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はじめまして、読んでくれてありがとう。 20231022

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マガジン

  • 羊の雲の過ぎるとき

  • スキまとめ

  • 随想録

    エッセイ(essay):思索や意見、感想などを形式にとらわれず、簡潔に述べた文学の一ジャンル。

  • ことばがうまくまとまらないんじゃなくて、 ことばがぽつぽつ、雨粒のように、貝殻のように、割れたガラスのように、 足元に散らばって、 拾い集めたらそれはそれではなくなってしまうから、 そのままで

  • 翻訳

    日中翻訳、気ままにやってます。 原作、中国語、言葉に興味を持っていただければ幸いです。

最近の記事

林檎が落ちる

「因果関係とはなんですか。因とは、果とは?」 と聞かれた。 頭の中で思考をぐるぐる巡らせた。 因果関係。よく知っている言葉のはずなのに、僕は、君は、私たちはそれが「なんなのか」を考えたことがあるだろうか。 それっぽいことを考えたこともあっただろう。結論は?出てないはずだ。 でも自然に、頭の中で円を描いていた。 因が果を呼び寄せ、果が新たな因を孕む。新たな因がまた果を引き起こす。私はそのぐるぐるした沿線上を何度も何度も巡って、今、ここに座っている。次の駅に辿り着くま

    • 花发多风雨

      かばんの中は、財布と、数日前に3つ買った猫のおやつ(3つでお得だったので)の2つ目と、気になっていたセブンイレブンのホイップつぶあんパン。 ここ数日は出かけるたびに母に朝食のパンを買って帰っている。パンが好きな人なんだけれど、高いからと言って、いつも食パンを食べたりして節約している。私が買ってくることにも、ときどき「高いからいいわよ」と言ってくれるのだが、別に毎日って訳でもないし、ここ数日はセブンのクーポンがあるからで、自分が飲みたいカフェラテを買うついでだからと言って納得

      • ♬ Episode 33

        黒板にあんな文字が書いてあるのに、泣けなかった。涙が出てこなかった。 絞り出そうとすること自体罪に感じた。 君の反応を伺った。 これといった感情の起伏が特に感じられず、関心もないと見た。 なので構わず座ってビデオの続きを見ようとした。 すると君が隣にやってきて、こちらに意味不明な視線を投げかけてきた。いや意味なんてないことはわかっている。 わからないよ、言ってもらわないと。 嘘かも。大体はわかってるね。 可能な限り、そうするつもりだったの。だってあなたたちのこと

        • 初夏の夢を見た。

          初夏の夢を見た。 少し汗ばんだ両手が目の前に差し伸べられていた。 夏ってどうしてこんなにも汗が出るんだろうと、それとなく思った。 もしくは雨の後だったのかな。 白いワンピースを着ていた。 そんなワンピース持ってないけど。 何をしていたのだろうか。 自転車にでも乗っていたのかな。 バターをフライパンに満遍なく広げた。 子どもの声なんてあったっけ。 でも、嫌な暑さじゃなかった。 現実はまだ、全然寒いんだけどさ。 太陽のマークなんて嘘なんかついちゃって。 ああ、だめだ。

        林檎が落ちる

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        記事

          波の音が聴こえる

          ・ ・ ・ 波の音が聴こえる ・ ・ ・ 「ねえねえ」 誰もいない海岸のはずなのに、いつの間にか隣に女の子が一人立っていた。周りを見渡してみても、親らしき人物どころか、人がいる気配すらまったく感じられない。 「…どうしたの?」 「おねえちゃん、なにしてるの?」 私はおもむろに視線を海の方に向ける。 「んー、海を見ているよ」 「海?」 そう言って、女の子も私の視線を辿り、海の方を見た。 「きりでなにも見えないよ」 「そうだね、何も見えないね」 数メート

          波の音が聴こえる

          はる

          みなさんは聴きましたか。 ヨルシカの「晴る」。 とてもとても素敵な曲ですよね… 晴る。 アニメ『葬送のフリーレン』の2期オープニングテーマ。 ヨルシカの新曲が2期OPだよと、アニメ好きの友達に教えてもらったのが、曲を知るきっかけだった。興味はあったが、その頃の私はまだアニメを観ていなかった。 しかし、もとより私はヨルシカがとても好きで、それでn-bunaさんのボカロもとても好きなので、テレビのCMでアニメ映像とともにサビの部分が流れたとき、あ、ヨルシカ、と気づいていた。

          曇りのち雨雨

          雨が降ると、世界が二つになる。 なに?意味がわからないって? わからなくてもいいさ。 世の中にはわからないこと、わかったつもりでいること、わかってもどうにもならないことみたいなのがうじゃうじゃあるんだよ。 だから、わからなくてもいいの。 わかるように話そうとしてないのが問題? いいじゃないか、話したってどうせわからないんだから、テキトーに、それっぽく話すくらいがちょうどいいんだよ。 別にわかって欲しいとも思わない。大した意味もないしね。 今日はたくさんお話をした。僕

          曇りのち雨雨

          火车与夕阳

          火车行驶在铁轨上。 你说它走得急吧,也没有很急。你说它走得慢吧,也没有那么慢。 我就这样看着沿路的树木花草,与夕阳相互交叉。一道一道残影重叠起来,再转瞬即逝。一个一个光晕闪现,洒满车窗,落在我身上。光线忽明忽暗,那些我不曾知晓名字的灰尘,浮在空气中,仿佛时间静止了一般。我开始回忆,这一路过来的快乐与辛酸。 不知为何,那阳光照射进我的眼眸,是那么的刺眼,我却一点也不想移开。我不知何时跟它较上了劲。我对火车所前往的目的地,或者把握它的方向,又或者它会途经何处毫无兴趣。因为,

          火车与夕阳

          你所说的曙光究竟是什么意思

          春天,十个海子全部复活 在光明的景色中 嘲笑这一野蛮而悲伤的海子 你这么长久的沉睡到底是为了什么? 春、十の海子は全て復活する この光輝く景色の中 野蛮で嘆きの海子を嘲笑う その長きにわたる眠りはなんのためにある? 春天,十个海子低低地怒吼 围着你和我跳舞、唱歌 扯乱你的黑头发,骑上你飞奔而去,尘土飞扬 你被劈开的疼痛在大地弥漫 春、十の海子は低く怒号を放つ あなたと私を囲って踊り、歌う あなたのその黒い髪を乱し、あなたに乗って飛んでいく、土が風で舞い上がる あなたが劈

          你所说的曙光究竟是什么意思

          予言

          分かりやすく言うとね 祝福と呪いに明確な違いはなくて 蒔かれた種が実るだけのこと 筋書きなんて似たり寄ったりで 同じ演目の繰り返し 「個体差」を付け足したはいいものの 「汎用性」がないとも言い切れない ただ 一つのマスにつき一つというルールなので どちらかを飲み込めば 残った方が腐る仕様で 太陽のあたるところがあれば あたらないところもあるわけで いつもその銃弾を避けようと 身体をねじ伏せているつもりなんだけど 心構えなど持ち合わせやしないのに いつかの日に降りか

          適者生存か、ルート変更か

          環境に適応するか、それとも環境を変更するか という問題がある。 環境に適応できるならそれに越したことはないが、正直言って、「合わない」とはっきり思える、かつ環境を変更することが可能であれば、さっさと環境を変えた方がいい。 その境界線、つまりどこまでが環境に慣れるための「努力」で解決できて、どこまで行ったら「環境そのものの問題」かというのは、個人差と環境差もあるので、ご自身で判断ください、としか言いようがない。迷うのであれば信頼できる家族や友人に相談してほしい。最終決断は

          適者生存か、ルート変更か

          “一种相思,两处闲愁。”

          今日の天気予報は雪。 お昼を食べ終わった頃、町ゆく人が傘をさし始めた。はじまったかと、お店を出た後、近くの公園で何かを待つように少し歩いた。雨のままの雨をぼんやり眺めていたら、休憩時間ぎりぎりになったので、仕方なく小走りで仕事に戻った。 パソコンに文字やらを打ち込みながら、視線を何度も窓に向ける。 降るだろうか。 何度目か分からない窓に向けた眼に、白い空には少し灰がかって見えるぽつぽつが映った。 思わずパッと立ち上がり、窓を勢いよく開け、手を外に差し出す。冷たい結晶

          “一种相思,两处闲愁。”

          2杯(🐏)眩

          習慣的に画面をタップする 13:48 そろそろ本日2杯目のインスタントを淹れてもいい頃合いだろうか、、 … ぞろぞろのろのろ 毒が回りきった四肢を引き摺って歩き 道すがら誰かの画鋲を蹴ってしまいました どうしてダイヤモンドじゃないのかと 鉄の箱にしまいました そうして今日も飽き足らずにサンプル集めでしょうか たしかに廊下の果てに物語の終わりを垣間見たのです そうして明日も二色に挟まれた黒の意味探しでしょうか 施しと称し どれだけの物事をスポイルさせて

          2杯(🐏)眩

          大丈夫

          「大丈夫」という言葉について考えた。 大丈夫?と心配されたり、 大丈夫だから、大丈夫と返したり、 大丈夫じゃないのに、大丈夫と返したり、 どっちか分からないけど、大丈夫と返されたり、 大丈夫だと慰めたり、慰められたり、 ときには勇気づけられたり。 断るという意味だったり、 正しいという意味だったり。 いろんな「大丈夫」がある。 よく「大丈夫」と言いながら、苦しい顔で無理をする子に対して、 大丈夫じゃないのにさ、無理をしていると、結局どこかで大丈夫じゃなくなってるでしょ

          遠藤周作『海と毒薬』

          人間は、自分自身でしか、己を裁けないのではないだろうか。 すべての責任が想像力の中で生み出されるのならば、すべての罪も想像力をつくり出す自分自身の中で産まれるのだろう。 遠藤周作の『海と毒薬』をはじめて読んだのは、大学の文学の授業だった。授業時間が限られているので、この作品に限らず、授業で読む小説のほとんどは先生が選んだ一部の文章だった。 物語の大筋が説明され、先生が文章を読むのを聞きながら、文字を追った私の中に取り残されたのは、今覚えている限り、黒い海と、罪と罰と、作

          遠藤周作『海と毒薬』

          それで、空を見た。

          今日退勤する前、 窓にちらっと目をやると、 街の端の方が赤く染められていた。 最近買った保温ボトルを洗いに行くついでに、違う方角が見える廊下の窓のところへ。 色彩のもと。 周りより少し高いビルの後ろで、雲が一面に広がった、夕方の空。沈むようなあか。綺麗だ。 空は色んな表情を見せてくれる。色んな雲が泳いでいく。 頭上に、彼方に広がっている。 ひとつ空の下って、よく聞くしね。 もっと幼い頃は、同じ空を見上げている誰かが、空の向こうにいるのかなと、ロマンのあることを考えて

          それで、空を見た。