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ウェブショップ及び価格改正のお知らせ

本年よりEtsyにてウェブショップを開設しました。https://linktr.ee/ukiyoe.shimoi (万一不明な点がある際はこちらにご連絡下さい→  asawamadoakete@yahoo.co.jp)
開店と、これまで本命の作品作りの一方で作っていた卸用の廉価版の廃止に伴い価格の改正を行いました。
これまでの作品の価格に関しては今後材料の研究・開発のコストに応じ増刷の際多少変動します。また次回の新作からは大幅に値上げします。
これまでの作品はオープンエディションでしたが次回作からは限定部数販売に変更するからです。(部数は40部前後、価格は一枚5万円前後の予定です。次回作は三枚一組で15万円前後を考えています。)

以前の価格は相場を意識して設定しましたが、その設定価格は無理があったと感じています。自分には版元さんのような販売力も生産力もありません。(プロモーションに割くそう多くの時間はありませんし他の人に作品の製作をお願いするという考えもありません。但しショップ内の三島、桑名、京都の版木は三年位前に版元さんから買ったものです。) また現代は昔と比べ復刻版浮世絵版画の需要は少なく市場価値が低くなっている時代です。「復刻版浮世絵はよく売れるよ。」という人はほぼいないと思います。また復刻版浮世絵の制作のみで生活してる職人もいないと思います。

ただ自分はこれからも江戸時代の浮世絵の復刻にこだわって行きます。自分にはこれまでの復刻とは一線を画するものが作れると信じています。
自分は四年位前、立原位貫さんの復刻作品(歌川国芳「東都名所するがだひ」)に、たまたま神保町で出会い、購入し実際に手に触れた時、江戸時代の浮世絵の情緒や雰囲気、どこか自然で素朴な風合いというのは、江戸当時の素材の使用に起因しているんだと実感しました。材料の復元をしないと本当の意味で江戸の浮世絵を蘇らせることはできないと思っています。

(版元、彫師、摺師といった伝統木版画の業界ではその問題は恐らくクリアされないと思います。自分は摺師として六年間修行しましたが江戸時代と同じ材料を使うべきだと考えるような人はいませんでした。お客さんに分からなければ良いと、江戸時代と同じ材料を使っていますと嘘をついてやっている人達もいます。自分は修行時代、版元さんの浮世絵を摺っていて、あるいは(過去・現在含めの)同業者の仕事を見て、伝統的な木版画の世界で作られている復刻とは一体何なんだろうと思うことがよくありました。再現でもなんでもないじゃないかと思うことが多々ありました。今は彫師・摺師の作る伝統的な復刻とは装飾品・美術品(を目的としたもの)なのであり、それはそれで作る上で十分矜持の成り立つことだと思っています。また「復刻」の字が示すように新たに版木を彫刻して紙に摺ればその時点で復刻と言えるのかもしれません。只そういったものを「当時の色彩・姿を再現してます」と謳い売るのは違うと思います。世間には彫師・摺師の作る復刻版を摺上がった当時の浮世絵の再現だと誤解してる人はとても多いように思います。版元や一部職人の売り文句や説明を真に受けて、これが江戸の色彩かと思っている人達やその現状を見ると残念に思います。)

そしてそれは恐らく自分にしか達成出来ない事だとも思っています。ただ一方で「誰がそのような事柄を認識出来るだろう?」と思う事があります。
実際の所、これまでの自分の作品の到達点はまだ先なのですが仮にその到達点をクリアしたからといって、その作品がこれまでの復刻版とは根本的に違うものであり異なる文化的意義を持つものだと認識できる人はごく一部に限られるように思われます。それでもわかる人にはわかるし、いづれ知れると信じでいますが。
いづれにせよ今後販売に関しては一部の人達に向けやって行く考えです。もしこの記事をお読みの方で作品の購入を通じこの活動をサポート頂ける方がいれば非常に幸いです。


写真のように廉価版には日本語ないし英語で名前のみが入っています。本命の作品には加えて工房名の朱印が入っています。(今後サインは変更するかもしれませんが工房の朱印は入れてくつもりです。)

2019.3.4


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