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B面のウジケさん 1 「大切なのは外見じゃない、内面だ」、違う! 「内臓だ」。

 「大切なのは外見じゃない、内面だ」とよく言いますよね、そうするとたいていみんな心のことだと思う。違う、内臓だと=魔夜峰央。仕事を長く続ける秘訣を訊かれ、漫画家はこう答える。無理がたたり肝臓を壊したことがあるからと=鷲田清一。
(出典) 「折々のことば 1583」、『朝日新聞』2019年9月17日(火)付。

 「折々のことば」を毎回楽しみに読んでいるのですが、久しぶりに「参りました」と深く頭を垂れるほかありません。言葉通りなのですが、レトリックに留まらない「迫力」に打ちのめされてしまう「文章」ですよね。さすがパタリロの作者さんです。

 鷲田清一さんは、「が、ここは深読みしたい」として「人にはそれぞれの<私>よりも古くて不可解な、生き物としての内臓感覚のようなものがあって、それが人を創作へと突き動かしている」と指摘しています。

 学問も同じかも知れません。

 文献の精査や解釈を遂行する当事者の<私>以前の、生き物としての感覚が、「人を学問へと突き動かしている」のではないかと思い知らされました。その意味では、自分自身もまだまだ「甘いな」と反省した次第です。暮らしも同じですね。




氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。