「他薦限定、文字でビブリオバトル」対戦結果ページ

【1】企画概要

 まずはルールの復習。

(1) 参加者はお勧めのWeb小説をレビュー
・Web小説は、執筆時点で読めるもの限定。推し作品を読ませましょう。
レビューは他薦限定。すなわち、他作者様のものに限ります。 ←重要
・今までに書いたレビューの流用はダメです。新しく書きましょう。
・最大文字数は1,000文字。1,000文字以下であればどんな形でも良いです。

(2) 投票と優勝者決定の方法
・自分のレビュー以外で
・最も元作品を読みたくなったもの
に投票。評価基準はレビューの力と熱量だけ(元作品は考慮しない)を基本線とする。
いちばん得票数が多かった人を優勝とします。

 以上が、募集時のルール。

 そして。前回の記事で集まったレビューに対しまして、参加者間で投票を行いました。
 その結果発表です。


【2】参加者とレビュー作品
  ※レビュー内容は前回のポストに掲載済。

 #1. 神崎ライ 様(@rai1737
 作品タイトル: どうして人を殺してはいけないのですか?
 作者    : 浜風ざくろ 様(@zakuro2299

 #2. 遊魔 様(@youma_tou
 作品タイトル: メルティーキッス
 作者    : うみべひろた(@uhiro0047

 #3. ゆき 様(@yyuukkii_1106
 作品タイトル: 青天井のTシャツ屋
 作者    :奈保坂恵 様(@Na0zaka_K10

 #4. うみべひろた(@uhiro0047
 作品タイトル: O&O
 作者    : 小田桐直 様(@odagirisunao

 #5. 矢木羽研 様(@yakiuken
 作品タイトル: ヤンキーVS魔法少女
 作者    :平良野アロウ 様(@watakamo

 #6. moco 様
 作品タイトル: うちの美少女AIが世界征服するんだって、誰か止めてくれぇ
 作者    : 月城友麻 様(@deepchild6

 #7. 天野蒼空 様(@sora_senden_777
 作品タイトル: イドラ
 作者    : 勝哉道花 様(@KatuyaMichika


【3】 得票数と投票者コメント

 頂いたレビューはどれも素晴らしいものでした。
 全部読みたくなったし、実際に全部読んだし。文章を書き慣れてる人のレビューって凄い。と思った次第です。読んでない人は、ぜひ前回の記事を読んでね。
 ここでは便宜的に順位を付けますけれど、得票数は参加者の好みに左右されるので、今回はこういう結果だったよ、というだけ。優劣がどうこう、という話ではございません。今回は7名だったし。

 ということで結果発表です。
 まず、ばーっと紹介していきます。

 同率3位は二人。

 一人目。

神崎 ライ 様(得票数1: 投票者 ゆき)

 頂いたコメント:
 最初の一文で仕留める、そんな心意気が感じられるレビューだと感じました。
 今回のビブリオバトルは文章の形式で行われましたが、文章としての強みを活かして、冒頭にキャッチコピーめいた言葉を配置しているところからまず目を惹きました。
 読み手側に情報を出す順番も自然で、押しつけがましくないからこそ、つい「それから?」と尋ねたくなります。
 ご自身が好きだと感じたポイントと、これから読者になる人への案内を両立したすばらしい演説だと感じましたので、神崎ライ様に投票させていただきました。

 二人目。

ゆき 様(得票数1: 投票者 天野蒼空)

 頂いたコメント:
 伝わってくる作品の魅力が自分の好みの雰囲気がしたから
 あと半分ぐらい既に知っている作品でしたので、「なにこれ面白そう!知らない作品じゃん!」という気持ちも大きかったです


 2位。
うみべひろた(得票数2: 投票者 moco、矢木羽研)

 頂いたコメント:
 あまり読んだことがないタイプのお話なので、読んでみたくなりました。  そんなに長い間愛される作品って凄いですね。そういうの、私にはすぐに思いつかないなぁ。

 消極的な理由としては苦手なジャンルではないこと。また、ややメタ的な理由になるが「Web小説の始祖」という部分も気になった。作品そのものではなく作品を取り巻く環境というのは、誰かが語り継がないと忘れられてしまう。20年前といえば創作界隈にはほとんど興味がなかった時期でもあり、当時の空気を体験したくもなった。


 1位はこの方。
天野蒼空 様(得票数3: 神崎 ライ、うみべひろた、遊魔)

 頂いたコメント:
 語り掛けられるような文章、そして巧みな表現の仕方(噛めば噛むほどするめみたいに味が出てくる物語)
 紹介されている方だけあって個人的にさすがだなっと……思いました

 ビブリオバトルの評価基準って、「誰の紹介がいちばん対象作品を読みたくなったか」なんだよね、ということを強く思いました。
 気になる部分を、これも!これも!そしてこれも!! という感じで提示して、後は読んでね!というスタンスで書かれているから物凄く引きが強くなる。
 そういう意味合いでは、やはり最も読みたくなりました。
 私の書いたレビューって半分以上は好きな本紹介に終始しているわけで。戦闘力が足りていない!! 天野さんは戦闘民族だなーと、とても強く思った次第です。

 どのレビューも色んな角度からギュッと作品の魅力が詰めこまれていて、面白そうだなぁ…!とわくわくしたのですが、天野さんのレビューはとても簡潔で、あえて作品の内容に踏み込まず、必要最低限の情報しか与えられないことで、どんな物語なのか読んで確かめたい…と思わされてしまいました。短い作品である、というアピールも効きました…作品選びから既にビブリオバトルなのだな、と目から鱗でした。


【4】総評
 参加者間投票の結果は下の図のようになっています。

 1位は天野蒼空 様でした。おめでとうございます。

 参加者の皆様、本当にレビューを書き慣れてるよね。と思いました。
 作品を読み込んで、物凄い愛情を持っているのは全員同じ。その中で、どうやって作品を読ませるか? という話の進め方は人それぞれ全然違う。
 今回の参加者は物書きの方が多いので、自分の中にある世界をどのように描いていくか? の方法論にも通じてくるのかな、とぼんやり思いながら読ませていただきました。

 あと、どうでも良い話ですが。
 主催者は便宜上2位になったのですが、メタ的な評価しかされていないことには気づかないほうが良いと思います。まぁ、レビュー対象を選ぶ瞬間から戦いは始まっているよ、ということで……。

 短編(というよりも掌編)専門の方が1位を取ることは想定していなかったので、優勝賞品のことは後で相談させてください。
 10万字くらいは読む想定でいました。

 続いて、参加者以外の投票。


天野蒼空 様 2票(投票者: 立藤夕貴、匿名)
 頂いたコメント:
 文庫本一冊やシリーズものでも十分扱えて、かつ、人の心を引き付けてやまないループものという題材。それをまず提示され、更にはそれが3000文字以内という短編で仕上げたというところに焦点を当てられていて、とても興味を惹かれました。
 その後に「そのポイントは同じ文章で締めくくられるループの起点」「各シーンへの導入もすごい」など構成について触れられており、一書き手としてはどんな物語が書かれているのだろうとよりいっそう気になりました。
 この短いお話でどんなことが語られるのだろう。そんなふうに読者をわくわくさせてくれるレビューだと思いました。

神崎 ライ 様 1票(匿名)
 頂いたコメント:
 グロテスクだけど美しい、そして心理描写の上手さがある。
 作者の方の力量がすごく伝わってくるレビューで、いちばん読みたくなりました。


 以上です。こちらでも天野さんが1位。
 次は、読者投票にも力を入れたいなーと思った次第。

 そんなわけで、第1回「文字でビブリオバトル」は終了です。
 間は空きますが、また是非やりましょう。色々なレビューを読ませてください。
 ちなみに……本家ビブリオバトルは、もう少し細かいルールが色々とあります。が。公式ルールに則るとハードルが爆上がりしますので。今回は「誰でも出来る、楽しくやれる」を主眼に勝手に決めたルールでやってます。
 次回やるときもこのルールでやりますが、いずれ公式ルールでもやってみたいですね。それは私がやりたいことから少しずれるのですが。

 では。今回参加してない方も、次はぜひ参加してね。ハードルは低いし、愛を叫ぶことは世界平和を生むのだ。
 そして実は。言及しなかったけれど、敢えてルールの穴も残してありました。裏技的な……。
 基本的には愛情さえあればレビューはどんな形でも良いと思うのです。
 どんな形であれ、愛情は作者様に示しましょうね。

 最後に、各レビューを読んでの私の感想を書いて終わりにします。


【5】各レビューに対する感想

 レビューへの感想というのも変な話ですが。読んで感じたことを書かせてください。

#1 神崎 ライ 様
 私は天野さんのレビューに投票したのですが、このレビューも同じくらいに引きの強いものでした。
 廃人同様で監禁されている →うん。
 それは妹の異常な愛の裏返し…… →なるほど。
 ヒーローの幻影の一言で、妹と対峙する道を選ぶ →えぇぇぇぇ!?
 圧巻の戦闘シーン →その始まり方でバトルものになるの???

 という感じです。話の展開が凄すぎて、全く想像がつきませんでした。確かにすっごいストーリーなんだろう、という期待感を持たせるレビューだと思いました。
 心理描写とスプラッタって、私の中では水と油なので。そこが両立しているという部分にも、とても心惹かれました。そして、それが美しいというところも……

 じゃあ何故投票しなかったのかというと。
 私にはスプラッタ耐性もグロ耐性も無いから。という部分がとても大きいわけです……なんじゃそりゃって言われそうですが、どうしても、引力と同時に斥力を感じてしまうわけで。
 でも。まず、おそるおそる読んでみようかな、とは思いました。
 企画主催者としては、物凄く素晴らしいレビューありがとうございます! なのですけれど。読者としてはちょっと選びづらいな、と。これは完全に趣味の問題。

 理由は他にもありますが、それは天野さんの項で書きます。


#2 遊魔 様
 対象が自分の作品だから書きづらいけどね……。

 レビューが好きな本紹介みたいになるのは、(私も含めて)大学のサークルの影響なのではないか、と思いました。詩でも評論でも文芸でも、よくやってましたからね。好きな本紹介。
 まぁそれはどうでもいい話。

 恋愛の相手がいないからこそ恋愛小説は甘くなるというのは、今まで考えたこともない新しい視点でした。
 確かに、甘いだけの愛情というのは、(特に恋愛においては)存在しないのではないか、というのはずーっと考えていたことで。純粋な恋愛だけを取り出そうとすればするほど、感情としてはやばい方向に行ってしまう。
 夏が来る直前に最も想像上の夏を感じるように、恋愛は、遠くから想像してるのがいちばん美しい。
 っていう感じかなぁ。

 あとは。私は小説を書く時には、小説でしか出来ないことを絶対に入れたいと思っていて。その一つの例が味覚と嗅覚ですね。漫画とかアニメとは別アプローチで五感をくすぐることができる。
 その部分を掬い上げてくれたのは有難い。ですね。


#3 ゆき 様
 この作品は、やはりタイトルがすごく強いんですよね。
「青天井の」「Tシャツ屋」この作品がなければ、この世界においてこの2単語が繋がることはまぁ無かったでしょうという感じ。
 ではどんな作品なの? なんでこのタイトルなの? って思ってレビューを読むと、タイトルの意味が全く書かれていない! 読みに行けってことか!!
 これは私が天野さんに投票した時に書いたのと同じ理由で、こと「作品を読ませる」という目的においてはとても強いと思うのです。
 好きな作品の紹介に終わらず、作品のほうへ意識を向ける書き方って。凄いなー。と思いながら読んでました。

 あとは、見どころを分かりやすく押さえているところ。
 不思議な場所の描写の巧みさと、漫才みたいな台詞回し。その2点に絞って書いているから。
 そこがこの小説のポイントなのね、と思ってから読みに行けるので、予備知識ゼロで読みに行っても、フォーカスが合いやすいというか。
 読み専、かつ何を読めば良いのか分からぬ、というWeb小説初心者に優しいレビューだと思いました。
 こういうレビューこそ世の中には必要だと思うのだ……。読みたい人は勝手に読むから。

 私が読書初心者だったら、ゆき様のレビューに投票していたと思います。
 だけど本当に、私はこういうレビューを書きたい。

#5. 矢木羽研 様
 まず、レビュー対象が矢木羽研様っぽさに溢れていて凄いなと。
 やはりこの作品も、タイトルの時点で物凄く強い。出された時点でとても気になってしまう。だから紹介文に関わらず、読む人は読む…気がするのはもちろんのこと。
 やはり、このレビューみたいに見どころをぽんぽんと見せてくれると、読みやすさ・読んでみようという引きが段違いになるよなーと思いました。

作品紹介として、本当にお手本のようなレビューだと思います。
読もうとした時の道標になるから。
微妙に話の深い部分に触れつつ、でも完全には見せないというところ。これを先に読んでいれば分かりやすいし、でも全くネタバレではないから読みたい気持ちを削がないというバランス。
 こういうレビューが小説サイトの自作品についたら凄く嬉しいと思うわけです。
 その辺りも作品への愛情だよなぁ、と。
 一部、お色気描写への言及の部分も含めて、そう思いながら読みました。

#6. moco 様
 この作品、私は元々すごく好きな作品だったので。投票の公正性が低く申し訳なかったのですが。
 いや、確かに読んでて本当に面白かった。分かる。ということを思い出しながらレビューを読んでいました。

 加速度の部分は、私も最近同じようなことを考えていました。
 物語には加速度がつけばつくほど面白いのですが、そのためにはスタートの速度が速すぎてはいけない。遅いからこそ加速を感じることが出来る。
 だけど、それが遅すぎるとつまらなくて、誰も読んでくれない。じゃあどうするの? って、そのバランスって難しいよね。と思うのですけれど。
 とにかく最後まで加速し続けて、宇宙を突破してしまえばいいじゃん! というのがこの作品でした。なんという脳筋。でも作品のスピードは作者様の想像力を超えることができないので、とにかく力量が問われる。
 だからこそ、私は月城様の力に常々びびり倒しているのです。凄まじい。

 レビューではなくて作品への愛情を語ってしまいましたが、同じところに着目して頂けたので、すごく嬉しかった。というお話です。
 この作品を読んでなかったら、何が何だか分からなくてすぐに読みに行っていたと思います。とても引きの強いレビューでした。

#7 天野蒼空 様
 投票した際のコメントにも書きましたけれど。作品レビューや推しポイント語りというよりも、「相手に作品を読ませる」を主眼に置いたレビューだと感じました。
 人間心理を上手く使っているようにも見えます。
 つまり、相手からぐいぐい迫ってこられると、詰め寄られたほうはちょっと引いちゃうよね。「見てくださいこのボディー!(ジャパネット)」みたいに言われると、大丈夫か本当に、って冷静になってしまう気持ち。
 だから、推しポイントをぐいぐい押し込んでくる、語りつくす、のではなく、気になる部分をいくつもぽんぽんと出して、決して深く説明はせず、相手に「何それ気になる。それも気になる。それも!!」って自発的に前のめりになってもらう。そんな感じのレビューだと思いました。
 コナンとか金田一で、出題編だけ見せて、『回答編は有料だよ!』とかやったら絶対に見ちゃうじゃん。犯人気になるじゃん。
 まさにそんな感じ。プロの犯行やんこれ。

 そういった、「主体的な読みたい欲求を刺激する」という部分が、他のレビューに比べて圧倒的に強かった。あくまでも、私の読書経験と、私の目から見た結論として。
 というところで、私は天野さんに投票させていただきました。
 いちばん読みたくなったから。

 ディフェンディングチャンピオンなので、次にやる時も出てね。
 と、都合も考えずにお願いしておきます。


 第1回(と書いておきます)、ビブリオバトルはこれにて終了です。
 参加者の皆様、読者投票をしてくださった皆様、本当にありがとうございました。レビューが集まってよかった……と。ほっとしております。

 ぜひぜひ。これからも感想とレビューの文化を広めましょう。

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