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季語×グラデーション〜夏の章〜【後編】

つづき

 前回の記事に引き続き、「コピック会議四季譚」季語×グラデーション〜夏の章〜後編について書きます。
 前編をまだ読んでない方はリンク先からぜひ。

 後編では、コピック会議アカウントのもう一人の管理人さんが選んでくれた季語5つをご紹介。「蛍」以外は私の目に止まらなかった季語だったりするので、やっぱり着眼点が違うなって思ったし、お互い選んだ季語を披露する瞬間のカタルシスたるや……。超楽しいです。


6.紫陽花(あじさい)

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 はい、紫陽花です(結論)

 もはや多くを語らなくても「紫陽花です」って言えば紫陽花の何たるかが通じるんじゃないかと思えるほどメジャーな花ですね。(花というカテゴリーにさえ収まってないような気もする)
 夏、というより梅雨の時期を代表するこの花は、実は最初から選んでいた季語ではなく、管理人2人がそれぞれ5つずつ季語を出した時に、被ったりとか、ここは調整が必要だねってなったりするんですけど、今回もそういうのがあって、その調整の結果、追加になったものです。
 紫陽花って1つの概念みたいで、「中二病の方はこちらです」って言われてる気がしなくもないくらいにはモチーフにしやすかったり、語るに語られてる花ではあると思うんだけど、何となく夏の季語として私の中ではしっくりきていなくて、「紫陽花かぁ」なんて思いながら、まあでもしっかり全力フルスロットルでグラデーション作りましたよね。だって紫陽花だもの。

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 画像は下敷きにしていた紙。コピックの裏写り好きなんですよね。

 「紫陽花」のグラデーションについて語るとたぶん、めちゃくちゃ長くなってしまうんですけど(冒頭で多くは語らなくてもとか言っておきながら)、どんな色にしようか頭の中でイメージした時、やっぱり青と赤紫のグラデーションにしたいなって思って、色名に「hydrangea」があるB63と、私が持ってる中で一番鮮やかな赤紫が出せるRV19をまずは使うことにしました。
 B63だと、RV19に負けてしまうのでB66も追加して青を補強。
 赤紫側は、RV19を溶かせる色がなかったのでRV91を追加。RV19とRV91も数字をひっくり返した番号ですが、1と9の差はすごかった。特に彩度が。でも合わせるとすごく綺麗でした。

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 「朱夏」ほどではないにせよ、「紫陽花」のグラデーションもかなりリテイクしてます。最終的に0番で全部をひたひたにしたけど、それまでは原色(?)のままやってたので辿り着いた完成形から比べるとずっと濃いめのグラデーションができてたんですよね。心の中で「違う、違うそうじゃない…!」ってバックミュージックが流れてきたりして、でも絶対理想に近づけたかったので、普段3色を目安に作っているグラデーションも今回は贅沢に6色使用。気付けばマルマンの画用紙もインク染み込みすぎてベコベコです。
 ベコベコなんてすけど、出来上がった瞬間「これだ…!!」ってなって、すごい感動的なフィニッシュを迎えました。0番で滲みきったインクが、マルマンの紙の凹凸によって更に味が出るという偶然の産物もあって、それも含めて良かったなって思いました。いつも使ってる画用紙では出せない質感だったので、この瞬間だけは「私、鬼がかってたな」って感じです。(リ○ロ)

 で、で!
 色についての話はそんな感じで終わるんですけど、ちょっと紫陽花について語ってもいいですか。(冒頭で…以下略)

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 別に、紫陽花に何か特別な思い出があるとか、そういうわけじゃなくて、むしろ子どもの頃は「紫陽花が嫌いです」って作文を書くくらい紫陽花って花が嫌いだったりもしたんですけど、子どもながらの正義感というか、狭い視野でしか紫陽花を見ることができなかったあの頃は、紫陽花が土壌のpHによって花の色を変えるってことが、場当たり的で打算的で、どうしてもずるくて許せなくて嫌いだったんですよね、って話。
 「どうせこういう設定好きなんでしょ?」ってあやされてるみたいなのも、なんか、癪だったりして。単純に、私が天邪鬼だったんですけど。

 ちなみに、あの作文は学校の先生が文章をちょっと削って、文集だったか学級新聞だったかに載せられた記憶があります。何でそれを選んで尚かつ編集加えたんだ…って当時の自分は不思議でした。

 というのはさておき、

 そんな、「嫌い」の感情も含めて今は1つの花の種類として見てて、開花の時期に道路脇にずらーっと紫陽花が並んでれば綺麗だとも思うし、白い紫陽花が一番好きです。何なら枯れた後のあの色褪せた群青の見窄(みすぼ)らしさを見るのも好きだったりするので、何だかんだで結局、紫陽花って花は「特別」なんですよね。あの頃からずっと。悔しいね。
 貴方が花であるならば、それだけで愛でられるというのに、まだ、誰に、好かれたいって思ったの。
 「嫌い」って言われた貴方は、一体何色に染まるんだろうね。

 「嫌い」っていう強烈な感情が「好き」に変わっていく瞬間を何度も体験してきたから、私は自分の中にある「嫌い」を大事にしたいなと思いました。

 紫陽花だけで語りすぎ………(笑)
 次いきます!



7.氷菓(ひょうか)

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 アイスクリームは年中食べたい。
 グラデーションのイメージはクリーム色一択だったのでほぼ一発塗りで仕上がりました。B05の水色としての信頼感すごい。
 あと、マカダミアナッツのアイスクリーム美味しそうだなって思ってYR30。安直。

 アイスクリームに賞味期限がないのを知ったのは小学生の頃。友達の家で変な形に固まったアイスを食べて、「あれ、絶対賞味期限切れてたよ!」って会話をした。そんなものがないと知ったのは、その数日後だったかな。
 いつまでも美味しく食べられるのは、冷凍庫の中に入れている間の話であって、アイスクリームというものは、外気に触れてからの寿命が短い。アイスの溶けた部分が好きだっていう人をたまに見かけるけど、私は、溶けた部分が心底苦手です。だから、夏に食べるアイスよりも冬に食べるアイスが好きです。溶けないから。カップアイスよりアイスキャンディーの方が好きです。溶けた部分が容器の底に溜まったりしないから。

 今は亡き祖母がいつも冷凍庫にストックしていた、袋詰されたピンク色のかき氷を自分で買ったことがなくて、子どもの頃、母と買い物に行くとたまにソフトクリームを買ってくれたんだけど、バニラもチョコも楽しめてお得だと信じてやまなかった私はいつもミックスソフトを頼んでた。今は、ソフトクリームを食べる機会も減ったし、たぶん普通にバニラソフトを注文すると思います。

 昔のことばかり思い出す。今は疎遠になった人たちの方が多いね。



8.水中花(すいちゅうか)

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 水中花って言葉、初めて聞いたかも知れない。
 調べてみると、水の中でパッと開く造花だって書いてあったから、私の中の「造花=青い花」のイメージでグラデーションを作りました。
 これを塗る前日に初めてB29を買ったので試したくて入れてみました。鮮やかな青でいいですね。「氷菓」に続きB05も大活躍です。
 青い花と水のイメージのおかげで、いつにも増してちゃんとしたブルーのグラデーションができたんじゃないかなと思います。

 生花よりも造花が好きです。一生私を裏切らないから。生きている花の匂いが苦手です。生きてなくても美しいです。貴方の模倣品の方が、私にはお似合いです。



9.蛍狩り(ほたるがり)

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 夏の季語に「蛍」は選びたくなりますよね。選んでくださったのは狩りの方でしたけどね(笑)

 蛍の光=YG0000は外せなかったし、「白夜」の時にも使ったBV29は私の中での夜色なのでこの2色はマストでした。
 普段のイラストならこの2色だけで塗ってしまうんですが、グラデーションにしては横暴かなと中間色を入れた感じです。
 この組み合わせは綺麗なのでおすすめです。

 ‘自分だけが想っている’
 感じると泣きたくなる

 それでも嫌いになれない

 藤田麻衣子の「蛍」って楽曲も素敵なので、こちらもぜひ聴いてみてください。
 私達ってほんとうに、悲劇が好きよね。

 思えば、蝉も蛍もいて虫率高いですね夏の季語(笑)



10.海月(くらげ)

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 「そうきたか…!?」と思った季語No.1でした。海モチーフの創作をほとんどしたことがないのも相まってクラゲの知識が、ない…!
 軽く調べてみると、クラゲってプランクトンの一種らしいですね。脳や心臓、血管がなく、張り巡らされた神経で反射的に行動してるらしい。脳がないので意志もなければ、遊泳能力も弱いそうで、本当にただ漂ってるだけみたい。
 海月の漢字は、海の中に月が映ってるように見えるから当てられたってことらしいけど、私のクラゲのイメージはもう大群なんですよ。うようよ浮いてる感じなので月っていうのもしっくりこなくて、意志がないとか泳げないとか、そっちにフォーカスを当てて考えてました。

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 画像は、2年ほど前に水族館で撮った海月。
 こんなにたくさんのお月様がいたら、たちまち星という存在は塵と化しますね。夜が眩しすぎて嫌にもなるかも知れない。

 深海は、神様の失敗作を隠しておく場所だって話が未だに好きで、私達はそれを知らなくていい。だから空に憧れなくたっていいよ。水平線はそのためにあるんだから。

 グラデーションの色的には、クラゲが漂う暗い海のイメージでしょうか。海底にまで届かない月明かりのイメージで、グラデーションは下から上へ。



おわりに

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 前後編にわたり、季語×グラデーション〜夏の章〜をご紹介しましたがいかがだったでしょうか。
 10個まとめて1つの記事にするつもりが、ものすごく長くなったのでいっそ分割してしまおう!と、ゲームで言うとこの中間セーブを作ることに。長文を書き続ける持久力がなかったよ。

 私的には、思った以上に語れてしまったというのが率直な感想で、数日間かけてあーでもないこーでもないって打っては消し打っては消しを繰り返してる事自体が私にとってはすごく楽しい時間でした。昔はこんな感じでブログも毎日書いてたなって、そんなことも思い出しながら。
 ただ一重に、文章が読みづらくてすみませんって感じです。すみません。

 グラデーションを作るだけではなくて、そこに煽り文や説明の言葉も添えようってした私達天才だよねみたいなことをDMで話していました。
 お互いの言葉選びとかひねくれた感じも少し違ってて、私達自身が楽しめる企画だったなと思います。一人じゃなかったからこの一年楽しく継続できました。アカウントの管理以上のこと一緒にできるの嬉しいし、感謝しかない。
 企画終わるの寂しいな。また何か考えたいですね。

 今回は夏の章を書きましたが、機会があれば春も秋冬の記事も書けたら書きたいです。特に秋は一番最初のやつだから今でもたぶん色々と覚えてる、はず。たぶん。

 それでは、最後まで長くなってしまいましたが、この辺で終わろうと思います。ここまで読んでくださってありがとうございました!


 2021.9.11 契 憂