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【UW映画感想】#57『蛇イチゴ』【上田昌宏】

西川美和監督作品が好きでほとんど観ていたのですが、唯一食わず嫌いしていた監督のデビュー作である「蛇イチゴ」を重い腰を上げて観てみました。

この映画はコメディです。
「ゆれる」とかそっちの感じを期待してると肩透かしをくらった気になると思います。観ている途中で、この映画はコメディなんだと気付いた辺りから、どんどん面白くなってきた。先入観って怖い。

主演の宮迫博之は、演技しててもやっぱ宮迫さんとして観てしまうから、ちょっと違和感を感じる。それは観る前からわかっていたことで、だからこそ今まで観る気になれなかったんだけども、コメディとして観てたらハマり役ではある気がして、最後には違和感はそれほど感じなくなっていた。

冒頭5分くらいの長回しで、認知症のおじいちゃんがずっと飯を食ってるだけのシーンがやっぱり印象的だった。ただ飯を食べてるだけなんだけど、その周りで動き回る家族を見せることによって、登場人物紹介から家族の状態を説明し、ワンシーンでこの映画の説明をきっちり伝えてくれているのがさすがだなと思った。

個人的には、このカメラワークもほとんどなく、カットもない長回しのシーンというのは結構好きです。登場人物が本当にそこにいるような気がして親近感が湧くからなんだと思います。

西川美和監督は自分で脚本も書くし、それを一冊にまとめ小説で出したりもしています。映像の前に本をしっかり書くことによって生まれる、ストーリーの解像度の高さはいつも感心します。

「ゆれる」「ディアドクター」もまた観返したくなりました。西川美和監督作品は全てオススメです。

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