落をざっと見ても、辞書なしだとМин(私), алта(6), диэн(…という), ол(それ、その)くらいしか見当がつかない。あとは辞書がないと確信が持てないかなというくらいに、読めないなという印象です。

なんというんでしょう、カラチャイ・バルカル語くらいならおお、このオレにも多少読める気がする…という感じがないこともなかったのですが。さすがサハ語、といったところですね。

トルコ語あたりからは距離的にも言語的特徴的にもかなり遠いなと感じるのと同時に、さすがテュルク諸語、このバリエーションの奥深さを見よというドヤ感(なぜ私がドヤ感?)も感じることができます(できるのか?)。

というわけですので、江畑先生あたりに今後、ぜひ語学書も作ってもらいたいところですね。せまいテュルク諸語界隈の業界でして、個人的にいろいろ連絡もある間柄、ぜひ今度直接リクエストしてみることにしましょう…!

この中にサハ語もありまして、3章ほど会話スキットと文法解説などがあるのですが、なんといってもこの本自体が絶版で、入手困難なばかりかとんでもない価格で取引されているというですね…きっと売れるだろうに、なぜ再販しないのかと。本当に。

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