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曇りのち雨雨




雨が降ると、世界が二つになる。

なに?意味がわからないって?

わからなくてもいいさ。
世の中にはわからないこと、わかったつもりでいること、わかってもどうにもならないことみたいなのがうじゃうじゃあるんだよ。
だから、わからなくてもいいの。

わかるように話そうとしてないのが問題?

いいじゃないか、話したってどうせわからないんだから、テキトーに、それっぽく話すくらいがちょうどいいんだよ。
別にわかって欲しいとも思わない。大した意味もないしね。

今日はたくさんお話をした。僕はそれで十分。

ノルマみたいで嫌だって?

そうか、そうね。ごめんね。
これでも実は話すのが好きな方なんだ。でも僕はどうしても「話すべき」ことがわかってしまうんだよ。どうしようもなく。わかったつもりでもなんでも好きに言えばいいさ。

口が脳と繋がっていて、それでいて厄介なことに心臓とも繋がっていて、何かよくわからない諸共と繋がっているから、吐き出す言葉を全くとは言わないけど、あまり掴めないんだ。

だから、時偶変なことを口走ることがある。そういうことにしておいてくれ。


雨が降ると世界が二つになる
もらったボロい傘でどこまで行こうかな
あなたが知らない場所
僕が知らない色
揺蕩う世界の音

よるになったらほしをみる
ひるはいろんなひととはなしをする
そしてきっといちばんすきなものをみつける
みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる
だからとおくにいてもさびしくないよ
ぼくもういかなきゃなんない

谷川俊太郎 「さようなら」


2024.2.29   星期四   曇りのち雨雨

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