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移植とラーメンと私

初めての胚移植のために、昨日は指定された通り朝9時までにクリニックへ。

「赤ちゃん、できるのかな・・・。赤ちゃんの素(?)を移植するって一体どんな感じなんだろう・・」

地下鉄に乗っている間、そんなことを考えていました。

クリニックに着いて、まずはホルモン値チェックのための採血をして内診へ。なんだかお腹が減ってきたので、移植までの間にランチは何を食べようかなー?なんてことを呑気に考えていた私。

内診から30分ほど経って、医師が待つ診察室へ。入室するなり、いつも表情のない(失礼!)お医者さんがなんとなく気まずそうな笑顔を向けてきたことに、胸騒ぎを覚える。

「今日、移植予定なんですけどね、子宮のね、膜が薄くて。7mmは最低欲しいところなんだけど、あこんさんは5mmしかないから今回は見送った方が良いと思います」

エコーを見せながらそう説明してくれる医師に何て言っていいか分からず、とりあえず頭に浮かんだ質問をして、お会計で福沢諭吉を財布から出し、クリニックを後にした。「移植が一ヶ月延びただけ」。そう自分に言い聞かせながら、何とか足を前に出す。

内膜の薄さは前から指摘されていたけれど、以前同じ周期での検査では何とか7mmを超えていたのに、何で?ああ、夫に報告しないとな・・。そのまま帰宅する気分にどうしてもなれず、気づけば近くのコーヒーショップで一時間も過ごしていました。スマホもいじらず、ただ、ぼうっと。

このところ考えないようにしていた、自分の退職とそれにまつわるモヤモヤが体のコンディションに影響してるのかな?こんな計画性のない女は子供なんて持たない方がいいってことなのかな?

悶々悶々悶々・・・

いやいや、ダメだ!こんな弱い心じゃダメだ!よしっ、ラーメン食べに行こう!お腹いっぱいにして、今日は久しぶりにお酒も飲んじゃおう!

がばっと席を立ち、夫に移植できなかったことをできるだけサッパリとLINEして、近所のラーメン屋さんで待ち合わせることに。タンドリー窯で作る香ばしいチャーシューが大人気のお店。

「おつかれさま」と、少しぎこちない笑顔で迎えてくれた夫と、湯気もうもうの温かい店内へ入り美味しいラーメンをすする。

幸せだよ。不妊治療にトライすることができて、こうして寒い日に温かいものが食べられて、隣には気遣ってくれる優しい夫がいて。

「もっとこうしてたら・・」「あの時ああだったら・・」なんて、過去に今の私がパワーを吹き込むことに意味はない。未来は今の積み重ね。今を笑顔で過ごすのみだ!

お昼時にも関わらず、かつて訪れた時よりもお客さんはぐっと少なく、私たちとあともう一組がいるのみ。そのもう一組は、お店を出る際に「とっても美味しかったです」と店主に満面の笑みで感想を伝えていた。素敵だ。いただき!私も早速マネをする。

カクヤスで買って帰った800円のワインが美味しくて、笑顔。

床暖房が心地よすぎて、笑顔。

昨夜寝る前に、「もし子供ができなくても、二人で十分幸せだよ」と言ってくれた夫にも笑顔。

うっかり明け方少しだけ泣いてしまったけれど、それくらいは許してあげよう。時々悲しみに心を貸してあげるのはいいけれど、乗っ取らせるつもりは、もうない。

九月初めに採卵をして四か月が経とうとしているのに、未だ移植ができていない自分に焦りや不甲斐なさを感じたりもするけれどこればっかりはしょうがない。来月まで精いっぱい温活をして体を整え、また次の周期を待つだけ。

妊活って、コントロールのきかない博打のようなもの。長く続けていらっしゃる方は、本当に強いと思います。自分に負けず、希望を持ち続けている。私もそうなりたいけれど、どこかで諦めてしまうかもしれないな、とも感じます。でも、そんな自分も愛していける自分でありたい。そのためには、今を懸命に、優しく生きる。それだけかな。

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